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どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その③ ~クリスマス年末年始商戦を勝ち抜くポイント!畜産部・惣菜部・その他編~

今回で「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!」シリーズは最終回となります。「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その①~「クリスマス年末年始の過ごし方」アンケートを分析!~」「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その② ~クリスマス年末年始商戦を勝ち抜くポイント!農産部・水産部編~」に続く第3弾です。その①、その②でお話させていただいたことを踏まえての、その③記事ですので、まだ①、②を読まれてない方は事前に①、②にも目を通してから、本記事その③をお楽しみください。 記事が長くなってしまっていて申し訳ありませんが、年間で一番の売上げとなるこの時期については、やはり話題が多くあり、記事中では触れられなかったネタも数多くあります。何かリクエストありましたら、お問い合わせフォームからご連絡ください。

関連記事はこちらから↓
どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その① ~「クリスマス年末年始の過ごし方」アンケートを分析!~
どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その② ~クリスマス年末年始商戦を勝ち抜くポイント!農産部・水産部編~


目次

●畜産部ではクリスマスと年末のシーンの違いの把握が必要。和牛の年末年始団らんニーズが最重要!

畜産部においてクリスマス年末年始期間に強化すべき商品にはこのようなものがあります。

畜産部の生活シーン別の用途では、クリスマス用、年末年始団らん用、おせち用の3つが大きなニーズとなります。

畜産部のクリスマス年末年始期間のひとつのポイントとしては、同じメニューでもシーンによって買われる商品が変わってきたり、購買タイミングによって手作り素材が買われるか?ミートデリカが買われるか?が違ってくる、といったように、細やかな違いをしっかりと把握、理解していくことが挙げられます。

クリスマス用でもおせち用でも欠かせないメニューとなりつつある、ローストビーフメニューで調べていきます。

24日クリスマスイブ当日や、31日のおせち準備当日にはローストビーフ惣菜が大きく伸びています。ちなみにローストビーフ惣菜は、年明けの1月2日、3日にも買われており、年始の団らん用ニーズがあることがわかります。2021年の正月三が日は休業するスーパーもあると思いますので、この年始ニーズを年内の31日にとれるように、カットしていない塊(かたまり)のローストビーフ惣菜も品ぞろえしていくと良いのではと思います。

一方で、手作りローストビーフ用の牛ブロック肉は必要となる24日、31日それぞれの3日前から買われ始め、当日も大きな山が出来ています。この牛ブロック肉を産地別でさらに詳しく見てみます。

すると、クリスマスの山、おせち準備の年末の山、どちらでも国産牛が多くなっていますが、輸入牛はクリスマスの方の山が大きく、和牛は年末の山の方がより強い、といった感じで、買われる産地・価格帯が異なっていることがわかります。クリスマスは若年層のクリスマスパーティー需要が大きく、年末の山の方はおせち準備用や年末年始団らん用のニーズから高齢層の購入が大きいという、それぞれの背景にあることの違いが購買状況の違いにつながっています。これらの背景の違いはローストビーフ惣菜の購買価格帯の違いにも表れてきています。

ローストビーフ惣菜は、普段は300円台と500円台が購買の中心ですが、クリスマス・年末では900円台にも山が出来てきます。クリスマスと年末では、手作り用の牛ブロック肉ほどの明確な差はありませんが、やはり年末用の方が高価格帯の購買が多くなっていることがわかります。

また、手作りローストビーフではメニュー調味料も大きな役割を果たしています。

ローストビーフの素(ソースセット品も含む)、ローストビーフソース、どちらも牛ブロック肉の購買状況とリンクした動きとなっていますが、牛ブロック肉のクリスマス、年末それぞれの売上げボリュームと比較すると、比較的クリスマスの方が強く出ているように見えます。クリスマスは若年層が輸入牛のブロック肉とメニュー調味料を使って手作りするのが代表的なシーン、年末は高齢層が和牛のブロック肉と基礎調味料を使って手作りするのが代表的なシーン、となっているようです。 ローストビーフメニューについて、クリスマスと年末の違い、手作りと惣菜利用の違いをまとめてみました。

