毎年いろいろなメニューや商品が新しい食のトレンドとして話題になっていますが、2021年や2022年も様々なメニューが話題となりました。その中には一時的なブームのものもあれば、ブームで終わらず一定の需要を保っているものなどブーム後の動きは様々です。今回は2021年~2022年にブームとなったメニュー・商品が現在どうなっているのか。また、直近ではどのようなメニュー・商品の関心が高まっているのかを見ていきたいと思います。
目次
まずはスイーツ・菓子カテゴリーについて見てみたいと思います。
まだ記憶に新しいと思いますが、メディアやお店などいろいろな所で見かけたマリトッツォ、カヌレ、グミは現在どうなっているのでしょうか?
図①はそれぞれの検索数推移で、一番検索数が大きい月を100とした時の指数推移となっています。マリトッツォは2021年に大きく関心が高まりましたが2022年には検索されることも大きく減少しており、一時的なブームで終わってしまったことが分かります。それに対してカヌレ、グミは2021年~2022年に山が見られますが、現在も関心が高まる前より高い値を維持していることが分かります。こちらの2つに関しては一時的なブームで終わらず、ある程度定着したのではないかと考えられます。
グミは特に地球グミが話題となっていましたが、グミ全体で好調な動きとなっています。
こちらは、スーパーのグミとガムの売上金額推移です。2020年頃まではグミとガムは同じくらいの売上で推移していましたが2021年頃から差が開き始め、直近ではグミとガムの売上には大きな差が開いています。コロナ禍でマスクをするようになったことがガムの需要減少の一因だと思いますが、生活様式が戻ってきた現在もなお需要は戻っていません。ガムとは逆に、グミは売上増加が続いています。
グミとガムの購入層をみてみると大きく異なっており、グミは40代以下の若年層の支持が強くなっています。年代別の売上推移を見てみると、この購入されやすい若年での需要が特に高まってきていることも分かりました。TwitterやInstagramではガムに比べてグミの投稿数が2倍以上多く、SNSで拡散されることによって話題となり、さらなる購入者の獲得にも繋がっているのではないでしょうか。若年層のお客様の多いお店ではグミの品揃え強化が必須です。
また、グミにも色々な種類がありますが特にどのようなグミが人気かを調べてみると、パッケージで“食感”を訴求している商品が売上も大きく伸びているものが多いことが分かりました。
売れており、かつ伸びているグミとしてブルボン様の「フェットチーネグミイタリアングレープ味」やカバヤ様の「タフグミ」、明治様の「コーラアップ」「ラムネアップ」が挙げられます。
ブルボン様の「フェットチーネグミイタリアングレープ味」は”アルデンテな弾む嚙み心地”と食感を謳われています。
また、カバヤ様の「タフグミ」は”高弾力”を、明治様の「コーラアップ」「ラムネアップ」は”超ハードグミ”と硬めの食感を謳われています。”ハードグミ”の検索数も伸びてきており、硬めの弾力のある食感のグミが人気となっているようです。私も硬めのグミは長く楽しめたり、満足感・満腹感が高かったりすることもありよく購入しています。
限られた売り場で品揃えに困った際は、特に食感にこだわったグミをしっかりと品揃えしたいですね。
次に、健康関連品について見ていきます。コロナ禍をきっかけに健康に対する関心が高まり、売上が伸びた健康関連品も多かったと思います。以前ご紹介した睡眠関連品(コロナ禍で生活者の睡眠時間が増加!睡眠関連品の動向は?)もその一つですが、大きく話題になった商品として「オートミール」が挙げられるのではないでしょうか。
オートミールについては以前の記事(話題のオートミール!トレンドとなっている理由は?どのように利用されているの?)でも取り上げましたが、2020年に注目され始め、2021年~2022年がピークとなっています。2022年の後半から落ち着いてきていますが、コロナ禍前の2019年と比べると依然として高い値を維持しており定着している事が見てとれます。直近のシリアルカテゴリーの売上をみてみてもオートミール商品は上位にランクインしていました。
では、最近はどのような健康関連商品が伸びているのでしょうか?
