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コロナ禍以降、鍋つゆの売上げが好調!2021~2022鍋シーズンの強化ポイントは?

2020~2021鍋シーズンは、コロナ禍による巣ごもり消費と、ここ数年の中では比較的強い寒波の影響もあって、鍋つゆは好調な売上げを記録しました。今回は2020~2021鍋シーズンの好調要因やその背景にあるコトを分析していき、2021~2022鍋シーズンも好調を維持していく強化ポイントを考えていきたいと思います。なお、昨年の鍋記事、2020/6/17投稿記事「早くも始まっているスーパーの秋冬向け鍋商戦!~鍋に求められるコトとは?今年の鍋商戦を勝ち抜くポイントは?~」も合わせてご確認ください。


●2020~2021鍋シーズンの振り返りと、2021~2022鍋シーズンにも活かせるポイントは?

◇2020~2021鍋シーズンは、鍋つゆの売上げ好調!

まずは2020~2021鍋シーズンのスーパーでの鍋つゆの売上げ推移を振り返ってみます。

2018~2019シーズンは暖冬、2019~2020シーズンはさらに記録的な暖冬、と暖かい冬が続いていましたが、2020~2021シーズンは一転してここ数年の中では比較的強い寒波に見舞われて、冬らしい寒いシーズンとなりました。またコロナ禍による巣ごもり消費の影響もあって、2020~2021鍋シーズン(2020年9月~2021年3月)のスーパーでの鍋つゆの売上げ金額の前年同期比は109.5%と好調な流れとなりました。特に2020年12月のピークでは前年同月比113.9%と大きく伸びています。年が明けてからの2021年2月からは急に暖かい日が続いて家庭での鍋の食卓登場が減ってしまって鍋つゆの売上げも前年を割ってきてしまいましたが、トータルとしては鍋メニューにとっては良いシーズンだったと言えると思います。

◇鍋つゆ強化はなぜ大事?最適な強化タイミングはいつ?

鍋つゆに注目する理由は、既報記事「早くも始まっているスーパーの秋冬向け鍋商戦!~鍋に求められるコトとは?今年の鍋商戦を勝ち抜くポイントは?~」でもお伝えしたように、鍋つゆを購入したお客さんの買い物カゴのバスケット単価の高さにあります。

お鍋の食卓を思い出していただければわかるように、鍋つゆの入っている買い物カゴには、野菜・お魚・お肉・水物などの鍋具材がいっぱい入っており、バスケット単価が跳ね上がります。お鍋をしようと考えるお客さんにたくさんお店に来てもらえるような工夫が必要です。

そして、この重要な鍋つゆの強化タイミングについても、既報記事「早くも始まっているスーパーの秋冬向け鍋商戦!~鍋に求められるコトとは?今年の鍋商戦を勝ち抜くポイントは?~」で「最も重要なのは9月です!」とお話しましたが、さらに今回詳しく調べてみるともうすこし強化開始タイミングが早まりました。

図③のグラフは前回の鍋記事でも紹介しましたが、鍋つゆをそのシーズンで初めて買ったタイミング別にお客様を分類し、それぞれのお客様がその後平均何回購入しているかを月別に調べたものです。前回は9月に初めて鍋つゆを買った方から調べていましたが、今回は8月お盆明けに初めて鍋つゆを買った方から調査をしてみました。すると8月お盆明けのお客さまの方が、9月に初めて買った方以上にシーズンを通してずっと鍋つゆの購入頻度が高くなっていることがわかりました。図②でも紹介したように、バスケット単価の高い鍋つゆを買うお客さまにシーズンを通して自分のお店に来ていただくために、8月お盆明けには「ここのお店は鍋の材料を調達するのにいいお店ねぇ♪」と感じていただけるような売場づくりをしていくことが重要です。

◇鍋つゆの使い方タイプ別の動向推移。コロナ禍の影響は?

