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飲食店の現状分析。忘年会・クリスマス・年末年始はどうなる?

飲食店にとって、ゴールデンウィーク、お盆休みに並ぶ、稼ぎ時となる12月、年末年始がやってきます。コロナ禍でゴールデンウィークの外食需要は蒸発、お盆期間は約2割減少と厳しい状況が続く飲食店ですが、12月、年末年始も残念ながら厳しい予測がされています…。
とは言え、飲食店のありとあらゆる業種、メニュー、利用方法、ターゲット、シーンなど、全てにおいて見込みがないというわけではありません。今回は、外食業界の現状分析と、忘年会・クリスマス・年末年始それぞれのマーケット分析と対策提案、についてお話させていただきたいと思います。

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どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その① ~「クリスマス年末年始の過ごし方」アンケートを分析!~
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どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その③ ~クリスマス年末年始商戦を勝ち抜くポイント!畜産部・惣菜部・その他編~


●飲食店全体のコロナ禍以降の大きな流れについて。希望を持てるところも出てきている。

飲食店全体の状況について、日本フードサービス協会様の「外食産業市場動向調査」から引用させていただきます。

コロナ禍により、3月4月と大きく落ち込んだところから、緊急事態宣言解除後以降、回復に向かっていましたが、コロナ禍再拡大により、8月~9月は足踏み傾向となってきています。

業態別では、ファーストフードがテイクアウト・デリバリー需要に支えられて、外食業界の中ではまだ何とか踏みとどまっている方ですが、居酒屋やディナーレストランなど、夜の需要が大きい業態はまだまだ厳しい状況が続いています。

図③は家計調査の外食への世帯当たりの出費の動向ですが、ゴールデンウィーク需要は緊急事態宣言とかぶって非常に厳しい状況となっていました。6月以降から少しずつ回復してきており、まだ前年割れは続いていますが、お盆需要のピークははっきりと出てきています。

家計調査でもハンバーガーが最も好調な流れになっており、前年を上回ってきています。続いて比較的、回復傾向が強く出てきているのが、すし(外食)です。

お盆期間の日別の外食の寿司への出費状況ですが、お盆期間後半には前年並みに戻ってきていることがわかります。焼肉も似たような動きになってきており、同様に回復傾向が出てきています。寿司店や焼肉店への回復傾向が出てきている理由としては、家族利用をつかんでいること、家での調理がしにくいメニューであること、大手チェーン店が多く対策がしっかり取られているように見えること、などが挙げられます。

外食への出費について、大きく分かれてきているのが、年代による回復傾向の違いです。もともと外食への出費が多い20代の世帯はすでに前年並みに戻ってきており、30代も戻り傾向が強くなってきています。一方で40代以上の世帯では回復が頭打ち傾向になっており、高齢世帯ほど外食への出費が滞ったままとなっています。

飲食店のネット予約数について、株式会社エビソル様の「飲食店向け予約管理システムebica」の「週次予約数推移」のデータをグラフ化させていただきました。

●レストラン・飲食店向け予約管理システム 「ebica」HP:https://www.ebica.jp/

図⑦は1店舗当たりの週間予約数の推移データです。飲食店全体の状況と同じく、3月4月の緊急事態宣言下で大きく落ち込んだところから5月6月と回復してきていましたが、7月8月は足踏み傾向となっていました。しかし直近の9月ではまた伸びてきており、前年並みに回復してきています。実際の各外食チェーンなどの9月発表の数字と比較すると、回復が強い傾向になっていることから、事前にしっかりと予約してから外食する人が増えてきていることがわかります。

図⑧は週間予約数の東京と大阪の比較です。大阪の方が回復傾向が強く出てきており、コロナ新規感染者数の多さや推移の報道などによるイメージが影響してきていると思われます。

●忘年会は親しい友達との少人数実施は可能性あり?キーワードは個室・個食。

忘年会は12月の2週目、3週目の金曜日・土曜日に実施されることが多いようです。

図⑨は家計調査の外食での飲酒代と、家での酒類の購入金額の2019年12月~2020年1月の日別推移です。飲酒代は金曜日・土曜日にピークが、酒類は土曜日・日曜日にピークがあることがわかります。酒類は年末に大きな山がありますが、飲酒代と違って、酒類はあくまでも買った日であり、飲んだ日ではないことにご注意ください。

