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まだまだ続く!?韓国グルメブーム!スーパーで伸びている商品や食卓シーンとは?

コロナ禍以降、第四次韓流ブームと言われだして随分たちましたが、韓国ドラマやアイドルのブームが落ち着きだしても食に関してはまだまだ色々な韓国料理がメディアに取り上げられ続けています。スーパーでも韓国料理に関連する商品を見かけることが近年多くなっていますが、どんな商品がどのような方にどういったシーンで購入されているのでしょうか。今回はブームが続く韓国料理に注目して、色々と分析していきたいと思います。


●韓国グルメの現状について。キムチや韓国のりの購入者は?

まずは韓国グルメに関する注目度の推移を見てみましょう。

こちらは、グーグルでの「韓国」の検索頻度について、フード・ドリンク部門での推移を見たグラフです。2019年頃にはいったん落ち着きを見せ始めていた「韓国」というキーワードですが、コロナ禍以降急伸し、現在もその勢いを保っていることがわかります。チーズタッカルビやトッポギなど、年によっていろいろなメニューが流行してきた韓国グルメですが、まずは韓国グルメの素材として最もポピュラーなキムチと韓国のりについて、動向を見ていきたいと思います。

◇キムチの現状把握。購入者はどの年代?

キムチは漬物カテゴリーの中で最も売上ボリュームの大きいカテゴリーです。本来は年間通して売上の変動の少ない商品ですが、昨年の第一次緊急事態宣言下において売上が急上昇しました。現在は前年割れしてしまっているものの、2019年度と比較すると大きく伸びており、コロナ禍で新たにキムチを買い始めた方がある程度定着して買い続けてくれていることがわかります。

キムチの購入年代をみてみると、他の種類の漬物がすべて高齢に買われやすいのに対し、キムチは20代~50代に買われやすく、漬物カテゴリーの中で異彩を放っていることがわかります。キムチはご飯のお供としての需要だけでなく、豚キムチや焼肉など、具材入り調味料としての性格も持っているために調理に使われやすく、若い世代に購入してもらいやすくなっています。食べるものは年をとっても変わらないことが多いので、長期的にみたときに他の漬物がこのままでは売上を減らしていってしまう可能性が高い中、キムチの売上は伸びていくことが予測できます。

◇韓国のりの現状把握。伸びているのはどのタイプ?

続いて、韓国のりの状況も見てみましょう。

韓国のりは板状タイプのものとフレークタイプのものにわけられますが、近年人気が出てきているのがフレークタイプのものです。どちらも2020年3月~5月に売上が上昇しましたが、板状タイプのものはその後徐々に売上が下がってしまっているのに対し、フレークタイプのものは現在も昨年以上の売上を保っています。

それぞれについて、購入されやすい年代を調べてみました。海苔全体も比較的30~40代に買われやすい商品カテゴリーですが、板状の韓国のりはそれと比べて40~50代で買われやすくなっており、フレーク状の韓国のりはさらに20~50代と若年層での購入が顕著になっています。従来の板状の韓国のりがご飯のおともやおつまみとして使用されていたのに対し、フレーク状のものはご飯にふりかけのようにかけられる手軽さだけでなく、サラダやスープなど色々な料理に使える汎用性も買われて、より若い方に購入していただけるようになっているのではないでしょうか。

●韓国料理のスーパーでの売上上位メニューとそれぞれの食卓シーンとは?

続いて、韓国料理について見ていきたいと思います。スーパーに並んでいるすべての商品のうち、韓国料理関連のものをできる限りピックアップして直近1年の売上割合を見てみました。なお、今回分析できているのはJANコードがついている商品のみとなりますので、インストアで製造されているお惣菜やPBの商品に関しては含まれていないことをご容赦いただければと思います。

最も売上ボリュームが大きいのがキムチ鍋、次いでビビンバ、スンドゥブ、麺(輸入インスタント麺やチゲうどんなど)、チョレギ、というような順になっています。では、ここ1年間での売上変化はどのようになっているのでしょうか。

図⑦は2020年9月~2021年8月までの売上と前年の同期間とを比較し、増加高の大きかった商品カテゴリー順に並べたグラフです。1位の韓国の果実発酵酢はじわじわと売れてきていたところで、コマーシャルでもとりあげられるようになり人気に火が付きました。従来売られていた日本の飲用酢は50、60代の健康に気を使っている中年世代によく買われていたのに対し、韓国の果実発酵酢は美容を売りにしているため、20~50代とより若い世代に購入されやすいのが特徴です。健康を気にしている人だけでなく韓国グルメが好きな人にも買われやすく、嗜好品のひとつとしてのポジションも築いているようです。増加高2位のトッポギもじわじわ伸びていたところで、昨年の9~11月にラポッキが爆発的にヒットしたことで大きく増加高を伸ばしています。ちょうどそれから1年がたつ頃ですので、一過性のブームで終わるか、ある程度定着するのかは今が正念場、というところでしょうか。

今回は増加高3位のチョレギ、4位のビビンバ、そして韓国料理の定番ながら昨年同時期と比較した増加高では最下位に沈んでしまったチヂミに関して深堀をしていきたいと思います。

◇有望サイドメニュー!チョレギサラダが出るのはどんな食卓?