前回の鍋記事でも紹介した、使い方タイプ別の2020~2021鍋シーズンの動向を見てみます。

図④では、鍋つゆの使い方タイプ別に、ストレートタイプ、ボトルタイプ、小分けタイプ、それぞれについて、2020年4月~2021年3月までのスーパーの月別売上げ推移を表しています。それぞれの動きの特徴としては、ストレートタイプが12月に大きなピークを迎える、ボトルタイプはオフシーズンもある程度高く12月に特に大きく伸びる、など昨シーズンと同様な流れとなっています。 少し変化が見えてきたのが、小分けタイプです。

小分けタイプは2019~2020シーズンでは11月にピークを迎え、鍋が最もよく食べられる12月には早くも下降線を描いていました。これは、11月までは1人2人といった少人数で鍋をしていたのが、12月には忘年会や帰省など大人数の集まりでの鍋が多くなり、小分けタイプの出番が少なくなることが背景にありました。しかし2020~2021シーズンでは小分けタイプもストレートタイプなどと同様に12月も前年と反して伸びを維持しました。2020年はコロナ禍により、大人数での忘年会や帰省での鍋の機会が減ってしまったことで、小分けタイプのニーズが12月も継続したことを示しているのではないかと思われます。今年2021~2022シーズンもコロナ禍の状況によっては、この流れが継続する可能性があるのではないでしょうか。

●食卓での鍋トレンド注目ポイント!おうち時間を充実させる鍋シーン!

◇味別の鍋つゆランキング動向。

鍋つゆの味別の2019~2020シーズンと2020~2021シーズンの変化についても調べてみました。

全体的な大きな特徴としては、上位の味別の鍋つゆがどれも大きな金額の伸びを示している一方で、中位以下の味別の鍋つゆの金額の伸びが小さくなっていることが挙げられます。あるアメリカの経営学教授がコロナ禍におけるアメリカ市場を分析したレポートの中に、「コロナ禍ではイノベーティブな商品よりも、なじみのある商品の方が売上げがよくなっている。コロナ禍による不安な気持ちが、安心する商品の選択につながっているのはないか?」という一節がありました。今回の鍋つゆについても同様の傾向が表れているように感じます。上位の味別の鍋つゆでは、体に優しい感じのイメージがある、野菜鍋や鶏だし鍋にその傾向が特に強く表れたのではないかと分析します。

◇2020~2021鍋シーズンで最も伸び率が高かったのが「しゃぶしゃぶつゆ鍋」!

上位の味別の鍋つゆに注目が集まった中で、図⑥において中位の味別の鍋つゆながら、最も伸び率が高く、前年の2倍以上にもなったのが、しゃぶしゃぶつゆです。

しゃぶしゃぶつゆは、つけだれを必要としない、しゃぶしゃぶするつゆの味わいだけで食べることのできるしゃぶしゃぶの鍋つゆで、30~50代の若年層で人気が高まってきています。既報記事「スーパー畜産部はコロナ禍以降も好調を継続。2021年も力をいれるべきポイントは?」において、豚肉カテゴリーで2020年最も伸び率が高かったのが豚しゃぶしゃぶ肉で、その理由のひとつに水菜やねぎ、豆苗を巻いて食べる、しゃぶしゃぶ肉巻き野菜の増加がある、ということをお伝えしました。しゃぶしゃぶつゆ鍋は、他の鍋と比べてさっと火が通りやすいメニューで、グツグツ煮込む鍋ではありません。そのため、図⑦のように、寒さ本番の時よりは、ちょっと寒くなってきた9月10月や、他の鍋の食卓登場が落ちてきた2月などによく利用される傾向があるようです。また、鍋のメイン野菜である白菜がまだ高い9月10月に、比較的相場の落ち着いている豆苗やもやしなどを利用できるといったことも背景にあるようです。

しゃぶしゃぶつゆ鍋は、しゃぶしゃぶなのに〆もできるということから、ラーメン(生・ゆで)が同時に買われやすかったり、餃子やしゅうまいの皮もしゃぶしゃぶして野菜を巻いて食べる用に一緒に買われたりしているようです。すりみ・だんご半惣菜も一緒に買われやすくなっているので、餃子の皮などを使った即席の水餃子やワンタンの提案も面白いかもしれません。

こういった、しゃぶしゃぶつゆ鍋の食卓シーンをまとめてみました。強化ポイントの参考にしてみてください。

◇鍋最盛期の12月に大きく伸びたのは「プチ贅沢鍋」!

