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どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その② ~クリスマス年末年始商戦を勝ち抜くポイント!農産部・水産部編~

「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その①~「クリスマス年末年始の過ごし方」アンケートを分析!~」では生活者の意識調査の結果を紹介させていただきました。今回はそのアンケートの結果や、昨年の年末年始の消費状況、今年のお盆期間の消費状況などから、今年のクリスマス年末年始商戦への具体的な戦略提案をお話させていただきます。コロナ禍の影響、曜日周りを巡るクリスマス売場から年末年始売場への切替えタイミング、各部門・各商品の強化タイミングやポイント、などなど盛りだくさんの内容となっておりますので、ぜひ、ご一読、ご参考にしていただければと思います。

なお、今回のその②では農産部・水産部での消費状況把握と対策提案をさせていただきます。畜産部・惣菜部・その他についてはその③までお待ちください。


●クリスマス・年末年始期間の消費についての基本情報

クリスマス年末年始商戦はありとあらゆる販売チャネルや商品において年間で最も売上げが大きくなる2週間です。

図①はスーパーマーケットの食品全体の週平均の1日当たりの売上げ推移を示しています。2019年のクリスマス・年末年始週の山が最も大きくなっていることがわかります。2020年は2月最終週の自粛要請・休校要請からスーパーマーケットの売上げは拡大してきており、現在もその流れは継続しています。お盆期間も帰省需要は減少しましたが、野菜の高騰や、ちょっといいもの需要の増加、猛暑の影響などで前年対比115%と大きく伸びています(既報記事「速報!今年のいつもとは違う「特別な夏」のお盆商戦はどうだった?」参照)。

このように年間で最も売上げが大きくなるクリスマス年末年始商戦においては、もちろん全ての年代ターゲットが大事になってきますが、特にスーパーにおいては支出が大きくお盆期間以上に売上げが跳ね上がる高齢層の需要獲得が重要となってきます。

今年のお盆期間は高齢層の売上げが微増で、若年層の売上げがコロナ禍以降の増加を維持し、トータルでは前年を上回りました。「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その①」で紹介したクリスマス期間の過ごし方についてのアンケートからは、家族でのパーティー実施は前年並みを維持する予測になっています。コロナ禍以降の生活者の家ナカ消費への積極的な取組み傾向から、クリスマス期間の売上げは期待できると思われます。また、年末年始期間の過ごし方についてのアンケートからは、年末年始の帰省は前年の約7割の実施、自宅で過ごす方は前年の1.3倍に増加、といった行動が予測されていますが、傾向としてはお盆期間と似たような感じになりそうなので、お盆期間と同じく、やはり高齢層の需要をいかに維持していくかが売上げづくりという点においての重要課題になってきます。

スーパーマーケットでのクリスマス・年末年始期間の各部門や各商品も年間で最も売れるものが多くなりますが、その影響度合いはこのようになっています。

どの部門・商品群も100%を超えてきますが、生鮮惣菜の主要4部門では水産部の180%という大きな数字が目立ちます。他の部門・商品群も含めて次章より、現状把握とそれに対する戦略提案を紹介していきます。

なお、クリスマス年末年始商戦では、曜日周りも重要な要素です。こちらも確認しつつ読み進めていただければと思います。

●農産部ではクリスマス用・おせち用・鍋用とそれぞれのシーンに合わせた対応が重要。注目はいちご!

農産部においてクリスマス年末年始期間に強化すべき商品についてまとめてみました。

農産部の生活シーン別の用途では、クリスマス用、おせち用、鍋用(お雑煮用含む)、の3つが大きなニーズとなってきます。

おせち用の野菜の購買では、れんこん・里芋・ごぼう・ゆりねなどの根菜類はクリスマス明けすぐの比較的早めの時期から買われているのが特徴です。そして30日をピークに31日は落ち着いた動きになってきています。普段の3~9倍の売上げにもなる、おせち用の根菜類については、今年の年末もクリスマス翌日の12月26日(土)、27日(日)から多めの品ぞろえをした売場づくりが必要そうです。

鍋用(お雑煮用含む)の野菜の購買は、クリスマスの2~3日後から急速に売上げが上昇してきます。一番の注目メニューはすき焼きです。「早くも始まっているスーパーの秋冬向け鍋商戦!~鍋に求められるコトとは?今年の鍋商戦を勝ち抜くポイントは?~」でも紹介しましたが、すき焼きは大晦日~正月三が日の食卓登場が突出して多くなるメニューになっています。すき焼き用を始めとした鍋用(お雑煮用含む)の野菜は、クリスマス後の週末明け、12月28日(月)から多めの品ぞろえをしていきましょう。

