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おうちでハロウィン!「コロナ禍以降の消費動向の法則」から導き出された食卓に並ぶメニューとは?

今年のハロウィンは多くのイベントの中止が発表され、また友達などのグループ間でのパーティーも敬遠されることから、家族などのごく親しい間での少人数のパーティーが主体になりそうな流れです。コロナ禍による食市場の大きな変化が起きてから約半年・約6ヶ月が経過して、withコロナ下での消費動向にはある一定の法則も見えてきました。今回は「コロナ禍以降の消費動向の法則」から、今年のハロウィンの食卓動向を考えていきたいと思います。


目次

●今年のハロウィンのポイントは?

コロナ禍以降、本ホームページではコロナ対策記事をたくさん投稿してきましたが、ほとんどの記事に共通する「コロナ禍以降の消費動向の法則」があります。

コロナ禍以降の消費には、3月~4月のパニック的な消費、5月~6月の緊急事態宣言解除からの回復の動き、7月からのコロナ禍再拡大に伴う動向、といろいろな段階がありましたが、今後も続くであろう傾向9項目をまとめさせていただきました。これらの根拠や背景は、本ホームページの過去投稿記事にありますので、ご参照ください。

これらの「コロナ禍以降の消費動向の法則」から、今年のハロウィンの注意ポイント・強化ポイントを予測してみました。

・ハロウィンは若年層向けイベントであることから消費向上に期待ができる。
・ただしハロウィンパーティー需要は、家族パーティーレベルにとどまる。大人数パーティーで売れていたものは
 取組みに注意が必要。ハロウィン週や前週のパーティー需要は減少する可能性大。
・ハロウィンメニューの手作り需要がチャンス。食事系メニュー、菓子系メニューどちらも強化必須。
・惣菜は特に利用シーンを想定した品ぞろえに注意。
 手作りされにくいメニューや少人数パーティー需要に対応した商品を強化。

上記の4項目について、可能性の高いポイントとして挙げさせていただきました。

また、今年のハロウィンの曜日まわりとして、昨年は木曜日でしたが、今年は土曜日の週末となっており、このあたりも消費に与える影響が大きそうです。

それでは、今年のハロウィンでの求められるコト、シーン別に背景や対応策を紹介していきます。

●ハロウィンの手作り料理について。強化メニューは「シチュー」がイチ押し!

ハロウィンと言えば、やはりかぼちゃ。今年のかぼちゃのスーパーでの売上げ状況を見てみます。(図④)

かぼちゃもコロナ禍による手作り料理の増加で3月、4月と売上げが向上しました。5月にいったん落ち着いた後に6月、7月から再度、上昇してきているように見えますが、3月、4月の時と違い、6月、7月からの上昇は、長雨や日照不足などによる価格上昇の影響が大きいようです。

かぼちゃの東京大田市場の市場価格でも6月、7月と大きく値上がりしてきています。(図⑤)この値上がりを考慮すると、5月以降のかぼちゃの購買量は前年並みに落ち着いているようです。
かぼちゃは普段から通常メニューに多く使われる野菜ですので、冬至の日を除いては比較的年間安定した売上げとなっています。ただ、細かく見てみると、ハロウィン週にかぼちゃはやはり多めに買われる傾向は出ています。

図⑥は2018年と2019年の9月~11月のかぼちