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2021年今年の丑の日のうなぎも昨年に引き続き売上げ好調なるか?年代別のうなぎの楽しまれ方の把握やサイドメニュー強化がポイント!

今年2021年の丑の日は7月28日(水)です。昨年2020年の丑の日は、一の丑・二の丑と2回あり、さらにはひとり10万円の特別定額給付金の支給タイミングとも重なり、うなぎの売上げが大きく伸びました。しかし、2021年今年の丑の日は1日だけで、給付金もないため、少し厳しい状況を予想される方も多いのではないでしょうか。ただ、本編で紹介しますが、スーパーのうなぎは昨年の丑の日以降、売上げが伸び続けてきており、直近2021年4月5月においても好調な流れが続いています。 今回は丑の日に向けて、うなぎの楽しまれ方やサイドメニューについても調べていき、昨年に負けない売上げを作っていく作戦を考えていきたいと思います。


●2021年の丑の日うなぎ大予想!伸びている理由は?地域性はある?

◇2021年今年の丑の日のうなぎはどうなる?

まずはスーパーの2019年から直近までのうなぎの売上げを確認してみます。

スーパーでのうなぎの売上げは、昨年2020年の一の丑では単日前年比で144%と大きな伸びを見せ、さらに一の丑と二の丑を足した合計での前年比は171%となりました。うなぎについては、2018年にシラスウナギの不漁などから、うなぎ価格の高騰が騒がれて消費者離れを起こしてしまい、その流れが2019年も続いて売上げが落ち込んでしまっていました。2020年は比較的シラスウナギが豊漁で供給も十分あり、また特別定額給付金の給付タイミングと合い、さらにはコロナ禍における「おうち時間」の充実を求める生活者のニーズ向上などから、うなぎの売上げが大きく伸びました。

図①の日別推移のグラフは大きな流れを見るには少し細か過ぎるので、月別推移に直して見てみます。

スーパーでのうなぎの売上げは、2020年の5月頃から前年を上回り始め、丑の日の7~8月で大きく伸び、以降、2021年4月現在まで前年を上回る好調な流れが続いていることがわかります。2020年7月の前年比は140%ですが、2021年4月の前年比は146%と実は直近の方が前年比は高くなっています。売上げ金額は、「売上げ金額=客数×客単価」に分解できますが、売上げ好調の要因が客数、客単価どちらにあるかを調べてみました。

図③はスーパーのうなぎ長蒲焼の客数と客単価の前年同月比を表していますが、客数が大きく伸びていることが売上げ好調の要因であることがわかります。そしてこの増加客数の7割以上を60代以上の高齢層が占めています。これまでは外食でうなぎを食べていた高齢層がスーパーでうなぎを買うようになったり、あるいは旅行などにお金を使っていた高齢層が、スーパーの高価なうなぎにお金を使うようになったりと、高齢層にとってもコロナ禍で楽しみの選択肢を奪われてしまった中で、少しでもおうち時間を楽しく過ごせるように、食事で楽しめるように、うなぎを買うようになってきたということではないでしょうか。図③の客数の伸びっぷりを見てもこの流れは今後も強く続くのではないかと思われます。こういった背景から今年の丑の日も昨年並みの売上げを期待できるのではないかと予測します。 なお、うなぎについては、ニーズがあっても供給サイドで問題があって高騰して買えなくなって…というリスクもありますが、今年の状況はどうなっているでしょうか。シラスウナギは昨年豊漁でしたが、2021年の今年も各種報道によると豊漁のようです。またうなぎ相場も東京都中央卸売市場の市場統計情報を確認してみると高騰はしていないようですので、供給面については今年も大丈夫ではないかと思われます。

◇丑の日のうなぎの地域差はある?

うなぎについては地域によって、背開きか腹開きか違っていたり、蒸し工程が入ったり入らなかったりと、調理については差がありますが、丑の日にうなぎを食べる風習に地域差はあるのでしょうか?

うなぎ蒲焼の全国10地方別の月別支出金額推移ですが、どの地方も7月に大きく伸びていることがわかります。さらに、7月のうなぎ蒲焼の購入金額について全国52都市(県庁所在地・政令指定都市)でも調べてみました。

単年データだとブレが生じるので、2018~2020年の3年平均で比較しています。どの都市も7月の支出金額は年平均の約4倍となっており、丑の日のうなぎ蒲焼の購入金額の跳ねっぷりがわかります。

日本のうなぎの産地としては、鹿児島・愛知(三河)、静岡(浜松)、が有名ですが、この中では浜松の購入金額の高さが目立ちます。その浜松を7月の支出金額では上回っているのが金沢市です。石川県や金沢市では基本的に魚の消費が多いことからうなぎも好まれていること、そしてうなぎの蒲焼を外食店よりも市場やスーパーで買って家で食べる文化が強いこと、などから支出金額が高くなっているようです。 図④、図⑤でわかるように、全国万遍なく、丑の日にうなぎを食べる風習はしっかりと根付いているようです。

◇土用しじみも丑の日に大きく伸びる!地域差は?