果物ではクリスマスのカットフルーツミックスが注目です。

カットフルーツミックスは12月24日のクリスマスイブの日が年間で最も大きな売上げとなる商品です。

カットフルーツミックスは普段は200円台が購買の中心となっていますが、クリスマス期間は300円台がメインの価格帯となります。また、980円や1,000円以上の単価のものもクリスマス期間は増えてきます。カットフルーツミックスと一緒に買われるものとして、デザート素材(スポンジ台、デコペンなど)やホイップクリームも挙がってきており、フルーツデザートとしてだけでなく、クリスマスケーキのトッピング素材用として販促出来るような商品設計のカットフルーツミックスも品ぞろえしてはいかがでしょうか。 果物でもうひとつ注目すべき商品が「いちご」です。

図⑩は、スーパーマーケットのいちごの週別の1日当たり1店舗当たりの売上げ推移ですが、クリスマス年末週に大きなピークがきています。12月部分をさらに日別売上げ推移で見てみます。

すると、カットフルーツミックスの大きなピークはクリスマスイブの日だけだったのに対して、いちごはクリスマスイブの日のピークと、もうひとつ大晦日にも売上げのピークがあることがわかります。ちなみに2019年の売上げ実績では、いちごが最も売れた日は2019年12月31日になっていました。

クリスマスイブの日のピークが手作りケーキ用であることはわかりますが、大晦日のピークは何なのでしょうか?クリスマスと大晦日、それぞれでいちごを誰が買っているのかを調べてみました。

クリスマスのいちごは、30~40代に大きなピークがきており、子育て世帯が子どもと一緒に手作りケーキを楽しむ様子が浮かびます。一方、大晦日のいちごは60~70代に大きなピークがきていて、明らかにクリスマスとは違うシーンを目的に購買されていることがわかります。さらに購買価格帯についても調べてみます。

図⑬はいちごパックの一品単価の価格帯別構成比を表したもので、年間平均では300円台のものが最も多く買われていますが、クリスマス・年末はともに500円台のものを中心に買われるようになっています。注目は年末のいちごが、800円台・900円台・1000円台以上でも多く購入されているところです。

いちごが入っている買い物カゴを分析してみると、クリスマスはデザート素材(スポンジ台、アラザン、デコペンなど)、ホイップクリーム、フルーツ缶などのケーキ用素材が一緒に買われていますが、年末は、ぶどう、梨、カットパイン、オレンジ、キウイフルーツなどの他の果物が一緒に買われていました。

まとめると、年末のいちごは、60~70代が購買の中心、高価格帯のものが良く買われている、他のフルーツも一緒に買われている、といった特徴があります。これらのデータから、大晦日のいちごのピークは、主に帰省先での大晦日~正月三が日の家族団らんシーンのフルーツデザートとしての利用用途で構成されていることがわかりました。

クリスマス・年末のいちごの商品戦略として、クリスマスはケーキにたっぷりといちごを載せられるようにお買い求めしやすいものを中心に品ぞろえ、大晦日は高品質のものや、紅いいちごと白いいちごを組み合わせた「紅白いちごセット」のようなめでたいものなど、団らんの話題となるようなものを中心に品ぞろえしていくのはいかがでしょうか。

●水産部では刺身・冊カテゴリーの年末年始団らんニーズが最重要!特に冊の強化がポイント。

水産部でのクリスマス年末年始期間にポイントとなる商品についてもまとめてみました。

水産部における生活シーン別の用途では、クリスマス用、おせち用、年末年始団らん用の3つがあり、特に年末年始団らん用ニーズは水産部にとっては年間で最も突き抜けた売上げとなる重要なポイントとなります。その年末年始団らん用ニーズの中心となるのが、刺身・冊カテゴリーです。

図⑯は刺身・冊カテゴリーの週平均の1日当たりの売上げ推移ですが、クリスマス年末週の売上げは普段の2倍以上の売上げとなっています。ただクリスマス年末週と言っても、金額規模では年末の方が圧倒的に大きく、クリスマス期間にも売上げが大きくなるのは、サーモン刺身・冊、えび、ほたて、いくら、寿司種セットなど、主に若年層のクリスマスパーティー用のカルパッチョサラダや手巻き寿司用の商品のみとなっています。

刺身・冊カテゴリーの売上げは年末の中でも特に31日大晦日に最も大きくなりますが、大晦日の刺身・冊カテゴリーの具体的な商品ランキングを年間ランキングと比較してみます。

大晦日のランキングでは、年間ではランクインしていない「生うに」や「ふぐ刺身」などの高価格商品が入ってきています。大晦日は買われる点数も圧倒的に多いのですが、買われる価格帯がまったく異なることが売上げが大きくなる要因です。

図⑱は刺身・冊カテゴリーの価格帯構成比について、年間と大晦日で比較したグラフになります。クリスマスは年間平均と比べて若干高価格帯に振れるだけですが、、大晦日では1,000円以上の商品が大きく増え、2,000円以上、3,000円以上の商品も普通に並んできています。今年はコロナ禍の影響で、本来であれば高級外食店で使われるような高級魚が行き場を失って通販や小売店に流れているという実情があるようです。「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その①」でも紹介させていただいたように、今年の年末年始はいかに家の中で楽しく過ごせるかが重要になってきており、プチ贅沢感を演出しやすい刺身・冊カテゴリー商品は、お客様に驚きを与えられるような思い切った取組みに最適なのではと思われます。

