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新型コロナウイルスの調味料への影響は?高まり続ける手作りニーズ。レパートリーに困る生活者

●生鮮品、調味料の利用は増加継続。高まり続ける手作りニーズ

生鮮品推移

図1はスーパー(全国28企業:200店舗)の生鮮・惣菜4部門の売上金額を2020年1月を100%として指数化で表したものです。新型コロナウイルスが流行する前は好調に推移していた惣菜が横ばいであるのに対し、農産、畜産、水産の3月は1月の売上と較べると110%前後と高い値で推移しています。

生鮮品と調味料推移

図2は図1のグラフに調味料の売上指数を追加したものです。3月は1月の売上と較べると120%超えと、生鮮品以上の伸びを示しており、手作りニーズが高くなってきている事が伺えます。この記事ではどのような調味料が売上を伸ばしてきているのか?どう使われているか?を調べることで「生活者の手作りニーズの今」を探っていこうと思います。

調味料の分類

調味料は役割から見てみると、砂糖や醤油などの基礎調味料、ポン酢など様々なメニューに使える汎用調味料、麻婆豆腐の素、天ぷら粉のような特定メニュー用のメニュー調味料の3つに大別されます。

調味料売上構成比

この分類に沿ってスーパーでの調味料の売上構成比を見てみると、基礎調味料とメニュー調味料で9割が占められています。

調味料の日別推移

直近(4月1日~4月17日まで)の状況も見てみましょう。図5は基礎調味料とメニュー調味料の2019年4月の前年比と食品全体の前年比を日別で見たものです。比較しやすいように2019年の同じ曜日にあわせています。食品全体も伸びていますが、それ以上に基礎調味料、メニュー調味料は伸びてきており、依然として手作りニーズが高い事が伺えます。

●高齢者でも利用が高まるメニュー調味料。「炒め」「中華」が一つのキーワードに

図6は基礎調味料、汎用調味料、メニュー調味料それぞれの年代別の売上構成比を食品全体の年代別構成比と比較したグラフです。基礎調味料、汎用調味料は70代で構成比が少し高くなっていますが、ほぼどの年代でも食品全体と同じ構成比になっているのに対し、メニュー調味料は30-50代の若年層で利用が多くなっていることが分かります。若年層はメニューレパートリーを増やしたい、調理時間を短縮したいからというニーズが高いためだと思われますが、新型コロナウイルス感染予防の為に外出自粛要請がされた3月の状況を見てみますと…

調味料の年代別前年比

図7は基礎調味料とメニュー調味料の年代別の売上金額を2020年3月と2019年3月で比較したものです。60-70代では基礎調味料よりメニュー調味料の利用の方が高まってきていました。 60-70代 の方は素材から手作りをするか、惣菜を利用するかの2択といった両極端の傾向があるのですが、今は若年層以上に外出を控えており、買ったらすぐに食べなければいけない惣菜よりは、日持ちもして外食のようなメニューや味も楽しめるメニュー調味料にメリットを感じ、惣菜利用からメニュー調味料利用にシフトしてきているのではないでしょうか。

基礎調味料の前年比

基礎調味料では具体的にどのような調味料の利用が増えてきているのでしょうか?図8では2020年3月の1店舗当たりの金額と 2019年3月比を見たものです。売上が高い順に味噌、食用油、醤油ですが、売上が大きく、特に伸びてきているのは中華基礎調味料、ごま油といった中華系の調味料となっていました。

メニュー調味料の前年比

同じように図10ではメニュー調味料についても見ています。伸びが大きいのはパスタソースや和風ミックス粉、洋風ミックス粉など昼食需要、おやつ需要の調味料ですが、こちらは以前ご紹介した、「新型コロナウィルスによる消費の変化と、これからスーパーに求められるコトとは?」をご参照ください。今回は売上が最も大きい中華加工調味料に注目してみたいと思います。