丑の日に大きく売上げが伸びるものとして「しじみ」もあります。

スーパーでの丑の日のしじみの売上げも、うなぎと同様に2020年は好調な売上げを記録しています。しっかりと一の丑にも二の丑にもピークが出ていますね。

「土用しじみ」はうなぎよりも前から夏の土用に食べられる習慣があったようで、オルニチン効果の健康パワーで注目されるよりもはるか昔から夏バテ防止に健康に良いしじみが食べられていたようです。

しじみについても7月の購入金額について全国52都市の状況を調べてみました。

うなぎほどではありませんが、しじみもどの都市でも7月の支出金額は高くなっており、年平均の約1.5倍になっています。

しじみの日本三大産地として、青森(十三湖、小川原湖)、茨城(涸沼)、島根(宍道湖)、が有名ですが、図⑦でも青森市、水戸市、松江市のしじみの支出金額は大きく伸びています。 丑の日には、うなぎだけでなく、しじみの強化もしていきましょう。

●丑の日の年代別でのうなぎの楽しまれ方とサイドメニューを含めた食卓の違い。

◇うなぎ長蒲焼の強化のポイントは?

丑の日のうなぎは、やはりうなぎ長蒲焼がメインとなります。

丑の日のうなぎ長蒲焼の売上げは、年平均の約57倍にまで大きく跳ね上がります。図③のところで述べたように、現在も続いているうなぎの好調な数字の流れは高齢層の購買の増加に支えられているのですが、丑の日では高齢層の増加に加えて若年層の増加も加わり大きな伸びにつながっています。

図⑨は、うなぎ長蒲焼の2020年の一の丑があった7月と、直近4月のそれぞれの前年同月と比べた年代別増加高の比較です。2021年4月は70代、60代の増加高が目立ちますが、2020年7月、すなわち丑の日ではそれに加えて30~50代の増加高も高齢層と肩を並べるぐらい大きくなっています。

うなぎ長蒲焼の年間平均の購買価格帯は1500~2000円未満が多く、2000円以上の構成比は約23%ですが、丑の日には高価格帯の購買が増え、2000円以上の構成比が約56%と半分以上を占めるまでになってきます。

丑の日のうなぎ長蒲焼の3000円以上のパックは、40~50代で特に多く買われており、うなぎが複数入ったファミリーパックであることがわかります。丑の日のうなぎ長蒲焼は図⑩のように、幅広い価格帯、すなわち容量や産地などの幅広い品ぞろえが必要となってきますが、増えてくる若年層、特に40~50代のファミリー層をターゲットにした、家族の人数分のうなぎを楽しめる商品の強化が特に重要ではないかと思われます。

◇うなぎ串蒲焼、うなぎカット蒲焼も狙い目!食シーンは?

丑の日のうなぎは、長蒲焼以外も大きく売上げを伸ばしてきます。

丑の日のうなぎ串蒲焼の売上げは年平均の約31倍、うなぎカット蒲焼は約67倍にまで大きく売上げを伸ばします。

うなぎ串蒲焼はうなぎ長蒲焼よりも高齢層に買われやすくなっており、価格帯や一緒に買われやすい商品から見ても、高齢層を中心におつまみ的な使われ方をしているのではないかと推測されます。また、うなぎ串蒲焼はうなぎ白焼きと一緒に買われやすくもなっており、蒲焼と白焼きの2種類を楽しみながら家飲みをしていることも考えられます。高齢層が好む日本酒との家飲みおつまみ商品として、うなぎ串蒲焼とうなぎ白焼きをセットにしたものも面白いかもしれません。 うなぎカット蒲焼は、購買価格帯が低価格帯と高価格帯の2つに大きく分かれています。分かれ方から、容量での違いが価格の違いに表れているのではないかと思われます。小容量のうなぎカット蒲焼の利用メニューとしては例えばうなぎちらし寿司などに、大容量のうなぎカット蒲焼はひつまぶしやうな丼に使用されているのではないでしょうか。うなぎちらし寿司用に大葉やみょうが、錦糸卵などを、ひつまぶし用には薬味やだしの素なども一緒に購入してもらえるようなメニュー訴求POPでの販促はいかがでしょうか。

◇うな重・うな丼のメインターゲットは高齢層!