「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その①」や、「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その②」でも紹介させていただきましたが、今年の年末年始は家の中での楽しみが例年以上に注目されてきています。食卓を豪華に彩ってくれるローストビーフにはお金をかけてくれるのではないかということが予測でき、和牛ブロック肉や、和牛ローストビーフ惣菜などへの思い切った取組みも必要ではないかと思われます。

この和牛ですが、畜産部の年末商戦では最も重要なカテゴリーです。

和牛はコロナ禍以降、好調な流れとなり、現在でもその好調さを維持してきています。そして和牛は年末に大きく売上げを伸ばすのが特徴です。

年間平均の1日当たり売上げと、年末(30日・31日)の1日当たり売上げを畜種や産地別に比較してみました。和牛の年間平均と年末との大きな違いが目立っています。ちなみに31日大晦日に限ると、和牛は国産牛の売上げも超えてきます。和牛は普段は豚肉や鶏肉の売上げと大きな差がありますが、年末に限っては豚肉や鶏肉の売上げを上回ってきていることがわかります。豚肉はブロック肉やスペアリブは伸びますが、普段使いの中心となる小間切れ肉や切り落とし、うす切りは微増にとどまるため、伸びが小さくなっています。

和牛の中でも、ローストビーフのところでお話した和牛ブロック肉や、他にも和牛焼肉用、和牛ステーキ用など、様々な用途のものが年末は大きく伸びますが、一番のボリュームがあるのは、和牛うす切り肉です。

和牛うす切り肉は、和牛全体と比べても、年末週のピークの大きさが際立っています。この和牛うす切り肉と年末週に強く連動してくるのが、すき焼きのたれです。

図⑩は、すき焼きのたれ商品群の週平均の1日当たりの売上げ推移を表しています。寒くなってくるにつれて少しずつ売上げが向上してきていますが、最終年末週に特に大きく伸びているのがわかります。すき焼きは、大晦日から正月三が日に突出して食卓登場が大きくなるメニューです(既報記事「早くも始まっているスーパーの秋冬向け鍋商戦!~鍋に求められるコトとは?今年の鍋商戦を勝ち抜くポイントは?~」参照)。年に一度の年末年始団らん用のすき焼きですので、買われる和牛うす切り肉の価格帯は、さらに高価格帯になってきます。

普段でもワンパック1,000円以上がピークですが、31日大晦日は2,000円台がピークになり、3,000円以上の割合も約46%と半分近くを占めてきます。

具体的な強化タイミングですが、2019年は12月28日から売れ筋の価格帯がガラッと変わることがわかります。「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その②」では、今年のすき焼き用の野菜の強化タイミングについて、お話しましたが、やはり和牛も同じくクリスマス後の週末明け、12月28日(月)からメインとなる価格帯を高単価にシフトした品ぞろえをしていきましょう。

●惣菜部でもやはりクリスマスと年末のニーズの違いの把握が必要。

惣菜部でのクリスマス年末年始期間にポイントとなる商品についてもまとめてみました。

惣菜部では他のどの部門よりも、クリスマスの売上げピークと年末の売上げピークの2つの山がはっきりと出てきます。

そして、このクリスマスのピークと年末のピークでは、中身が大きく異なるところに、惣菜部のクリスマス年末年始商戦の難しいところがあります。

おかず惣菜では、クリスマスは焼物惣菜(ローストチキン)、サラダ惣菜、惣菜盛り合わせが、年末では揚物惣菜(天ぷら)、和風総菜(煮物)、惣菜盛り合わせが、それぞれ大きく伸びてきており、売れ筋が異なっていることがわかります。

主食惣菜では、クリスマスは寿司惣菜(にぎり寿司、巻物)、パン惣菜(ピザ)が、年末では寿司惣菜(にぎり寿司、巻物)、麺惣菜(そば)が、大きく伸びてきています。

昨年度は、2019年12月24日(火)、25日(水)という曜日周りだったため、26日(木)、27日(金)にいったん、比較的普段の売場感に戻ってから、28日(土)から本格的に年末売場にするという展開でした。しかし、今年は、2020年12月24日(木)、25日(金)という曜日周りのため、「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その①」でも述べたように、26日(土)、27(日)にもクリスマス感を残さざるを得ないのではないかと感じており、一方で27日(日)から年末の準備をする方も出てくるであろうと思われるため、実質的には26日(土)はクリスマス寄り、27日(日)は年末寄り、と普段売場へのリセットタイミングなく、忙しい売場づくりに追われそうです。

