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話題のオートミール!トレンドとなっている理由は?どのように利用されているの?

最近耳にする機会が多くなってきたオートミール。オートミールとはオーツ麦を脱穀して加工したものですが、様々なテレビで取上げられるようになってきており、クックパッドさんの「食トレンド大賞2021」で大賞にも輝いていました。今回は、この話題のオートミールについて、実際に伸びているのか?どのように使われているのか?など色々と分析してみたいと思います。


目次

●オートミールの現状について

◇オートミールの市場は拡大中!

まずは、スーパーのオートミールの売上推移とGoogleでの検索数の推移をみてみます。

売上、検索数ともに同じ動きをしており、徐々に伸びてきていることが分かります。特に2021年6月頃の売上の伸びが大きいですが、何がきっかけでこんなに伸びたのでしょうか?

オートミールの日別の売上推移をみてみましょう。

図②で分かるように、テレビ放映が売上に大きく影響を与えていることが分かります。ただし、一時的な伸びではなく、その後もテレビ放映以前より高い水準で売上が推移しています。テレビ放映ではオートミールのコメ化(お米の代替)レシピなどが紹介されており、オートミールに興味をもって新しく買うようになった人だけではなく、オートミールに興味はあったが食べ方が分からなかった人、オートミールを食べたことがあるが他のシリアルのような食べ方はイマイチだと思っていた人など、様々な生活者を取り込むことが出来たのではないかと思われます。

また、年代によって売上推移に特徴がみられます。

まず、テレビ放映により大きく影響を受けたのは50代以上で、特に60~70代では5月と6月を比べると3~4倍に売上が増加しています。テレビを見る方が多く、家にいることも多い年代の方々が2021年6月に大きく売上を伸ばしていることが分かります。若年になればなるほどテレビでの反応は小さめですが、堅調に伸びているようです。若年層が伸びている理由としては、TwitterなどのSNSの影響が大きいと思われます。オートミールに関しての投稿数も伸びていますが投稿内容も意外と美味しいなどポジティブな内容が9割ほどと多く、評価されていることも伸びに繋がっているのではないでしょうか。オートミールだけに言える事ではないですが、高齢層向けにはテレビでの動向、若年層向けにはSNSでの動向に注目しつつ品揃えを行っていくことが必要です。

◇シリアルの中でオートミールの存在感は高まってきている!ブランフレークも注目商品。

次に、シリアルカテゴリーにおいてのオートミールの位置付けをみていきます。

こちらはシリアルの種類別の売上構成比です。グラノーラの構成比が最も大きくなっていますが、オートミールの構成比は2019年12月~2020年11月の1年間では約4%だったのが直近の2020年12月~2021年11月の1年間では約10%と2倍以上に増えています。シリアルカテゴリーの中でオートミールの存在感は高まっているようです。

売上金額の変化を見ても、構成比の大きいグラノーラやコーンフレークが減少している中、オートミールは増加していることが分かります。そしてもう一つ、ブランフレークも伸びているようです。オートミールとブランフレーク、この2つがシリアルの中で今後特に強化していくべき商品といえそうです。

◇オートミールを購入する人の特徴は?

シリアルカテゴリーの中でこのような変化がおこっていますが、オートミールを買いだした人は他のシリアルからオートミールに移行したのかどうかを調べてみると、そうではないようです。むしろ、オートミールを買いだした人は他のシリアルも相乗効果で買うようになっていました。テレビで特集されたのが、コメの代用や糖質制限であったことから、お米やパンなど主食のメインどころをオートミールに変えた人が増えているのではないかと考えられます。

コメの代用や糖質制限など、ダイエットや健康目的で利用されていることが推測できますが、オートミールも他のダイエット・健康関連品と似たような特徴がみてとれました。

図⑥はオートミールとロカボ商品(飲料除く)、以前の記事でとりあげた大豆ミート、MCTオイルの曜日別の売上構成比です。(大豆ミートについての記事はこちら。MCTオイルを取り上げた油についての記事はこちら。)どれもダイエットや健康に関する商品ですが、月曜・火曜に買われやすくなっています。週末に食べ過ぎたので月曜から新たにダイエットを頑張る!といった方が多いからでしょうか。ダイエット・健康関連品はどれも週の初めに買われやすくなっています。

