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2021年の半夏生はいつ?タコを食べるのは関西が多い?タコはどんなメニューで食べられている?

2021年の半夏生は7月2日(金)です。「半夏生(はんげしょう)」とは、節分や彼岸、土用などと同じく特別な暦日、こよみの日であり、毎年7月1日、2日頃にあたります。半夏生は農作業の目安となる大切な節目の日であり、この期間までに田植えを終えておく必要があるそうです。そして田植えを終えた稲がしっかりと根を張るように根付くようにという願いを込めてタコが食べられるようになったそうで、もとは近畿地方を発祥とするこの風習が全国に広まってきているようです。

今回は半夏生にタコを食べる風習の地域性の違いがどうなっているのか?半夏生にタコはどんなメニューで食べられているのか?などを調べていき、半夏生の食卓を楽しんでもらう企画を考えていきたいと思います。


目次

●半夏生にタコは売れてる?地域差はどのぐらいある?

半夏生に本当にタコが良く食べられているのか?家計調査を調べてみました。

図①はタコの購入金額の日別推移ですが、半夏生の日に年間平均の約4倍の大きなピークが出ています。タコは年末のおせち需要が年間で最も売れる日ですが、半夏生はそれに次ぐ年間で2番目にタコが良く売れる日となっています。

では、地域別ではどうなっているでしょうか?

図②は全国10地方別でのタコの月別購入金額推移を調べてみたものです。近畿地方は普段からよくタコを食べており、7月に大きなピークがあります。同様な傾向が中国地方、四国地方にも出ており、半夏生にタコを食べる習慣が強いのは、近畿・中国・四国の3地方のようです。ただ中国地方でも、鳥取や島根は普段のタコの消費も少なく、7月にも伸びないことから、山陰地方ではなく、瀬戸内沿いの山陽地方に限定されるようです。 全国と10地方、それぞれでの7月と年間平均のタコの消費金額を比較してみました。

7月の特化度は前述通り、近畿・中国・四国の3地方が高くなっていますが、沖縄以外の全地方でも1を超えており、半夏生にタコを食べる習慣が関西地方だけでなく全国に広まっていることがわかります。近畿・中国・四国の3地方だけでなく、他の地方でも半夏生のタコの売込みは強化が必要です。 半夏生についていろいろ調べてみると、近畿地方のタコ以外にも、全国各地でいろいろな風習があるようです。たとえば福井では「半夏生サバ」というものがあり、昔、福井のお殿様が、田植えを終えて疲れた領民を元気づけようと焼きサバを配ったことが由来で、現在でも福井ではタコではなく、焼きサバが半夏生に食べられているようです。福井市では7月のタコの消費はむしろ落ちており、サバが良く食べられているようでした。他にも香川のうどんや、奈良のきな粉餅などがあり、各地域の風習に合わせた提案が必要です。

●半夏生のタコはどんなメニューで食べられてる?若年層と高齢層の食卓の違いは?

半夏生の日にスーパーで売れているタコについて、どんな商品が売れているのかみてみます。

売上げボリュームではボイルタコが最も大きく、半夏生の日は年間平均の約3.8倍の売上げになっています。タコ刺身や生タコも大きく売上げを伸ばし、特に生タコは普段の約6.9倍にまで伸びています。

生タコは60~70代の高齢層に買われやすく、ボイルタコはそれと比較すると若年層寄りの購買年代になっています。 これらのタコがどんな商品と一緒に買われやすくなっているのか?を調べることで、半夏生の日に食べられているメニューを考えてみます。

図⑥は半夏生の日にタコと一緒に買われやすくなっていた商品について取り上げてみたものになります。半夏生の日にタコを買うお客さんは、生わかめをお客様全員と比較して約5倍いっしょに買いやすくなっており、また調味酢やキュウリも買われやすくなっていました。タコ、わかめ、きゅうりを使用した「タコの酢の物」メニューが食卓に登場していることがわかります。

