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2021年の父の日はいつ?よく売れているのはどんな商品?父の日に喜んでもらう食卓を提案!

2021年の父の日は6月20日(日)です。毎年6月の第三日曜日が父の日となります。父の日は母の日と比較すると、プレゼントをする割合が低かったり、予算が下回っていたり、そもそも何もしない率が高かったりと、とかく冷遇されている情報が目立ちますが、売れている食べ物を調べてみると、意外とごちそう感のある食卓が浮かんできました。また、スーパーでの購買状況でも、肉や魚で良いものが買われていたり、いつもよりもちょっといいお酒が売れていて、1日当たりの売上げでは母の日よりも父の日の方が大きくなっています。お父さんだけでなく、子どもも家族もみんなで楽しめる食卓で、父の日のおうち時間を楽しんでいきましょう。


目次

●スーパーで父の日に売れている商品は?注目すべきメニュー、シーンは?

父の日にスーパーでよく売れる商品について、一覧にまとめてみました。

旬の野菜や果物から、うなぎや刺身、お肉やお酒など、いかにも父の日っぽい商品が並びました。今回は、ステーキやローストビーフなどの牛肉メニュー、お酒を中心とした「おうち居酒屋」メニュー、これら2つのメニュー、シーンについて着目し、売上げが上がる背景や対策事例について考えていきたいと思います。

●父の日と言えばやっぱり牛肉メニュー!ステーキやローストビーフに特徴が出てきています。

父の日のイメージがある食べ物として、一番にお肉、特に牛肉を思い浮かべる方が多いのではと思いますが、実際、スーパーの売上げでもやっぱり父の日は牛肉の売上げが向上します。

牛肉の売上げは週末にピークを迎えますが、父の日の日曜日は前後の他の日曜日よりも高い売上げの山を築いています。父の日にはどんな牛肉が買われているのか?部位別・メニュー別に見るとさらにはっきりとしてきます。

図③はスーパー1店舗当たり・1日当たりの牛肉の売上げ金額を表しています。牛肉の年間平均では、切り落とし・小間切れ肉が一番売れていますが、父の日ではステーキ用の牛肉が最も売上げが高くなっており、普段の約3倍も売れていることがわかります。焼肉用の牛肉も普段の約2倍、ブロック肉やローストビーフも普段の約2倍と、売上げが大きく伸びており、父の日の牛肉メニューは、ステーキ、焼肉、ローストビーフの3つが特徴的なメニューになっています。 ステーキ用の牛肉の売上げが大きく伸びる理由は産地別のデータからもわかります。

図④は焼肉用の牛肉とステーキ用の牛肉について、それぞれの年間平均での産地別割合と、父の日の産地別割合を比較してみたものです。焼肉用の牛肉では年間平均と父の日ではそこまで大きな違いは見られませんが、ステーキ用の牛肉では和牛の構成比が、年間平均での15%から、父の日の29%と、倍に増えており、父の日のステーキ用牛肉は、良いお肉が買われやすいことが売上げ金額を大きく伸ばしてきている要因になっています。さらに和牛について、年間平均の購買価格帯と父の日の購買価格帯も比較してみました。

父の日の和牛の購買価格帯が年間平均よりも1,500円~2,000円台で多くなっていることがわかります。若年層ではサーロインステーキを中心に、高齢層ではヒレステーキも買われているようです。父の日は普段よりも若年層に牛ステーキ肉を買ってもらいやすいので、サーロインステーキの品ぞろえをいつもよりも強化していくと良いと思われます。父の日の牛肉ステーキでは和牛を中心に良い国産牛なども含めて強気な品ぞろえをしていく価値があるのではないでしょうか。 また、父の日では、ステーキや焼肉とともに、ローストビーフもよく食卓に登場してきます。

図⑥はローストビーフ惣菜の5~7月の日別売上げ推移ですが、2019年、2020年ともに、父の日に売上げが上がっていることがわかります。父の日のローストビーフ惣菜は、年末・クリスマスに次ぐ、年間で第3位の売上げを記録する日となっています。

父の日のローストビーフ惣菜の売上げの山が、2020年は2019年に比べて少し低くなったように見えますが、これはどうもローストビーフを家庭で手作りするようになった方が増えたことによるようです。