今年の外食での飲酒代は、コロナ禍によって大変厳しい状況となっています。

飲酒代の回復傾向は6月から頭打ち傾向になっており、年末の回復は見通せない現状です。

こういった状況の中での、今年の忘年会の実施意向についてアンケートをとってみました。

会社の同僚との忘年会は、大人数はもちろんですが、少人数でも実施意向が減少してきています。一方で、友達との実施意向は、5人以上10人以上では減少ですが、4人以下では昨年と変わらないぐらいの実施意向になっています。家族やカップルでの数字も健闘していることから、親しい間での少人数での忘年会の需要は見込めるのではないかと分析します。

また、昨年の忘年会の実施回数別での今年の実施意向を確認してみたところ、昨年1回だけ忘年会を経験した方は、今年の忘年会参加はほぼ見込めない状況ですが、昨年5回以上も忘年会を実施した方では、今年の忘年会も参加すると考えている回答が多数派となっていました。飲食店サイドからのアプローチとして、昨年良く利用してくれたお客様やヘビーユーザーに絞った営業活動は効果が上がるかもしれません。

飲食店での忘年会勧誘に向けた対策実施ですが、どのような対策がなされていたら忘年会を考えてみるかについても聞いてみました。

希望の対策としては、個室、個食が圧倒的に多い回答となっています。個室要望に対してはお店のつくり的に難しいところもあるかもしれませんが、パーテーションなどを利用した半個室的な対応を頑張っていただければと思います。また個食要望に対しても、大皿での取り分けをなくしたり、個食鍋などのメニュー準備をしていく必要性があるようです。

ネットで「忘年会」を検索すると、飲食店での「オンライン忘年会」をおすすめするサイトが多く表示されていました。一時期トレンドキーワードになった「オンライン飲み会」の実態はどうなっているでしょうか?

今回実施したアンケートでは、オンライン飲み会の経験率は17%にとどまっており、その内の約半数は1回だけの経験であり、実際にやったことがある方は少数派のようです。ただ、このオンライン飲み会の経験率を年代別で見ると、ちょっと違った景色が見えてきました。

20代30代は比較的経験率が高く、40代以上になるとほぼ経験がなくなる、というように年代間での認識の差が大きいようです。幅広い年代でのオンライン忘年会の実施は厳しそうですが、20代30代での若い参加者をターゲットにした飲食店でのオンライン忘年会の可能性もあるのではと思います。

この年代による違いですが、忘年会に期待するメニューでも差が出てきています。

どの年代でも安定して上位にくるのが、鍋とお刺身です。幅広い年代が集まる場合におすすめです。から揚げは若年層ほど上位にきており、逆にお寿司は年齢が高くなるほど上位にきています。参加者の年代が偏る場合にはそれぞれのメニューも候補に挙がりそうです。焼肉は40代で飛び抜けて強くなっています。市場ボリュームの大きい団塊ジュニア世代の集まりでは焼肉がおすすめです。忘年会の幹事さん、仕切り係さんはご参考にしていただければと思います。

●クリスマスの外食利用は今年は厳しい…。テイクアウトを強化対応へ!

クリスマスの外食利用は曜日周りに大きく左右されるようです。

外食全体への支出の伸びに対して、クリスマス期間(24・25日)の外食出費は伸び悩んでおり、ここ3年間は減少してきています。2016年と2017年は伸びているように見えますが、2016年の24日・25日の曜日周りは土曜日・日曜日、2017年の曜日周りは日曜日・月曜日と、日曜日が関係していると外食の数字が伸びるようなので、その影響が大きく出ています。2020年の24日・25日は木曜日・金曜日のため、曜日周り的にも厳しい状況です。

また、既報記事「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その① ~「クリスマス年末年始の過ごし方」アンケートを分析!~」でも紹介させていただいた、今年のクリスマス期間の過ごし方でも外食意向は、どのグループでも減少しています。

もともとの大きな流れ、曜日周り、コロナ禍の逆風と、クリスマス期間の外食はなかなか難しそうですが、テイクアウトではチャンスがあるのではないかと考えています。コロナ禍以降、外食のテイクアウト・デリバリー利用が一般的になってきていることから、今年は惣菜市場を外食店が奪っていく流れも出てきています。お寿司やピザ、パエリアなどのごちそうメニューの外食テイクアウトを強化していくのもひとつの戦略ではないかと思われます。