こちらは図⑤のオートミールの検索数推移に「米粉」の検索数推移を重ねたグラフになります。年々関心が高まっており、直近ではオートミールと同じくらいの検索数となっています。
米粉は昔から市場にあった商品ですが、健康に対する関心が高まっていたり、小麦粉の価格高騰があったり、また、グルテンフリー市場も伸びていることなどから再度注目されてきているのではないでしょうか。
スーパーの売上状況を見ると、米粉だけではなく米粉パンなどの米粉使用商品も伸びていることが分かります。米粉全体として需要が高まっているようです。
米粉の利用層も調べてみました。小麦粉の代用品として米粉は使われることも多いと思いますが、小麦粉がスーパー全体の購入層とほぼ同じなのに対して米粉は若年層に買われやすい傾向にあります。米粉を使用したスイーツやパンはカフェやベーカリーショップを中心に近年では見かけることが多いため取り入れやすいという事もあるのでしょうか。また、米粉は乳幼児食品と一緒に買われやすい傾向もあったので、例えば小麦粉アレルギーへの対応としてお子さまの為に米粉を利用している方もいらっしゃるのかもしれません。
米粉を購入する方は他にも下図のような特徴がありました。
まず、米粉と一緒に買われやすいものを見てみるとベーキングパウダーやドライイースト、製菓材料各種となっており定番のパンやスイーツに使用されていることが予想できます。その他にはシーフードミックスやニラ、長いもなども買われやすくなっており、こちらはお好み焼きやチヂミに使われているのではないでしょうか。実際、レシピサイトでもお好み焼きやチヂミは米粉と一緒にレシピ検索されやすくなっています。
また、米粉を購入する方が普段どのようなものを購入しやすいのかも調べてみました。すると、健康商材だけではなく地場野菜や地場果物、銘柄のお肉などのこだわり商品も普段から購入されていること分かりました。米粉は関連販売でのメニュー訴求も有効だと思いますが、素材にこだわったこだわり商品を集めた売り場で展開することも有効かもしれません。
2021年にこちらのHPでもご紹介した韓国グルメ。(まだまだ続く!?韓国グルメブーム!スーパーで伸びている商品や食卓シーンとは?)現在はどうなっているのでしょうか?代表的なメニューの検索数推移をみてみます。
2021年頃がピークにはなっていますが、現在もあまり落ちることなく一定の値を保っています。韓国グルメも一時的なブームにはなっておらず今後も需要が期待できそうです。キンパについては日本の代表的な行事である節分に大きな山が毎年出来ており、節分には品揃え必須のメニューともなっています。
主食やおかず、スイーツに至るまで様々な韓国グルメが次々と出てきていますが最近伸びているものにはどんなメニューがあるのでしょうか?
検索数はまだ少ないですが、参鶏湯やチュクミ、チュモッパが伸びてきています。参鶏湯はご存知の方が多いメニューかと思いますが、チュクミ、チュモッパあまり聞いたことのない方もいらっしゃるかもしれないのでどのようなメニューか簡単に記載させて頂きます。
チュクミは韓国語でイイダコのことを指し、イイダコを使った鍋や炒め物、サムギョプサルなど日本の韓国料理店でも人気のようです。チュモッパは漬物や野菜、韓国のりなどを混ぜた一口サイズのおにぎりです。私は小売商品のチュモッパの素を購入して作ってみたことがありますが、具沢山で風味も良く、リピートしたくなるメニューでした。
スーパーの韓国関連調味料や即席食品はどんどん商品数が増えていっています。また、各社のちらしを見ても韓国フェアを見かける機会が増えました。もしかしたら韓国グルメは長いブームというよりは、例えばイタリアンのように定番の海外メニューになっていくのかもしれません。
今回の記事では2021年以降のトレンドメニュー、商品について取り上げました。今回取り上げたものはほんの一部でもありますし、今後も日々変化していくのは確実です。食未来研究室では今後も引き続きトレンドについて調査を続けていきたいと思います。
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