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生活者の時短・簡便商品の需要はどうなっている?

前回の記事で冷凍食品について取り上げましたが、冷凍食品の大きなメリットとして「便利さ」が挙げられます。「便利」の中には”保存ができる”といったところもありますが、”時短が出来る”、”簡単に調理できる”という部分も支持されている大きな理由ではないかと思います。では、時短や簡便が求められる背景にはどのようなことがあるのでしょうか?また、どのような時短・簡便品が求められているのでしょうか?今回簡便・時短需要について探っていきたいと思います。


時短・簡便が求められる背景

まずは、時短や簡便が求められる背景にはどのようなことがあるのかをみていきます。

図①は専業主婦世帯と共働き世帯の世帯数の変化です。こちらのグラフは見たことがある方も多いのではないかと思いますが、共働き世帯は年々増加しており1980年の割合は約32%だったのが直近の2021年だと約67%と倍以上になっています。

また、配偶者の収入の推移をみてみると、2018年に配偶者控除が見直されたこともあり収入の増加がみられます。この動きからも、特に近年において配偶者の労働時間が増えている事が予想されます。

こういった現状もあり、時短・簡便はより求められるようになってきているのではないでしょうか。筆者も共働き世帯ですが、家事には時間をかけたくない!という意識は大変強くあります。

●生活者の時短・簡便品の利用状況は?

では、実際の生活者の時短・簡便品の利用状況はどうなっているのでしょうか?

図③は外食費を除いた食料品の支出金額の変化です。生鮮品などの手作り関連の支出は横ばい傾向ですが、惣菜や冷凍・レトルト商品などの調理食品が大きく伸びている事が分かります。調理食品は多様化や美味しさの向上、そして、簡単に食卓に登場させることが出来るなど様々な要因により需要が高まっているのではないでしょうか。

次に、直近のスーパーマーケットの売上状況もみてみます。

コロナ禍で内食が増え、特に生鮮品の売上が伸長しましたが現在は落ち着いてきています。そして、生鮮品が落ちている中、惣菜は好調な動きとなっています。

落ち着いてきている生鮮品ですが、詳しく見てみると伸びているカテゴリーもみられます。

図⑤は生鮮品の中で簡便・時短カテゴリーを抜粋して売上の指数推移を出したものです。どれも食品全体以上に伸びており、時短・簡便品の需要が高いことが見てとれます。

また、その他のカテゴリーはどうなっているのでしょうか。

前回の記事で冷凍食品が伸びている事はお伝えしましたが、レトルト食品も好調な動きとなっています。今回はこのレトルト食品について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

●レトルト食品の動向

まずはレトルト食品の種類別の売上状況をみてみます。

コロナ禍前の2019年の売上と直近1年間の売上を比較すると、ほとんどの品目で伸長がみられます。その中でも米飯レトルト(白ご飯、おかゆなど)、和風レトルト(ひじき煮やきんぴらなどの副菜)、レトルトカレーの売上ボリュームが特に大きく、どれも伸びています。

レトルト食品といえばお湯に入れて温めたり容器に移して温めたりするのが昔は一般的でしたが、現在はそのままレンジ調理できるものが増えてきています。

代表的なものとしてレトルトカレーの商品別の調理法をみてみます。最近ではレトルトカレーの約半数がそのままレンジ調理可能の商品となっており、売上金額で見ると7割近くにまで及びます。売上上位品をみても、ほとんどがレンジ対応の商品となっていました。レトルト品というだけでも十分便利ですが、より簡単で便利な商品が求められている事が分かります。今でも売上は大きいカテゴリーですが、”そのままレンジ調理可能”をしっかりとアピールすることにより、さらなる売上の向上につなげていくことが出来るのではないでしょうか。

このレンジに対する生活者の関心についても調べてみました。

食関連でのレンジの検索数推移をみてみると年々増加していっている事が分かります。特に2020年のコロナ禍でぐっと伸び、その後も減少することなく微増傾向となっています。電子レンジの所有率は9割以上と言われており家庭になくてはならない家電となっていますが、その利用頻度はまだまだ高まっていきそうです。

また、レンジを使う理由としてはやはり「時短」「簡便」が多くなっています。

マイボイスコム㈱様HP https://www.myvoice.co.jp/

図⑩は電子レンジを利用する理由についてのアンケート調査です。「時短」や「簡便」に関する項目の選択割合が多く、伸びてもいます。

ちなみに、「下ごしらえに便利」という理由も伸びていますが、ネット検索でのレンジとの同時検索ワードをみると、野菜(じゃがいも、かぼちゃなど)の検索も多くなっていました。生活者の方々のお話を聞いている中でもレンジは下ごしらえのためによく使う。という方が多く、例えばスーパーの野菜売り場でレンジを使った下ごしらえレシピを提案するといったことも喜んでいただけるのではないでしょうか。


今回調査した即席商品の売上やレンジへの関心などから、今後も時短・簡便の需要は高まっていくことが予想されます。そしてその中でも、より簡単に、より便利にという意識が高まりつつあります。生活者のニーズをしっかりとキャッチし、より喜んでもらえるような時短・簡便売り場を作っていきましょう。


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