今回はスーパー惣菜部の、おにぎりや寿司・弁当・麺などの主食惣菜についてのお話しをさせていただきます。
こちらは、主食惣菜の種類ごとの前年同期間比です。(図①)金額規模の大きい上位のみのデータで、またパン惣菜(サンドイッチやピザなど)はスーパーによって惣菜部になっていたり、インストアベーカリー部の売上になっていたりとマチマチなので今回は入れていません。
主食惣菜はおかず惣菜よりも全体的に前年割れのカテゴリーが多くなっています。その理由としては、
といったものが考えられます。特に3番目の「調理の段階」間の競争ではデータでもはっきりと出ています。(図②)
ちなみに、もっとも利用が伸びてきているレトルト米飯の中でも「丼具材レトルト商品」が直近でさらに大きく増加してきており、こういった簡便手作り商品の伸びが目立つ傾向となってきています。(図③)
主食惣菜全体の状況についてお話しましたが、主食惣菜のそれぞれのカテゴリーについても、状況を見ていってみます。
まず販売金額の大きい寿司惣菜ですが、もっとも大きいにぎり寿司をはじめとして、巻物やいなり寿司、ちらし寿司や海鮮丼にいたるまで、すべての種類で減少しています。(図④、⑤)
前述通り、メインの支持顧客層である高齢層の客数増加がないこともありますが、寿司に限らず、お刺身やローストビーフなどの生ものを未加熱でそのまま食べるような食品は全般的に不振な傾向があります。今回のコロナウイルス騒動から、ノロウイルスやO-157などの食中毒菌と混同されて避けられてきているのかもしれません。
●スーパー側の現在の大変な状況も影響してきている惣菜売場
また、米飯惣菜カテゴリーの大きな特徴として、弁当が減少しているのに対して、丼が増加しているという動きがあります。(図①参照)どうもこれはお客様の購買動向による影響というよりは、販売しているスーパー側の事情が大きく関係しているようです。いくつかのスーパーの事情をヒアリングしてみたところ、昨今の状況による人手不足や、そんな中でも頑張って働いてくれている従業員さんの作業負担の軽減といった理由から、手間のかかるお弁当のインストア製造を減らして、比較的オペレーションの簡単な丼惣菜を中心に出すようにしているところが多くなってきている印象でした。
こういった事情から伸びてきている丼惣菜ですので、なかなかいろいろな種類を出すのは難しいかもしれませんが、サイズ違いの丼惣菜を充実させていくという対策はひとつあるのではないでしょうか。
丼惣菜はレギュラーサイズの丼と、ミニサイズの丼では買われやすい購買層が異なっており、ミニ丼は高齢層に買われやすいという特徴があります。(図⑥)
また主食惣菜全体での年代別の状況を見ると、特に高齢層での減少が目立つのですが、丼惣菜では高齢層でも増加してきています。(図⑦)
こういったことからも、高齢層に支持されやすいミニ丼の強化をしていくことで幅広い顧客層を獲得できるのではないでしょうか。
現在のスーパーは先述した人手不足や従業員さんの作業負担軽減といったことの他にも、仕入れの問題やチラシ広告が打ちにくいことなど、なかなかお客様のご要望を叶えるためだけに動いていくのが難しい状況になってきています。こういった環境の中において、主食惣菜で出来ることとしては、今回提案させていただいたサイズ違いの品揃えをしていくことや、伸びてきている米飯・麺セットの組み合わせを変えていってみることなど、仕入れや作業負担の増加を出来る限り抑えながらも、品揃えを充実していくことなどがあるのではないでしょうか。
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