タコの酢の物は、お惣菜でも売上げが伸びてきます。

図⑦は「和風惣菜酢の物」の年間日別推移ですが、売上げが盛り上がってくる夏の中でも、半夏生のピークがひときわ目立ちます。お惣菜の「タコの酢の物」がけん引役になっているようです。

図⑧は「和風惣菜酢の物」の購買年代をあらわしていますが、ご覧のように特に70~80代の高齢層に買われやすくなっており、手作りも含めて「タコの酢の物」は高齢層の食卓によく出てくるメニューになっています。 「タコの酢の物」以外でどんなメニューが食べられているのか?半夏生の日にタコと一緒に買われているメニュー調味料も調べてみました。

半夏生の日にタコと一緒に買われやすいメニュー調味料としては、タコキムチの素がお客様全員と比較して約18倍も買われやすくなっており、カルパッチョソースやマリネの素なども一緒に買われやすくなっていました。そしてこれらのメニュー調味料は比較的若年層寄りの購買となっています。

また、生鮮のタコとは違いますが、タコ入りの「たこ飯の素」の売上げも半夏生の日に売上げが向上します。たこ飯に限らず、炊き込みご飯メニューは春秋に食卓に多く登場し、夏場は少し減るメニューなのですが、そんな中でも半夏生の日に「たこ飯の素」を買われるお客様が増えるということは、生鮮のタコを使用してたこ飯を楽しんでいる方も多いのではと予想されます。

年間を通してタコを使ったメニューとして最も多く食卓に登場するのは「たこ焼き」ですが、たこ焼きミックス粉は、半夏生の日にはむしろ年間平均よりもタコと一緒に買われにくくなっていました。半夏生の日が平日の場合、ちょっと準備や後片付けが手間になる「たこ焼き」は敬遠され、「タコの酢の物」や「タコキムチ」、「タコのカルパッチョ」など、加熱の手間のない、和え物調理メニューが利用されているということではないでしょうか。2021年今年の半夏生の日も金曜日と平日なことから、タコはこういった調理の手間のかからないメニューで提案していくことをおすすめします。ただ、やはり「たこ焼き」は人気メニューですので、お惣菜での提案が良いのではないでしょうか。「タコのから揚げ」などの調理にひと手間かかるメニューはお惣菜での展開をしていきましょう。

ということで、半夏生の日の年代別のタコを使用したメニューの食卓の様子をまとめてみました。

半夏生の日のタコの売上げの中心となる高齢層は、手作りでもお惣菜でもひたすら「タコの酢の物」が中心になってきます。手作りするお客様に対してはタコと一緒に生わかめや調味酢を関連販売していくこと、お惣菜を利用する方に対しては、半夏生の由来や夏の疲れを癒す効果などをPOP訴求して忘れずに購入してもらうようにすること、などでお客様にアピールしていきましょう。

若年層に対しては、まず手作りでは、タコ刺身を利用したカルパッチョメニューや、ボイルタコを使用したタコキムチなどの、和えるだけかけるだけの簡単調理で副菜の1品が出来るメニューの訴求が必要です。また、タコのぶつ切りと炊き込みご飯の素をセットにした、お釜に白米と一緒に入れて炊くだけで調理できる「たこ飯セット」などもおすすめです。お惣菜では、忙しい平日の夕方に準備するのはちょっと面倒な、たこ焼きやタコから揚げなどで、タコを食べられる機会を提供していきましょう。

水産売場でのタコ、惣菜売場でのタコ惣菜、両面で半夏生の日のタコ販売を盛り上げていく売場づくりをしていければと思います。


今回は半夏生のタコに注目して現状を調査、企画を考えてみました。半夏生の日に疲れを癒す効果のあるタウリンが豊富に含まれるタコを食べるのは、食文化というだけでなく、健康維持という面からも理にかなった風習のようです。長引くコロナ禍で健康を意識する方がますます増えてきている現在、健康もアピールできる半夏生のタコでお客様に喜んでもらえる商品づくり・売場づくりをしていきましょう。

●半夏生の日にはどんなタコメニューが食べたいですか?

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