チョレギ関連の商品群の売上は、主にチョレギドレッシングと惣菜のチョレギサラダに二分されます。まずは、チョレギドレッシングとドレッシング全体の売上推移を見てみましょう。

左側のグラフがチョレギドレッシング、右側のグラフがドレッシング全体の月別売上推移です。ドレッシング全体は前年を少し超えている、もしくは前年並みなのに対し、チョレギドレッシングは大きく伸び続けていることがわかります。

続いて、チョレギサラダとサラダ全体の動きも見てみます。

こちらも、サラダ全体はかろうじて前年越えなのに対し、チョレギサラダは大きく前年を上回っており、チョレギサラダの人気が手作りでも惣菜でも高まっていることがわかります。では、それぞれについてどのような年代の方が購入しているのでしょうか。

チョレギサラダはサラダ全体とほとんど同じ年齢層で、幅広い年代に購入されやすくなっています。一方、チョレギドレッシングはドレッシング全体と比べて大きく若年層に偏りがみられます。韓国料理は全般的に40~50代に購入されやすいものが多いのですが、チョレギドレッシングもやはりその傾向が強くなっています。そのチョレギドレッシングについて、一緒に購入されやすいものについて調べてみることで、食卓シーンをイメージしました。

チョレギサラダの具材としてはリーフレタス・レタスを野菜のメインに、トッピングとして乾燥わかめや海苔が使用されています。特にリーフレタスはドレッシング全体の同時購入と比べてもさらに2.5倍ほど一緒に買われやすく、チョレギサラダにはリーフレタス、という意識が強いことがうかがえます。また、韓国料理の素や韓国の調味料も一緒に買われやすく、特にタッカルビの素やチャプチェ、ビビンバの素などお肉を使ったおかずメニューの素が多くなっていました。メインメニューをお肉系韓国料理にした際の付け合わせとして、さっぱりと食べられるチョレギサラダが選ばれていることがわかりました。全般的に韓国料理が好調な中、色々なメニューにあわせやすいチョレギサラダが重宝されていることが、好調要因のひとつとなっているのではないでしょうか。

◇韓国料理の代表格!ビビンバの購入動機と食卓シーンについて。

それでは、続いてメインメニューとして伸びの大きいビビンバについても調べてみたいと思います。ビビンバは主に調味料と冷凍食品で販売されています。惣菜も大きな売上があるとは思いますが、インストアが多く正確な数値がとれないので、今回の分析対象には入れていません。ビビンバに関して販売形態別での動きをみてみました。

ビビンバの調味料は、ごはんに混ぜるだけで完成する具入り調味料(混ぜるだけ)、肉や野菜を足して焼いて絡めるなどの調理が必要な具入り調味料(要調理)、レトルトでごはんまで入っているもの、具材の入っていない調味料(売上が小さいため、図からは割愛)の4つのタイプに分けられます。ビビンバの形態別で売上ボリュームがそれなりにあり、伸びているのは冷凍食品、具入り調味料(混ぜるだけ)、具入り調味料(要調理)の3つの形態です。このうち、冷凍食品のビビンバは、冷凍食品全体と同じような動きをしており、ビビンバメニューとして好調というよりは、冷凍食品の好調さによるところも大きいと考えられます。

この3形態について、年代別での売上構成比を調べてみると、冷凍が最も若年に買われやすく、要調理のものは40、50代に、混ぜるだけのものは40~60代に購入されやすいことがわかりました。同じ具入り調味料という形態でも、混ぜるだけのものと調理が必要なものには買われるタイミングに違いはあるのでしょうか。ビビンバの具入り調味料について、平日、休日時間帯別での売上構成比を調べてみました。

混ぜるだけの具入り調味料が平日の夕方の購入が多く、休日にはあまり購入されていないのに対し、調理が必要な具入り調味料は平日の夕方にも上がりますが、休日の夕方にも購入されやすくなっています。ビビンバはレシピ検索サイトでのホットプレートとの同時検索ワードでここ数年間常に1位か2位をキープしている隠れたホットプレートメニューなのですが、具入り調味料(要調理)タイプにおいては平日夜の簡便お助けメニューとしての性格以外にも、家族で楽しむ週末のホットプレートメニューとしての需要があることがわかりました。

それぞれのシーンをイラストに表してみました。平日は混ぜるだけの簡便調味料としてのビビンバ丼を売り込みます。要調理のものと比較して、温泉卵の同時購入が多かったのでそちらも関連販売すると、簡単にできるけれどもより満足度の高いビビンバ丼を提案できます。休日には、ホットプレートで見た目にも美しく、かつ石焼感が楽しめることをアピールして、牛こま切れ肉と合わせて要調理のビビンバ調味料を提案すると、家族みんなで楽しんでいただくイベント感のあるメニューとして販促できるのではないでしょうか。

◇メインにもサイドにも!チヂミの販促タイミングと提案方法とは?