●年末年始の外食店利用は意外と増加する!? 焼肉・寿司がけん引役に。

年末年始の飲食店利用もメニューや業態・業種によっていろいろと特徴が出てきています。

図⑲はここ5年間の年末年始の外食への日別の出費金額状況です。5年間の曜日周りは当然異なっていますが、年末から正月三が日までは、曜日周りに関係なく、どの年もほぼ同様の傾向を示しています。飲食店への出費は年明けの1月2日に集中していて、大きなピークが来ていることがわかります。

年末年始、特に年末に需要が上がってきており、そして今年も期待出来そうなのが、焼肉です。

焼肉店の利用は、クリスマスの2、3日後から増え始め、29日、30日にピークを迎えています。31日、1日には大きく落ち込んでいます。

焼肉店利用がピークを迎える29日、30日の利用金額についてここ5年間の推移を確認すると、着々と上昇していることがわかります。年末の焼肉店の利用は特に30~40代の子育て世帯の需要が多く、この家族での利用が増えてきているようです。図⑤のところでも触れましたが、焼肉店はコロナ禍からの回復傾向が強く出てきている業種であることからも狙い目ではないでしょうか。

そして年末の代表的なメニューと言えば、年越しそば。家計調査の外食の日本そば・うどん店のデータでも31日に大きなピークが出来ています。

ただし、31日のピークは年々小さくなってきてしまっており、コロナ禍以降の日本そば・うどん店の回復もやや弱く、また同じくコロナ禍で初詣客の人出も不透明なところから、店内飲食での利用は今年は少し厳しいかもしれません。お店自慢の手打ちそばとつゆをセットにした、家で年越しそばを楽しめるテイクアウトセットにも取り組んでいく必要があると思います。

図⑲でも掲載したように、飲食店の年末年始利用では、特に年明け1月2日の大きな山が勝負どころかなと感じていますが、コロナ禍を受けての初めてのお正月の外食利用意向はどうなっているでしょうか?

図⑱のクリスマスでの外食利用意向の減少と比較して、お正月の外食利用意向は予想以上に期待の持てる結果が出ました。さすがにお正月までは手作りを頑張る気にはなれない、お正月ぐらいは外でいいものを食べたい、クリスマスとは違って手作りするイベントメニューもすき焼きぐらいしかない、これまでも散々ガマンしてきている反動、といったことが背景にあるのかもしれません。

お正月の外食への出費を大きく押し上げている主役は、お寿司です。

外食でのお寿司利用は31日大晦日から大きく利用が増加し、正月三が日の間もずっと高い利用が続きます。1月2日は外食お寿司利用が1年を通して最も多い日となっており、2番目に多いのは1月1日お正月、3番目に多いのは12月31日と、お寿司屋さんにとってはこの年末年始が一番の稼ぎ時になっています。図⑤で外食のお寿司利用がコロナ禍以降の回復傾向が強く出てきている理由のひとつに家族利用の支持を挙げましたが、図㉒のお正月の外食利用アンケートでも家族利用の伸びが一番強く出ており、今年の年末年始の数字も期待出来るのではないかと分析します。

そんな年で一番忙しいであろう時期のお寿司屋さんに怒られてしまうかもしれない提案なのですが、テイクアウトの寿司需要の獲得については今年は伸びしろがあるのではないでしょうか?

外食のお寿司利用に、惣菜のお寿司利用も重ねてみました。正月三が日は外食のお寿司利用の方が大きいのですが、31日大晦日は惣菜のお寿司利用が強くなっていることがわかります。ちなみに惣菜のお寿司利用は、2月の節分の日が一番多いのですが、2番目に多いのが12月31日、3番目4番目が1月1日、2日となっています。大変忙しい時期ではありますが、コロナ禍で外食テイクアウト需要が強まっている今回の年末年始は、このテイクアウト需要をしっかりと考慮した戦略準備が重要と思われます。


今回は飲食店の現状分析と、忘年会・クリスマス・年末年始の飲食店利用の強化ポイントをお話させていただきました。飲食店全体として大変厳しい状況であることは周知の事実ですが、セグメントによっては希望を持てる流れになってきているところも多くあるのではないかと感じています。本ホームページではちょっと飲食店記事が弱くなっちゃってますが、外食業界の回復に向けてもいろいろと考えてまいりますので、今後も宜しくお願いいたします。

なお外食業界に向けての個別提案も有料にはなってしまいますが承っておりますので、お問い合わせフォームでご連絡ください。本ホームページでは公開出来るデータ源がごく一部に限られてしまっているので、個別提案でしたらもっと幅広いデータ源からの提案、より深い提案が出来ますので、どんな対応が出来るのか、個別にお話させていただければと思います。

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