丑の日の惣菜部では、うな重・うな丼の売上げが大きく跳ねます。

図⑭は、丼惣菜すべての売上げの日別推移で、うな重・うな丼だけでなく、天丼やかつ丼も入ってしまっていますが、丑の日の増加金額はほぼすべてうな重・うな丼と判断して問題ないと思われます。惣菜のうな重・うな丼も2020年は前年を上回る売上げとなっています。

丑の日に丼惣菜を買われる年代層を調べてみると、丼惣菜の年間平均購買層よりも高齢にシフトしていました。うなぎ長蒲焼の購買年代層よりもさらに高齢になっており、丑の日の惣菜部のうな重・うな丼は、60代以上のお客様の売上げが約6~7割を占めています。

丑の日の丼惣菜の購買価格帯は大きく高価格帯に広がっています。1500円台の丼惣菜が全体の約3割を占めており、国産うなぎを使用したうな重惣菜であろうと推測できます。また、700円台、900円台にもピークが出ており、こちらはミニ丼や輸入うなぎを使用したうな重・うな丼ではないかと思われます。

丑の日の丼惣菜のうな重・うな丼は高齢層がメイン顧客となりますので、国産うなぎを使用した1500円台の商品をメインに展開し、国産うなぎを使用したミニ丼でお買い求めしやすい価格帯も品ぞろえをしていくという展開が王道となるのではないでしょうか。また丼惣菜のうな重・うな丼を買われる方は一緒に他のお惣菜を買っていく傾向も出てきています。1500円のうな重・うな丼を買っていただいた方には、和え物惣菜やカットフルーツなどが10円引き20円引きで購入できる、といったサービスで客単価をさらに上げていく工夫も面白いかもしれません。

◇うなぎと一緒に食卓に登場するメニューは?年代別での食卓提案!

丑の日には、うなぎ以外では、どんなメニュー、どんな商品が注目されるでしょうか?丑の日にうなぎ長蒲焼と一緒に買われやすい商品をピックアップしてみました。

図⑰は丑の日に、うなぎ長蒲焼と一緒に買われていた商品の内、リフト値が高いものから、うなぎと一緒の食卓に出ているであろう商品をまとめてみたものです。うなぎ長蒲焼を買われた方の約35%が蒲焼のたれを買っているということで、うな重・うな丼に仕上げていくための蒲焼のたれの関連販売も欠かせないことがわかります。 汁物商品では、土用しじみや、みつば、即席味噌汁が一緒に買われやすくなっています。即席味噌汁では、やはり、即席しじみ汁が多く買われており、その他ではお吸い物が多くなっていました。これらの汁物商品について、丑の日に購入している年代層を調べてみました。

しじみは60~70代の高齢層によく買われていますが、即席しじみ汁になると50代の購買も増えてきています。しかし40代以下ではしじみも即席しじみ汁も弱くなっており、若年層では即席お吸い物の方が一緒に買われやすくなっているようです。若年層に向けた土用しじみの健康習慣をお知らせしていく必要もあるかもしれません。

副菜では、レトルト茶碗蒸しや玉子豆腐、ゴマ豆腐などの、比較的あっさりとした味わいのものが良く出てきています。また奈良漬や浅漬けなどのさっぱりとしたお漬物も良く買われています。こってりとしたうな重・うな丼に合わせるために、あっさりさっぱりとしたメニューが好まれていることがわかります。お漬物系を買っているのはひたすら高齢層なので、若年層に向けたさっぱりメニューの提案も必要です。 これらのサイドメニューも含めた、丑の日の年代別の食卓提案の事例をまとめてみました。

高齢層では手作り派と惣菜利用派に分かれます。さっぱりメニューとして、うなぎ長蒲焼のうな丼に使用した余りを使ったうざくの提案はいかがでしょうか。

若年層の特に子育て世帯では、家族の人数分のうなぎ長蒲焼を使用したうな丼をメインに、即席のお吸い物で汁物を準備します。副菜として、夏が旬のオクラを使って、丑の日に食べると良いと言われている「う」のつく梅味に仕上げたオクラの梅和えの提案はいかがでしょうか。

丑の日の食卓として、うな丼は決まっているけど、他はどうしようかな?という方に向けて、土用しじみや土用もちなどのおすすめアピール、茶碗蒸しやうざくなどのあっさりさっぱりメニューを合わせた献立提案、食卓提案もしていって、丑の日の食卓を楽しんでもらえるような売場づくりをしていきましょう。


今回は2021年今年の丑の日の作戦を考えてみました。2020年の丑の日が絶好調過ぎていたので、少しでも抵抗できる企画を考えていこうと思っていましたが、流れ的には2021年の丑の日も昨年並みの売上げを達成できるのではないかと感じてきました。基本的には今年も丑の日のうなぎニーズは強いことが予想されますので、求められているコトをしっかりと売場で準備していって、お客様に喜んでもらえるような丑の日にしていきましょう!

●今年の丑の日はどのような食卓にしますか?

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