中華メニュー調味料に注目するもう1つの理由としては野菜の状況です。図10は直近(4月1日~4月17日)の野菜の1店舗あたりの売上金額と前年同期間比を見たグラフです。黒の点線は野菜全体の前年比で、この点線より上にプロットされている野菜は「特に生活者のニーズが高まっている野菜」と見ることができます。このようにして見ると、キャベツ、人参、長葱、もやし、ニラと炒め系の野菜の伸びが目立ち、ここにも中華ニーズの高さが伺えます(キャベツはお好み焼き利用が増えている影響もありますが)。また白菜も伸びていますが、鍋つゆが4月になっても、まだ売れていることの影響と思われます。

図11は中華のメニュー調味料をメニュー別に分類して、売上構成比を見たものです。麻婆豆腐、回鍋肉、酢豚、青椒肉絲、八宝菜の上位5メニューで6割を占めています。これらのメニュー調味料はそれぞれどの年代に購入されているのかを見てみましょう。

中華メニュー調味料の年代別構成比

図12を見ますと、 麻婆豆腐、回鍋肉、青椒肉絲は若年層に、 酢豚、八宝菜は高齢層の購入が多いことが分かります。味の好みもあるのかもしれませんが、比較的少ない具材で作れるものが若年、具材が多い方が高齢という見方もできるかもしれません。今、高齢者はメニュー調味料を必要とされてきていますので、酢豚、八宝菜のメニュー調味料の品揃えをしておく必要があるのではないでしょうか。

容量別年代構成比

もう1つ高齢者向けのメニュー調味料として品揃えしておきたいのが2人前など小容量タイプです。図15は中華のメニュー調味料を容量別に年代別売上構成比でみたもので、2人前は50-60代と比較的高齢層の支持が高いことが分かります。

●若年層で伸びる酢豚用メニュー調味料。その背景とは?

中華メニュー調味料のメニュー別若高別前年比

若年層と高齢層それぞれでどの中華メニューが伸びてきているのか? 直近(4月1日~4月17日) の動向を見てみました。図14では各メニューの1店舗あたりの売上金額と若年層(20-40代)、高齢層(60-80代)それぞれの前年比を見ています。3番目に売上の大きい酢豚ですが、高齢好きのメニューにも関わらず、若年層で前年比150%まで伸びてきていました。
先ほど若年層がメニュー調味料を利用する背景として、簡便性、レパートリーのニーズを上げましたが、今はどちらのニーズが大きいのでしょうか?

カット野菜とのリフト値推移

図15は中華のメニュー調味料とカット野菜のリフト値を見たグラフです。リフト値とはその値が高ければ、高いほど生活者が意識して一緒に購入しているという指標になります。メニュー調味料は簡便性を求めて買われる一面がありますので、同じく簡便なカット野菜とのリフト値も高くなる傾向があります。しかし図15にありますように、中華メニュー調味料とカット野菜のリフト値は若年層、高齢層共に2019年4月より下がってきており、今はメニュー調味料に「簡便性」のニーズが高まってきていないことが伺えます。

酢豚ソース同時PI値とリフト値バスケット分析

図16は若年層で伸びている酢豚用メニュー調味料と一緒に購入される生鮮品の同時購入率とリフト値を見たものです。ピーマン、しいたけ、玉ねぎ、筍水煮、なすと様々な野菜が一緒に買われています。そして肉はブロック肉、角切りといった食べ応えのある肉のリフト値が高くなっていました。

これまでのデーターから外出自粛により手作りせざるを得ない環境が長く続く中、メニューのマンネリ化がおこり、普段買わなかったメニュー調味料へ挑戦する生活者が増えてきているのではないかと考えられます。また、お菓子の売上も増えていることから家庭でのお菓子消費増加が伺え、更に運動不足になりがち、という家族に健康の為に野菜を食べさせたい。かと言って肉が無いと子供が嫌がる、という所からこの両方が成立する酢豚用メニュー調味料に手を伸ばす生活者が増えてきているのではないでしょうか。
緊急事態宣言の延長も検討される中、今後もこのような「レパートリー」、「健康」というニーズは高まってくると思われます。メニュー調味料の品ぞろえの充実が必要ですが、若年層には特に「野菜が沢山とれて、子供も好き」といったものが求められるのではないでしょうか。


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