また、惣菜部のクリスマスのピークと年末のピークでは、売れる時間帯も大きく異なっています。

昨年2019年12月24日(火)は普段はアイドルタイムとなっている14時から売上げが伸び始め、17~18時に普段よりも大きなピークを迎え、夜はみなさん家に少し早めに帰ってパーティーをする、という様子が伺えます。今年2020年の12月24日(木)も同様な流れになるのでないでしょうか。

また大晦日の2019年12月31日(火)は朝早くから売上げが立ち始め、11~12時に普段よりも大きなピークを迎え、午後もアイドルタイムなく大きな売上げが続き、18時からは急速に売上げが落ちていくという流れになっており、大晦日は18時、19時から家での団らんが始まっている様子がわかります。こちらも今年も同じ流れになると思われます。 このクリスマスと年末ですが、どちらにも大きなピークが来るのが、にぎり寿司です。

にぎり寿司は31日の売上げの伸びが大き過ぎて24日のピークが可愛く見えるかもしれませんが、24日も普段の2倍以上を軽く超えてくる大きな売上げとなっています。

にぎり寿司も、クリスマス24日と大晦日31日では売れる価格帯が異なってきます。

にぎり寿司は普段は500円台がピークですが、クリスマス24日は700~1,500円にピークが移り、さらに大晦日31日は800~2,000円台が売れ筋になってきて3,000円台以上の価格帯構成比も1割を超えてきます。クリスマス年末週はこの価格帯の売れ筋の違いを把握して売場づくりをしていく必要性があります。

普段の売れ筋の600円未満、クリスマスと年末両方で売上げが伸びてくる1,000~2,000円未満、年末だけ上がってくる2,000円台以上、と特徴的な価格帯の2019年クリスマス年末週の日別売上げ推移をまとめてみました。今年の価格帯戦略でも同様になることが予測できますが、惣菜全体のところでも述べたように、クリスマス売場から年末売場への切替えがかさなってしまうことにより、図⑳にある26日、27日の普段戻りが今年は28日単日だけになるか、もしくはなくなる可能性もあります。クリスマス24日から年末まで比較的、強気な価格帯構成の売場づくりでも良いのではないでしょうか。

年末の惣菜売場の大きな取組みのひとつが、年越しそば用の天ぷら惣菜です。

天ぷら惣菜はお盆のピークが小さく見えるぐらい、年末週に大きな売上げとなりますが、年末週の中でもほぼ大晦日31日に売上げは集中しています。

大晦日31日の天ぷら惣菜の売上げは普段の約18倍にまで大きく跳ね上がります。また31日の売上げが大き過ぎて目立ちませんが、30日にも普段の約3倍の売上げがたっています。30日も31日の予行演習として天ぷら惣菜の強化をしていきましょう。

天ぷら惣菜の中でも31日大晦日の主役は何と言っても、年越しそばトッピング用の海老天ですが、今年はコロナ禍でバラ売りが出来ず、少し困ったことになっています。袋入り個包装にしなくてはいけないのですが、全部を1本入りにすると気が遠くなりそうです…。お客様も全員が1本だけ買うわけではないので、何本入りかにまとめていきたいのですが、年越しそば用の海老天は何本単位で買われているのでしょうか?