同様の意識から、年間で見ると特にクリスマスや年末年始などのイベントが終わった1月にダイエットに対する関心が高くなる傾向があります。

日本ではオートミールは流行りだしたばかりなのでその傾向は見えにくいのですが、海外では「diet」の検索数と同様に「oatmeal」「oats」は1月に大きくな山がみられます。

次に、図⑧はダイエット・健康関連品の年代別売上構成比です。どの商品も特に50代で購入されやすくなっています。オートミールは20代~40代にも買われやすくなっていますが、食事に取り入れやすく、手頃な価格でもあるといった理由から若年層の支持も強くなっているのではないでしょうか。

他のダイエット・健康関連品と似たような傾向であることからも、オートミールがダイエット・健康目的で利用されていることは想像できますが、オートミールを購入する人の買い物カゴからもその意識が強いことがみてとれます。

図⑨は直近1年間のオートミール購入者が、普段どんな商品を買っているかみたものです。買われやすさ(リフト値)とは、例えばオートミール購入者はお客様全体の平均と比べて、麦・玄米・雑穀を3.2倍買物カゴに入れやすいということを表しています。オートミールと一緒に利用されるものだけではなく、麦・玄米・雑穀をはじめ機能性食品やこんにゃく麺など、ダイエットや健康を強く意識していることがみてとれます。

コロナ禍以降、ダイエットや健康に対する意識が高まっています。ダイエットや健康に対する効果をしっかりとアピールしていくことも売上増加につながるのではないでしょうか。

●オートミールの使われ方はコメ化だけではない!

前述でも何度かオートミールのコメ化にふれましたが、オートミールはどのような食べ方をされているのでしょうか?調べてみると大きく3つの食べ方に分けることが出来ました。

こちらは、オートミール購入者の買い物かごの中身をみたものです。用途ごとに色分けすると、①コメなどの代用品として利用 ②グラノーラなどと同様に牛乳などに浸してそのまま食べる ③手作りお菓子に利用する の3つに分けることが出来ました。

これらの材料や各レシピサイトでのレシピ数などから考えられる代表メニューをまとめてみました。

①ではリゾットやお粥、炒飯など様々なレシピがみられます。即席スープを使って簡単にリゾットを作る方も。②では特に冷凍ブルーベリーやバナナやキウイなどのフルーツ、ナッツ類をトッピングして食べている人が多いようです。③は主にクッキーでの利用が多い印象でした。オートミール売り場での関連販売は難しいですが、レシピ提案だけでも生活者の方に喜んでいただけるのではないでしょうか。

テレビでもよく取り上げられている①コメなどの代用品として利用についてもう少し見ていきたいと思います。 “オートミールのコメ化“というキーワードは見かけることが多くなってきましたが、お米だけではなくその他の主食にも利用されているようです。

こちらは、グーグルでオートミールと一緒に検索された人気ワードTOP20です。主食として「パン」や「お好み焼き」が上位に入ってきています。パンでは小麦粉や強力粉を使わずレンジで簡単に出来る蒸しパンレシピが、お好み焼きも他の粉を使わないヘルシーなレシピが人気のようです。オートミールのコメ化だけではなく、パン化、粉もん化が進んでいます。

その他にも、図⑫で12位に入っているように離乳食の利用もあるようです。図⑫の関連ワードでも上位に入っており、また、離乳食用のオートミール商品も販売されていることなどから、需要はあることがうかがえます。オートミールがトレンドとなっている理由として、様々なレシピに利用できるといった多様性に富んでおり、続きやすいこともあげられます。

以上から、オートミールが支持される要因は、
・ダイエット、健康に良いこと
・美味しいこと
・多様性に富んでおり、続きやすいこと
・簡単に調理が出来ること
といったことが言えるのではないでしょうか。


今回は、今話題のオートミールについて取り上げました。筆者の近所のスーパーでもオートミールは何種類も品揃えされていたり、PB品を販売しているお店もあったりと需要が高まっていることが感じ取れます。このまま定着していきそうな流れではありますが、今後の動きにも注目していきたいと思います。

●今年(2021年)に流行ったと思う食べ物は?当てはまるものを全て選んでください!

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