最後に、最近少し不調なチヂミについてもみてみます。増加高最下位と聞くと大きく前年を割っているように見えますが、チヂミはもともとの売上が大きいために少し割っただけで金額では大きく出てしまう傾向があります。実際、前年同期比では93%と第一次緊急事態宣言下でお好み焼きなどのミックス粉の売上が大幅上昇した影響を鑑みると、そこまで見劣りのする数字ではありません。売場にあるチヂミは主に冷凍とチヂミ粉の2タイプにわかれますが、直近1年の売上割合は冷凍が13%、チヂミ粉が86%とチヂミ粉の割合が圧倒的に大きくなっています。そのチヂミ粉について、週別の売上推移をみてみます。

チヂミ粉(具材・タレ付き含む)は春によく売れる商品ですが、その中でも特にゴールデンウィークに売上のピークを迎えています。お好み焼き粉やたこ焼き粉などの和風ミックス粉もゴールデンウィークに売上のピークを迎えますが、チヂミにも同じような需要があることがわかります。しかし、さらに細かく曜日別での売上をみてみると、違った需要も見てとれます。

図⑰はチヂミ粉と和風ミックス粉について、曜日別の売上構成比をみたグラフです。和風ミックス粉は顕著に土日の売上が上昇しているのに対し、チヂミ粉は月曜と火曜の売上が上がっています。チヂミ粉と一緒に購入されている商品を見てみても、ニラやシーフードミックス、豚小間切れ肉などのチヂミに使う具材のほかに、チャプチェやタッカルビ、ビビンバの素などの他の韓国料理の素もよく一緒に買われており、韓国料理の副菜としてチヂミを食卓に出している光景も予想されます。チヂミに関しては、GWや休日には豚こま切れ肉やシーフードも入れてボリューム感を出し、お昼ご飯のメインとなるような形で、平日にはニラだけでも簡単にできる副菜としての一面をアピールすることで、より多くのパターンの食卓を提案することができます。

●今後売上が伸びそうな商品は?スーパーでのネクストブレイクはこれ!

最後に、好調が続く韓国料理の中でもタッカルビやトッポギに次ぐトレンド商品となりうるメニューについても予測したいと思います。

図⑱は数年前に一世を風靡したチーズタッカルビ、最近売上を大きく伸ばしたトッポギ、韓国料理の定番ビビンバ、そしてヤンニョムチキンについて、グーグルでのフード・ドリンク部門の検索指数の推移をみたグラフです。ヒット時のチーズタッカルビの勢いにはまだまだ及びませんが、最近ではヤンニョムチキンの検索がトッポギやチーズタッカルビを超え、定番ながら検索を伸ばしているビビンバに迫る勢いで伸びてきていることがわかります。また、検索指数そのものは取りづらいのですが、「フライドチキン」の検索ワードの注目関連キーワードの上位に「韓国」というのも最近あがってくるようになっており、韓国風フライドチキンも注目度が増しています。ヤンニョムチキンも、ハニーマスタードをディップする韓国風フライドチキンもまだまだスーパーで売られている商品数は少なく、売上増加に大きく直結してはいませんが、どちらも外食店やデリバリーでの存在感は最近増してきていると感じます。ヤンニョムチキンや韓国風フライドチキンは夕飯のメインとなるおかずになる、というだけでなく、色味も赤や黄色と売場での存在感を出しやすく、売場で映える特徴を持っていますので、韓国風2色チキン、といった売り出し方も面白いかもしれません。ヤンニョムチキンも韓国風フライドチキンも手作りの際のソースや粉、冷凍食品、惣菜部門と幅広い部門で取り組める商品ですので、今後いろいろな部門で取り扱いを増やしていけば、お店全体で盛り上げることのできるメニューとなるのではないでしょうか。


今回はブームが続く韓国料理について、スーパーでの売上状況を確認するとともに、いくつかのメニューをピックアップして食卓シーンを分析してみました。今回の分析では、思った以上に韓国料理はほかの韓国料理と一緒に出されやすく、献立としての提案も重要であることがわかりました。それぞれの料理について、タイミングやターゲットをしっかりと把握し、メニュー提案、献立提案することでより多くの人に韓国料理をもっと楽しんでいただくことができると思います。

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