• 日本食研グループのシンクタンクとして「食」を分析し、食ビジネス活性化のための情報発信を行います

新型コロナウィルスによる消費の変化と、これからスーパーに求められるコトとは?

目次

●新型コロナウィルスの検索増、外食への関心は大きく減少

図1は「コロナウィルス」がどれぐらい検索されているかの直近1ヶ月の推移です。 政府より2/26に大規模イベントの自粛要請、2/27には全国の小中高への休校要請と、社会生活に大きな影響を与える発表があり検索はピークに達します。その後少し落ち着きを見せていますが、まだまだ高い指数で推移している状況です。

コロナウィルスと外食への関心

図2は図1のグラフに「居酒屋」、「ランチ」の検索推移を重ねたもので、生活者が居酒屋やランチといった外食店の検索を減らしてきているのが伺えます。人ごみを避けて外食店から家庭での食事、内食、中食へと利用が推移しているようです。

●食品スーパーは好調が継続。特に利用が増えているのは20、30代

スーパー食品全体の日別売上金額2019年と2020年比較

図3はスーパー1店舗あたりの食品全体の日別売上の推移です。比較しやすいように2019年と2020年の同じ曜日ごとに並べています。政府より休校要請があった2/27から前年を上回り始め、特に3/1(日)、3/2(月)は前年比120%越えとなり、米、パスタ、レトルト品、カップ麺、冷凍食品など保存できる商品が棚から無くなるという事態になりました。このスーパーの大幅な利用増加ですが、年代による違いを見てみました。

スーパー食品全体の年代別売上金額2019年と2020年比較

2020年3月1日~7日の一週間と2019年3月3日~9日の一週間で年代ごとの売上金額を比較しています。青い棒グラフがそれぞれの年代ごとの一店舗あたりの売上金額で、赤色の折れ線グラフが2019年対比を表しています。80代、90代は出歩くのを控えているのか、前年比は良くありませんが、70代以下は110%以上の前年比となっています。特に利用が増えているのは20代、30代となっていて、小さいお子さんがいる家庭で外出頻度を下げるためにまとめ買いをしていることが伺えます。

●求められるコトは「保存」から「子供向け」へ

スーパーレトルト食品の日別売上金額2019年と2020年比較
スーパーカップ麺の日別売上金額2019年と2020年比較

図5、図6はレトルト食品、カップ麺の2019年と2020年の日別の売上の推移になります。2/27の休校依頼が発表されて以降は需要が集中し2019年の売上を大きく上回りましたが、 ストック需要が満たされたためか、3/4以降は少し落ち着いてきている感じがあります。この後、スーパーにはどのようなコトが求められてくるのでしょうか?

スーパーのひな祭りのちらし寿司の素の売上金額2019年と2020年比較

図7のグラフは3/3ひな祭りのちらし寿司の素の売上金額を2019年と2020年で比較したものです。昨年のひな祭りは日曜日で、今年が火曜日と平日であることを考えると、ひな祭り関連の商品の売上は前年を超えるのは難しいと思われたのですが、図7にありますように、ちらしずしの素は2019年対比で120%近い伸びとなっていました。新型コロナウィルスの感染予防として外出や外食を控えている子供たちに対して、「家の中でできるイベントぐらいはちゃんとやってあげよう!」という気持ちの表れではないでしょうか。これから卒園式や卒業式のシーズンになり、お祝いということで本来なら外食店も賑わう時期になりますが、まだ暫くはそれも難しいのかもしれません。このような背景がありますので、スーパーでは家族で楽しめる、子供が喜ぶ食シーンの提供が求められるのではないでしょうか?

スーパー焼肉関連商材の日別売上金額2019年と2020年比較

図8は焼肉関連の商材の1日あたりの売上金額の推移を表したグラフになります。ハレの日の代表的なメニューの焼肉ですが、外食に行けない分の需要がシフトしてきたためか、2/29(土)、3/1(日)は大きく前年売上を超えています。しかしメディアなどで感染予防に個食が推奨されているためか、3/7(土)はわずかに前年を超える程度と少し落ち着いている感じがあります。

スーパーステーキ関連商材の日別売上金額2019年と2020年比較

図9では図8と同じようにステーキの日別の売上を見ています。ステーキは個別に食べれて、ご馳走感もあるということで、週末の利用、ハレの日需要が高まってきています。売場から卒業式のお祝いにステーキの提案は子育て世帯に喜ばれるかもしれません。
また、イベント需要とは別に、子供が家の中で楽しめるようなカテゴリーの商品も売上が伸びてきています。図10は製菓材料、図11は和風ミックス粉(お好み焼きの素、たこ焼きの素)の日別の売上推移になります。売場から親子でクッキング提案をして、お子さんと一緒にプリンやたこ焼きを作ってもらうことで、親子で家に閉じ込められているストレス緩和にもつながるのではないでしょうか。

スーパー製菓材料の日別売上金額2019年と2020年比較
スーパー和風ミックス粉の日別売上金額2019年と2020年比較

記事についてのお問合せはこちらから
記事・データの商用目的での使用はご遠慮ください。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です