図⑦は牛ブロック肉の日別売上げ推移です。2019年の父の日は他の日曜日とさほど変わらない売上げですが、2020年の父の日は売上げが大きくなっています。コロナ禍以降、家庭で手作り料理をする方が増えており、ローストビーフメニューもこの流れで、惣菜利用から手作りにシフトされた方がおられるようです。コロナ禍も1年以上と長期化してきており、手作り疲れから、惣菜利用や半調理品を利用した簡便調理が増えてきている傾向もありますが、同時にまだまだ本格手作り料理にチャレンジしたいと考えている生活者も増えてきており、食卓準備が二極化してきている状況が出てきています。2021年の父の日も、牛ブロック肉からの手作りローストビーフ需要は根強いのではないかと判断します。手作りにチャレンジしているのは若年層が多いので、比較的お買い求めしやすい輸入牛を中心に、国産牛や和牛まで幅広く、ローストビーフメニュー訴求での牛ブロック肉の販売強化をおすすめします。

●家族みんなで楽しめる「おうち居酒屋」開店!ビール・焼鳥・枝豆!

◇父の日の「おうち居酒屋」のお酒はビールと新ジャンルが主役。

コロナ禍以降の外出自粛、外食自粛で家飲みの需要が高まり、さらにはコロナ禍の長期化に伴い、「おうち居酒屋」を楽しむ家庭が増えてきているようです。

図⑧は、「おうち居酒屋」の検索数推移(グーグルトレンドより)ですが、第一次緊急事態宣言下の2020年4~5月に大きく検索が増え、コロナ禍第2波後のGoToキャンペーンで少し落ち着きましたが、2021年に入ってきてからのコロナ禍第3波、第4波で再び検索数が増加してきています。

図⑨は、スーパーでのお酒の月別売上げ推移です。コロナ禍以降、おうち居酒屋への関心もあって、前年を上回り続ける好調さを維持しています。

図⑩はスーパーでのお酒の日別売上げ推移ですが、父の日のお酒の売上げはやはり他の日曜日よりは少し高くなっています。けん引役はビールと新ジャンルです。

図⑪は、スーパーの1店舗当たり・1日当たりのお酒の売上げ金額ですが、父の日と年間平均を比較すると、ビールの父の日の伸びっぷりが目立っており、新ジャンルがそれに続いています。また、日本酒や焼酎も伸びています。

父の日にビールの売上げが伸びるのはもちろん買われる本数が多くなるからですが、ちょっと良いプレミアムビールが買われるようになることも売上増加の要因です。年間平均でのビールの売上げ全体に占めるプレミアムビールの割合は約15%ですが、父の日には約21%と普段の1.4倍に増えてきます。

また、父の日にビールが伸びる理由のキーワードとして、「プレミアム」に加えて「飲み比べ」もポイントになっているようです。

図⑫は、「飲み比べ」の検索数推移(グーグルトレンドより)です。ちょっとピクピクと上下動が激しいですが、父の日の前週の「飲み比べ」検索数は、過去5年間で4回も年間1位をとっており、父の日のビールのキーワードに「飲み比べ」もポイントであることがわかります。

ビールの入っている買い物カゴを分析してみると、プレミアムビールを買っている人は他の種類のプレミアムビールも一緒に買う傾向があったり、クラフトビールを買っている人は他の種類のクラフトビールも一緒に買う傾向がある、ということがわかりました。「飲み比べ」というキーワードに対しては、各地のクラフトビールを組み合わせた「ご当地クラフトビールセット」や、各種のプレミアムビールを組み合わせた「ご褒美プレミアムビールセット」などの仕掛けがおすすめです。

◇父の日の「おうち居酒屋」のおつまみは焼鳥と枝豆で家族で楽しく盛り上がりましょう。

また、「おうち居酒屋」にはお酒だけでなく、おつまみも重要ですが、父の日の一番のおすすめおつまみは焼鳥です。

図⑬は、スーパーでの串焼き惣菜の日別売上げ推移です。串焼き惣菜全般の数字ですが、売上げのほとんどを焼鳥惣菜が占めており、焼鳥惣菜の推移と見てもらって差し支えありません。2019年も2020年も、父の日の焼鳥惣菜は年末、お盆に続く年間で3番目に高い売上げとなっています。 購買年代層としては普段よりも40~50代が強くなってきており、子どもが小中高生ぐらいの、父の日イベントに最も積極的に取組む年代での購入が多くなっています。