こちらは2019年1年間と2019年12月31日の天ぷら惣菜の価格帯構成比を比較したグラフです。あくまでも価格帯なので何本入りかはわかりにくいのですが、主力となる海老天は1本120~160円ぐらいで販売されていることを考えると、200円台に大きな山がたっていることから、年越しそば用の海老天は2本買うお客様がもっとも多いのではと分析します。作業性とのバランスもありますが、2本入りの個包装をメインに準備していくことをおすすめします。なお、500円台の山は海老天とかき揚げの年越しそば用のセット、800円台の山は年末団らん用の天ぷら盛り合わせセット、というところでしょうか。その①でもその②でも何度も述べていてしつこいですが、今年は家の中での楽しさを例年以上に重視する傾向が強くなってきていますので、1本300円前後の大海老天や、800円以上の天ぷら盛り合わせセットなど、強気の展開も狙えそうです。

クリスマスの惣菜売場、もしくはインストアベーカリー売場の強化必須アイテムのひとつにピザ惣菜があります。ただ、コロナ禍の今年は店内に大きな競合商品が存在します。それは日配売場などに並んでいるチルドピザです。

クリスマスにはピザ惣菜もチルドピザも大きく売上げを伸ばしますが、チルドピザが普段の約2倍の売上げになるのに対して、ピザ惣菜は普段の約4倍以上の売上げになっており、クリスマスの重要性はピザ惣菜の方が高くなっています。ただし、図㉔にも表れている通り、コロナ禍以降、ピザ惣菜よりはチルドピザの方が比較的前年を上回る週が多くなっています。家庭での手作り需要の増加や、買物回数の減少による、すぐ食べる必要性のないストック出来る商品へのシフト、などが背景にあります。

とは言え、コロナ禍以降、前年割れが多くなっている惣菜カテゴリーの中ではピザ惣菜は健闘している方ですが、ピザ惣菜とチルドピザ、それぞれを買ってくれるお客様の違いにはどういったことがあるのでしょうか。まずはどんな年代の方が買っているのか見てみます。

図㉕は、2019年のクリスマスイブの日12月24日のピザ惣菜とチルドピザの購買年代構成比を調べたものです。ピザの食卓登場はもともと若年層の方が多いので、どちらも若年層寄りですが、チルドピザの方がさらに強く30~40代に寄っています。 ピザ惣菜とチルドピザ、それぞれの入っている買い物カゴに、他にはどんなものが入っているのかも見てみました。

ピザ惣菜を購入している方は、他の惣菜もたくさん一緒に買っているようです。一方で生鮮素材はリフト値が1を割っている、すなわちピザ惣菜とは一緒に買われにくいということを示しています。チルドピザの方は、比較的惣菜も一緒に買っていますが、生鮮素材の購入も多くなっています。買い物カゴ分析について、細かく分析したものをまとめてみました。

ピザ惣菜はローストチキンやフライドチキンなどのおかず惣菜から、寿司やサンドイッチといった主食惣菜、サラダやカットフルーツと、並べるだけで食卓が完成するものが中心に買われています。一方、チルドピザは、たれ付けの骨付き鶏や、揚げるだけで出来るフライドチキン半惣菜やフライドポテト冷凍品など、簡便手作り商品が多く買われていることがわかります。

惣菜部からの意欲的な戦略としては、焼く前の状態でのピザ半惣菜の販売も展開していくことも考えられるのではないでしょうか。焼き立てを食べられる、割安で買える、翌日にも持ち越せる、といった、ピザ惣菜だけでは叶えにくいニーズを、焼成前のピザ半惣菜の販売で満たせる商品づくりが惣菜部でも出来るのではと思います。

●その他食品でもクリスマス年末年始商戦に強化すべき商品がたくさん!

農産部、水産部、畜産部、惣菜部、それぞれについて、クリスマス年末年始商戦をお話してきましたが、これら生鮮惣菜4部門以外にも強化すべき商品はたくさんあります。

記事が長くなってきてしまっているので今回は割愛させていただきますが、もしそれぞれの商品やカテゴリーで現状分析や戦略提案などをお聞きになりたい方がいらっしゃいましたら、有料にはなってしまいますが、お問い合わせフォームでご連絡ください。本ホームページでは公開出来るデータ源がごく一部に限られてしまっているので、個別提案でしたらもっと幅広いデータ源からの提案、より深い提案が出来ますので、どんな対応が出来るのか、個別にお話させていただければと思います。


「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!」は今回のその③で終了です。その①、その②からお付き合いいただきありがとうございました。クリスマス年末年始商戦はスーパーに限らず、幅広い分野で大きな消費市場があります。次回は飲食店の忘年会・クリスマス・年末年始商戦についてお話させていただく予定です。またご期待ください!


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