新型コロナウイルス感染症がいまだにまん延している中、手作り疲れで生鮮品の需要増加が落ち着いてきたり国内旅行者数が回復してきたりと生活者の行動には変化がみられます。
コロナ禍以降利用が増加したものの一つとして冷凍食品が挙げられますが、現在はどのような状況になっているのか?また、伸びている冷凍食品にはどのようなものがあるのか?調査していきたいと思います。
目次
まずは、家計調査の「370 冷凍調理食品」の支出金額推移をみてみます。
こちらの「370 冷凍調理食品」はおかず関連の冷凍調理食品のみになっており、主食関連や素材は含まれておりません。冷凍調理食品は長期的に伸びており、現在も伸び続けています。直近では特に単身世帯の伸びが目立ちます。
世帯主年代別での推移もみてみると、冷凍食品は比較的若年層に買われやすい品目ですが、伸びが大きいのは高齢層となっていました。冷凍食品はどんどん便利にも美味しくもなり、幅広い年代の方に受け入れられるようになってきています。
次に冷凍食品、冷凍庫の検索数の推移をみてみました。
どちらもコロナ禍前からゆるやかに増加していましたが、コロナ禍以降伸びが加速している事が分かります。そして現在もまだ伸びている状況となっています。冷凍庫との同時検索では「小型」を一緒に検索する方が多く、電気量販店では家庭用の冷凍機能のついた冷蔵庫だけではなく、小型冷凍庫(セカンド冷凍庫)の訴求もよく見かけるようになりました。
では、直近でのスーパーの冷凍食品の動きはどうなっているのでしょうか?
こちらは、スーパーの冷凍品の月別売上推移です。(この中には冷凍調理食品だけではなく、冷凍野菜や冷凍魚なども含まれています。)コロナ禍以降売上が上昇し、現在も2020年や2021年と同水準で推移している事が分かります。
図⑤はJANコードのついた冷凍食品の商品数の変化をみたグラフになります。毎年9月と3月に大きく増えていますが、これは新商品投入が多い月であることが理由です。冷凍食品の商品数は増加しており、このことからも冷凍食品の需要が高まっている事が言えるのではないでしょうか。
それでは、具体的にどのような冷凍食品の需要が高まっているのでしょうか?冷凍食品を種類別に分類し、売上上位商品の前年比をみてみました。
ボリュームも大きく伸びているのは定番の餃子。また、ラーメンも大きく伸びているようです。餃子もラーメンも店内競合としてチルドタイプの商品も多くありますが、冷凍品と同様の動きをしているのでしょうか?もしくは、異なった動きとなっているのでしょうか?
図⑦は餃子関連品の売上指数推移です。他の餃子関連品が減少傾向の中、冷凍餃子は順調に伸びています。冷凍餃子とチルド餃子の家庭での調理工程は同じですが、冷凍品はストックできるという点がポイントになっているのでしょうか。私の家の冷凍庫にも常に餃子は入っており、家飲みでおつまみが足りなくなった時などに重宝しています。
冷凍ラーメンは直近では落ち着いてきていますが、チルド売場のスープ付きラーメンに比べて伸びている事が分かります。チルドでは別途具材を用意しなければならなかったり、2人前以上の容量の商品がほとんどであったりしますが、冷凍ラーメンは1人前で具材も入っていることから使い勝手が良いのではないでしょうか。
今回は、冷凍食品について調査しました。小売店で売っている冷凍食品だけではなく、冷凍食品の自動販売機もどんどん増えていたりと冷凍食品の可能性は大きく広がっていっています。生活者の関心は今後も高まり続けていくのではないでしょうか。スーパーでも生活者に満足して頂けるような品揃えをしていきましょう。
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金子良男2022年9月9日 10:13 PM /
冷凍食品専門店が登場するくらい元気な冷食市場といえます。御社の資料大変参考になりました。ありがとうございます。冷凍食品の種類はドンドン広がっているようです。その意味では冷凍食品の種類の広がりも書いていただけるとありがたいです。 因みに私は現役引退し趣味で市場攻略のスゴ技というブログを発信しています。そこでどこかでこの資料を引用させてもらうかもしれません。勿論、出典資料名は書かせていただきます。その時はどうぞよろしくお願いします。