図⑭は、串焼き惣菜の年間平均の購買価格帯と父の日の購買価格帯を比較したものです。父の日は普段よりも高価格帯の構成比が高くなっており、ファミリーパックやセット物の商品投入をおすすめします。父の日にはから揚げ惣菜も、年末、お盆、節分に次ぐ年間で4番目に高い売上げとなる日なので、焼鳥とから揚げをセットにしたおつまみセットなどはいかがでしょうか。 そして、父の日のおうち居酒屋におすすめのもうひとつのおつまみは枝豆です。

図⑮は、スーパーでの青果の枝豆の日別売上げ推移です。枝豆は6月から本格的に旬となりますが、2019年は父の日が年間で1位の売上げとなっており、2020年はコロナ禍で「おうち居酒屋」全盛となってしまったので、お盆や他の日曜日も売上げが伸びましたが、父の日も年間6位に食い込んでいます。

青果の枝豆は60~70代の高齢層に買われがちですが、父の日では30~40代でも購買が伸びてきます。もともと若年層では枝豆の旬の時期でも冷凍枝豆を購入される方が多いのですが、せっかくの旬の枝豆を楽しんでもらうために、美味しい茹で方や食べ方などの情報を売場から発信していきましょう。

また、青果の枝豆を買う方の内、約2割は青果のとうもろこしも一緒に買ってもらえる傾向があるようです。おうち居酒屋のおつまみのメインに、旬の盛りの美味しい枝豆ととうもろこしを採用してもらえるように、枝豆ととうもろこしを一緒に訴求していくのも良いのではないでしょうか。

◇ちょっと良いおつまみにうなぎもおすすめ。丑の日の顔見世に利用していきましょう。

父の日ではうなぎの需要も高まってきます。

図⑯はうなぎ蒲焼(長蒲焼、串蒲焼、カット蒲焼)の日別売上推移です。2019年も2020年も父の日の売上げが伸びていることがわかります。7月下旬には丑の日がありますが、実は、父の日のうなぎ蒲焼は丑の日に次ぐ年間第2位の売上げを記録する日となっています。 ただ、うなぎ蒲焼の利用のされ方は、父の日と丑の日では大きく異なっているようです。

図⑰はうなぎ蒲焼の購買価格帯別構成比を、年間と父の日、丑の日で比較したものですが、丑の日では長蒲焼を中心に家族の人数分がっつりと買ってもらえる傾向がありますが、父の日では「おうち居酒屋」のおつまみとして利用される方が多いようです。おつまみとして利用しやすいように、うなぎ串蒲焼の強化をおすすめします。父の日に需要が高まるうなぎ蒲焼を丑の日本番の顔見世に利用していってはいかがでしょうか。

◇父の日の「おうち居酒屋」は若年ファミリーと高齢夫婦でそれぞれ特徴がある。

父の日の「おうち居酒屋」について、若年ファミリーと高齢夫婦で食卓イメージをまとめてみました。

若年ファミリーではビールを中心に、子どもの好きなおつまみが並びます。父の日にビールが買われている買い物カゴにはノンアルコールドリンクやソフトドリンクも入っていることが多いことからも家族みんなで楽しんでいる様子が想像できます。高齢夫婦では日本酒を中心に、うなぎや本まぐろ刺身などのちょっと良さげなおつまみや枝豆、とうもろこしなども並びます。今年の父の日もまだまだコロナ禍の厳しい中で迎えることになりそうですので、若年層と高齢層が一緒に楽しめる食卓はまだ少ないのではないでしょうか。若年層と高齢層の食卓の違いを把握した上での品ぞろえをしていきましょう。


今回は父の日の食卓ニーズを、父の日の買い物情報から調べていってみました。意外と言っては世の中のお父さんたちに失礼かもしれませんが、楽しそうな美味しそうな食卓シーンが浮かんできました。お父さんが主役ではありますが、家族もみんなで楽しめるような、お肉メニューを中心とした、おうち居酒屋で盛り上がる食卓を応援できる売場づくりをしていきたいと思います。

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