もうひとつ、大晦日の刺身・冊カテゴリーのランキングの特徴として、売れ筋上位4魚種である、本まぐろ、まぐろ、ぶり・はまち、サーモンの、刺身と冊が同じぐらいの売上げになってくるということがあります。

図⑲は、4魚種の年間平均での刺身と冊の売上げ割合と、大晦日での刺身と冊の売上げ割合を比較したグラフです。普段はどの魚種も、刺身の方が冊よりも売上げが大きいのですが、大晦日は刺身と冊の売上げが拮抗してきていることがわかります。大晦日に冊が大きく伸びる背景にはどのようなことがあるのでしょうか?年末売場でとても忙しい売り手側の都合といった理由もあるかとは思いますが、お客様側の冊を求める理由では何かあるのでしょうか?大晦日での刺身と冊の買われる年代を調べてみました。

大晦日では、刺身が若年寄り、冊が高齢層寄りになっていることがわかります。普段は刺身が比較的高齢寄り、冊が若年寄りですが、大晦日は逆になってきます。それぞれの大晦日での買い物カゴを分析してみると、若年層は大晦日に刺身を買って、その日に手巻き寿司などにしてすぐに食べてしまうことが、一方高齢層は冊を大晦日に刺身として食べるだけでなく、正月三が日にも刺身や海鮮丼などにして食べているのではないかと予想できる内容になっていました。2021年の年始は正月三が日を休業するスーパーも増えてきているようなので、刺身よりは日持ちのする冊を求めるニーズがさらに強くなることが予想されます。今年の年末の刺身・冊カテゴリー商品は、プチ贅沢感を感じられる商品や、冊の強化がキーワードになると思われます。

刺身・冊カテゴリー以外の強化ポイントとして、クリスマスの魚介系のメインメニューのひとつにパエリアがありますが、パエリアの素のメニュー調味料がコロナ禍以降、安定的に売上げを伸ばしてきています。

パエリアの素のメニュー調味料は自粛要請・休校要請のあった2月最終週から前年を上回る売上げの推移となっています。パエリアは最近ではアウトドアバーベキューメニューとして人気が向上してきており、グラフでもゴールデンウィークの売上げが大きくなってきていますが、年間を通して見た場合はやはり圧倒的にクリスマスに多く食べられています。

パエリアの素のメニュー調味料について、昨年2019年12月の日別売上げ推移を見ると、24日クリスマスイブの前、12月22日(日)にもピークが来ています。クリスマスイブの日のパーティー以外にも、週末実施のクリスマスパーティーにもパエリアメニューが食されているようです。

パエリアの素のメニュー調味料が入っている買い物カゴの金額を分析してみると、クリスマスイブの日のパーティーでもバスケット単価は大きくなっていますが、週末実施のクリスマスパーティーの方はさらにバスケット単価がふくらみます。さらに買い物カゴの中身も調べてみると、シーフードミックスやパエリア用の魚介類がセットになったものは、どちらの日でも一緒に買われやすくなっていましたが、週末実施のクリスマスパーティーの方がさらにその傾向が強くなっていました。ムール貝やあさり、いか、えび、などの単品での購入はクリスマスイブのパーティー用の方が買われやすい傾向になっていました。

パエリアの素のメニュー調味料が入っている買い物カゴからの、週末クリスマスパーティーとクリスマス当日パーティーの違い分析からわかることとして、週末タイプでは参加人数も多く、用意する品数も多いのでパエリアはより簡便に準備できる調理の段階が選ばれており、たくさんのメニューの中のひとつといった感じですが、クリスマス当日タイプでは例えばホットプレートで作るパエリアのように、メイン的なメニューとして扱われているのではないかと考えられます。「どうなるどうするクリスマス年末年始商戦!その①」でも紹介させていただいたように、今年のクリスマスパーティーはクリスマスイブの日24日以外でも、25日(金)、26日(土)など後ろ倒しの日程で実施する方もいらっしゃるようですので、24日だけでなく、25日、26日にもパエリアメニューを家で楽しみたいという方に満足してもらえるような品ぞろえもしていく必要性があるのではないでしょうか。


今回は、農産部と水産部のクリスマス年末年始商戦の消費状況の把握と対策提案についてお話させていただきました。クリスマス年末年始は基本的に何でも売上げが伸びてしまうのですが、特に伸びているものについてその背景を調べてみるといろいろと面白いことがわかりました。伸びてきている背景や理由がわかると、お客様にもっと喜んでもらえるような商品づくり・売場づくりが出来てくるのではないでしょうか。

記事が長くなってきていて申し訳ありませんが、クリスマス年末年始記事は次回その③で〆となりますので、もう少しお付き合いください。


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