• 日本食研グループのシンクタンクとして「食」を分析し、食ビジネス活性化のための情報発信を行います

速報!今年のいつもとは違う「特別な夏」のお盆商戦はどうだった?

6月下旬に、「どうなるどうするお盆商戦!「今年のお盆の過ごし方」アンケートを分析!~今年のお盆商戦を勝ち抜くポイントは?~」記事を投稿しましたが、おかげさまで大変多くの方にご覧いただき、ありがとうございました。残念ながら、記事投稿後の7月からコロナ禍が再拡大してきてしまい、旅行や帰省が記事の予想よりもだいぶ縮小してしまったようです…。今回は今年のお盆期間の売上状況を振り返り、今後や年末年始の予測に役立つような記事にしていきたいと思います。


●今年のお盆のスーパー食品全体の状況は?

まずは今年のスーパーのお盆期間の売上状況を去年と比較して見てみます。(図①)

帰省や旅行が大きく減少しているにもかかわらず、スーパーのお盆期間の売上は前年を上回る実績となりました。

今年のお盆期間に生活者のみなさんがどう行動していたか?はスーパーの来客動向を年代別に見てみると、結構はっきりとした傾向が見えてきます。

図②は高齢層のお盆期間のスーパーへの来客動向を昨年と比較したものですが、去年の動向を示す青線のお盆期間の前半にあった大きな山が、今年は出来ていないことがわかります。子どもたちが来るから、孫たちが来るから、みんなが集まるからと、せっせと準備してくれている様子が去年のお盆期間前半の山からは感じ取れます。しかし、今年はお盆期間を通して山が出来ることはありませんでした…。お盆期間の平らな赤線から一抹の寂しさを感じてしまうのはわたしだけでしょうか…。

図③は若年層のお盆期間のスーパーへの来客動向です。去年の動向を表す青線からは、図②の高齢層の山になっている動向のまさしく裏返しになるように、お盆期間の前半には凹みが見られます。夏の暑い中、車で、新幹線で、飛行機で、疲れた様子や楽しそうな様子で帰省している親子の姿が目に浮かびます。しかし、今年の動向を表す赤線もまた高齢層と同じく平らな線を描いています…。帰省や旅行が出来ずにいつもと変わらない休日になってしまっている家庭が多かったことを示しています。

では、帰省や旅行が大きく減っているにも関わらず、スーパー全体の売上動向が前年のお盆期間を超えたのにはどういった背景があるのでしょうか?詳しく調べてみると、お盆期間に好調だったいくつかの要因や、お盆期間の食卓の様子も浮かび上がってきました。
なお、2019年8月と今年2020年8月のお盆の曜日周り、および最高気温(東京地点)も確認しつつ読み進めていただければと思います。 (図④)

●帰省などでの大人数での会食機会は減ったが、家族だけなど少人数のパーティが増えた。

どうなるどうするお盆商戦!「今年のお盆の過ごし方」アンケートを分析!~今年のお盆商戦を勝ち抜くポイントは?~」記事にてお盆期間に売上げが上がるものとして刺身盛り合わせを取り上げ、特にお盆期間は高価格帯が伸びることをお伝えしましたが、今年の結果はこうなりました。

図⑤は刺身盛り合わせについて、オレンジ色の面グラフで2019年1年間の価格帯別構成比を表し、青線で2019年のお盆期間の価格帯別構成比を、赤線で2020年のお盆期間の価格帯別構成比を示しています。ご覧のように、今年も普段よりは高価格帯のものを購入していますが、去年と比較すると1,000円以上の高価格帯のパックが減少していることがわかります。この理由を探るために、さらに年代別で詳しく見てみます。

図⑥では若年層と高齢層に分けて、刺身盛り合わせパックの価格帯別の増減度合いを表しています。
高齢層の1,000円以上の価格帯で大きく減少しており、帰省での大人数での会食機会が減っていることがわかります。一方で若年層の1,000円未満の価格帯では逆に大きく増加しており、家族だけでの少人数のパーティーが増えたこともわかります。刺身盛り合わせは大人数での会食減少の影響の方が大きく出たため、お盆期間の売上げは前年割れとなりましたが、逆に少人数パーティー増加の影響の方が強く出た、単品の刺身の方は前年を上回る結果となっています。

