目次
「初午いなり」という言葉があるように、初午に食べられるもの=いなり寿司という図式が浮かぶかと思います。グーグルでの検索数を調べてみると、「初午いなり(初午稲荷も含む)」は検索数が増えてきており、関心が高まっていることが分かります。
では、スーパーのいなり寿司の売上はどうなっているのでしょうか?
図②はスーパーのいなり・助六の日別売上推移です。いなり・助六が最も売れるのは年末、次いでお盆にも売上の山が見られます。そして、もう1か所、2月上旬の初午のタイミングでも売上が上がっていることが分かります。
売上が上がるタイミングについて、もう少し詳しく見てみたいと思います。
こちらは2020年と2021年の1~3月のいなり・助六の日別売上推移です。初午の日は冒頭部分でも述べたように2月の最初の午の日なので毎年日にちが変わりますが、初午いなりの日が一般社団法人 全日本いなり寿司協会より2/11に制定されており、2回売り込みのチャンスがあります。
では、どちらで販促をかけたら良いのか?これは初午の日の日付によって変わってきます。2020年は2/9が初午の日に大きく売上が伸びました。しかし、2021年は初午の日が2/3と節分の次の日という事もあり売上は伸びず、2/11の初午いなりの日に売上の山が出来ています。こういった状況から、初午の日が節分前後にある場合は11日の初午いなりの日に、節分とずれている場合は特に初午の日に強化するのが良いのではないでしょうか。
それでは、2022年はどうでしょうか?
なんと2022年は2/10が初午の日で2/11の初午いなりの日と連続しており、販促をかけやすい日並びとなっています。2022年は2/10と2/11の2日間でしっかりと強化をしていきましょう。
初午にいなり寿司を買っているのはどのような方々なのでしょうか。いなり・助六の年代別の売上構成比をみてみます。
いなり寿司は元々60代以上の高齢層に買われやすい品目ですが、初午でも普段と変わらず高齢層に買われやすくなっています。これは2020年の初午の日も同様の傾向となっていました。初午のいなり寿司は、メインターゲットである高齢層向け商品を充実させつつ、新たなターゲットとして若年層を取り込む施策を考えていく必要があります。
●高齢層に対する施策
各社の初午のちらしをみると、初午に特別な商品を出すのではなく、定番のいなり寿司を売り込んでいるお店が多い印象でした。メインターゲットである高齢層の消費傾向として新しいものではなく、いつもの定番品を好む傾向もあるので、高齢層向けには普段から品揃えしている商品をしっかりと売り込んでいくのが良いのではないでしょうか。
いなり寿司の価格帯は300円未満で約8割を占めており、図④の年代別構成比と同様に年間と初午ではあまり変わらない構成比となっています。高齢層が食べやすい量目の、300円未満の商品をメインに品揃えしていきましょう。
なお、東日本は俵型か主流ですが、西日本、特に関西は三角型のいなり寿司の需要も多いようです。地域によって商品作りの工夫も必要かもしれません。
●若年層に対する施策
コロナ禍以降、様々なイベントで手作り需要が高まりましたが、初午に関しては手作り需要があまり見られませんでした。いなり寿司を一から作るのは大変なイメージがあるからでしょうか。こういった状況から、若年向けには手作り提案ではなく、惣菜のいなり寿司を使ったアレンジレシピ提案が喜ばれるのではないかと考えます。
いなり寿司+トッピング商品でオープンいなりの提案をおすすめします。色々な具材を用意することで、手巻き寿司のように家族みんなで子どもも一緒に楽しむことが出来るのではないでしょうか。また、惣菜部のいなり寿司だけではなく様々な部門でトッピング素材の提案をすることが出来、お店全体で初午を盛り上げることも出来ます。
いなり寿司の需要は高齢層が大きいですが若年層にも食べてもらえるような提案を行い、幅広い年代で初午を楽しんで頂けるようにしていきたいですね。
今回はまだまだ伸びしろのある行事である初午について取り上げました。新型コロナウイルスの感染者数は落ち着きつつありますが、おうちで家族で楽しめるイベントはまだ当分の間チャンスがあると思われます。節分の恵方巻が徐々に定着していったように初午のいなり寿司も定着していくのか、今後の動向も楽しみです。
記事についてのお問合せはこちらから。
記事・データの商用目的での使用はご遠慮ください。