味別鍋つゆランキングの図⑥において、下位ではありますが、しゃぶしゃぶつゆ、鶏だし、に続く高い伸び率を示しているのが、カニ鍋です。

カニ鍋の圧倒的なピークは年末最後の2週間ですが、2020年は10月からじわじわと前年を上回る売上げが続いて、シーズンを通して前年比150%と大きな伸びとなりました。基本的にはカニ鍋のようなプチ贅沢感のある鍋は、高齢層での支出が多くなるのですが、2020年12月は30~70代まで広い年代で前年を大きく上回る伸びを見せました。30~50代では帰省を控えた代わりの自宅でのおうちイベント的に、60~70代では外食や旅行ができない代わりとしてのプチ贅沢需要で、それぞれわかりやすくテンションが上がりやすいカニ鍋が選ばれて伸びてきたと思われます。

また、年末にはすき焼きも好調な売上げを記録しました。

すき焼きは年末最終週に売上げが跳ね上がるので、週別売上げ推移を掲載していますが、2020年の最終週は前年同週比で142%と大きな伸びを見せました。すき焼きでもカニ鍋と同じく、12月は幅広い年代で大きく伸び、最も金額増加高が大きかったのは40代になっていました。やはりこちらでも帰省を控えた代わりの楽しみのひとつとして、和牛や高級な国産牛を使ったすき焼きが選ばれているようです。

2021~2022シーズンにおいても、こういったおうちイベントを盛り上げてくれる、プチ贅沢鍋は生活者の注目を集めると思われます。

◇外食での鍋機会減少で「家飲み鍋」が増えてきている?

味別鍋つゆランキングの図⑥の伸びている鍋つゆの中で、もうひとつ注目したのが「もつ鍋」です。もつ鍋はもともと家でよりは外食で食べられることの多い鍋で、さまざまな外食で食べる鍋ランキングでは5位以内に入っていることが多いのですが、コロナ禍で外食しづらくなったため、家庭での実施が増えてきているのではと思われます。 外食での鍋は、親睦を深める場での利用が多く、そこにはお酒もつきものだったのですが、ご存じの通り、コロナ禍で外食での飲酒代は大きく減少したままとなっています。

外食での飲酒代の出費は、2020年12月は前年比でわずか18%と大きく減らしました。2021年に入ってからも回復傾向が見られなく、厳しい状況が続いています。

久しく体験できていない外食での鍋で、お酒も一緒に楽しく飲んでいた食シーンを、家の鍋でも求めている方はいるかな?といろいろ調べてみたところ、鍋の〆を楽しんでいる方にお酒が一緒に買われやすい傾向が見えてきました。

図⑫は鍋つゆを買った人、鍋つゆとラーメン(生・ゆで)を買った人、鍋つゆとうどん(生・ゆで)を買った人、それぞれのお酒の買われやすさを調べたものです。例えば鍋つゆを買った人のチューハイ・カクテルの買われやすさは1.5、つまりすべてのお客様と比較して鍋つゆを買う方は1.5倍チューハイ・カクテルを一緒に買いやすいということを表していますが、鍋つゆとラーメン(生・ゆで)を買った人はさらに高く2.2倍チューハイ・カクテルを一緒に買いやすいということを示しています。

鍋の〆にラーメンを楽しんでいる方に、お酒も一緒に楽しむ傾向が強いことが出てきていますが、こういった方の年代層としては20~50代の若年層が多く、また、キムチ鍋や担々鍋などのしっかり目の味わいの鍋つゆでお酒が一緒に買われる傾向が強く出てきています。外食ではお酒と一緒に〆までしっかり楽しんでいた鍋を、家庭でも求めている心理が伺えます。

今年もまだまだ外食鍋は厳しいと思われるので、売場からの食シーン販促として、お酒と〆を訴求した鍋売場を展開してみても良いのではないでしょうか。

◇鍋つゆと一緒に買われやすい素材を強化!

図②で鍋つゆの入った買い物カゴのバスケット単価の高さについてふれましたが、鍋つゆは野菜やお魚、お肉、水物や麺類と、多くの商品が一緒に買われます。鍋つゆの種類によって一緒にどんな素材が買われるのか?については、昨年の鍋記事「早くも始まっているスーパーの秋冬向け鍋商戦!~鍋に求められるコトとは?今年の鍋商戦を勝ち抜くポイントは?~」の第4章「鍋つゆと一緒に買われやすい素材を強化!」をご参照ください。


今回は、コロナ禍後に初めて訪れた鍋シーズンを検証し、今年の鍋シーズンでも活かせるでのはないかと思われる強化ポイントについて企画提案させていただきました。2020~2021鍋シーズンは好調な流れで推移し、全体としてはオーソドックスな鍋、安心安定の味わいの鍋が支持されたシーズンだったのではないかと感じました。コロナ禍後の2巡目の鍋シーズンにおいても、多くの家庭で喜んでもらえる鍋売場を提供するのにご参考にしていただければ幸いです。

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