帰省機会が減ってしまったことにより、大人数での会食機会が減少し、家族単位でのパーティーが増加した影響は他にも多くの項目で表れています。

図⑦はにぎり寿司の価格帯別構成比のグラフですが、3,000円以上の特大パックが大きく減少している一方、1,000~1,500円の手ごろな大パックは売上を伸ばしています。若年層・高齢層別で見ても、やはり刺身盛り合わせと同じ現象が起きており、帰省減少の影響があらわれています。

●帰省や旅行でお金を使わないので、家での食事は少し豪華に。特別定額給付金の影響も。

どうなるどうするお盆商戦!「今年のお盆の過ごし方」アンケートを分析!~今年のお盆商戦を勝ち抜くポイントは?~」記事では、お盆期間には牛肉が伸びることもお伝えしました。結果としては、2020年のお盆期間は牛肉全体としては前年比106%の伸びにとどまりましたが、和牛だけでみると、前年比136%と大きく伸びました。一方、国産牛は前年比82%と大きく減少しています。この背景を調べてみると、牛肉の大パックが減少して、高質な牛肉が増加したということがあるようです。

図⑧は、単価2,000円以上の牛焼肉パックの和牛と国産牛の2019年と2020年のお盆企画の売上げ比較ですが、国産牛が大きく減少している一方で、和牛は伸びています。国産牛で2,000円以上となると大パックが主な構成となりますが、これが売上げを落とし、質の良さで高価となっている和牛が伸びていることを示しています。

和牛はコロナ禍以降、調子が良くなってきていましたが、直近でも特別定額給付金の支給が始まった当たりからさらに伸び始め、お盆期間にも大きな売上げとなりました。(図⑨)

特別定額給付金の影響も受けているものとしては、他にはうなぎ長蒲焼も挙げられます。

うなぎ長蒲焼も特別定額給付金の支給が始まった6月ぐらいから前年を上回り始め、その勢いで丑の日、二の丑と好調な流れとなっており、お盆期間も前年を上回る流れを維持しました。

お盆期間にちょっといいものが売れた事例としては、ブドウも挙げられます。

もともと、お盆期間には果物も高価なものが売れる傾向にはあるのですが、今年は1,500円以上のシャインマスカットや巨峰も去年のお盆よりもよく売れました。片やメロンはそこまで高価格帯の伸びはありませんでした。これまで記してきたように、今年のお盆のスーパーの売上げ向上を支えたのは主に若年層であり、普段から若年層に買われやすいブドウがその恩恵を受け、若年層よりは高齢層に買われやすいメロンはその影響を受けにくかったということが言えるのではないかと思われます。

●その他の影響:野菜の高騰や猛暑の影響など。

お盆期間の売上げについて、カテゴリー別に見てみると、最も伸びていたのは野菜でした。

野菜はコロナ禍以降、スーパーでの売上げを大きく伸ばしています。

しかし、買上げ点数で見てみると、すこし様相が変わってきます。

金額ベースではコロナ禍以降、ずっと伸びていますが、買上げ点数で見ると、伸びていたのは5月までで、6月以降は前年並みに落ち着いていることがわかります。そしてお盆期間は帰省・旅行の自粛により、普段の使用量が買われたため、去年よりも買上げ点数も伸びているようです。

もうひとつ、お盆期間に与えた影響として猛暑があります。図④でお盆期間のカレンダーと最高気温(東京地点)の数字を載せていますが、今年のお盆期間は全国的に猛暑となりました。

7月は長梅雨の影響もあり、冷夏となって夏に売れるものが不調でしたが、ようやく梅雨が明けて8月になると、今度は一転、猛暑となり、お盆期間も全国的に危険な暑さの地域が増えて、図⑯のようにアイスクリームや飲料、酒類、そうめんなどの消費が増えました。この猛暑の影響も今年のお盆に大きくあったようです。


今回は以前に投稿した「どうなるどうするお盆商戦!「今年のお盆の過ごし方」アンケートを分析!~今年のお盆商戦を勝ち抜くポイントは?~」記事を受けて、今年のお盆が実際にはどうだったのかを検証してみました。プロローグでも記しましたが、今回は7月以降のコロナ禍再拡大で予想よりは帰省や旅行をする人が大きく減ってしまい、ゴールデンウイークほどではありませんが、お盆もやはりいつもとは違う消費市場となってしまいました。今回の予測や検証を、今年のクリスマスや年末年始の市場予測に役立てていきたいと思います。


記事についてのお問合せはこちらから。
記事・データの商用目的での使用はご遠慮ください。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

1 × three =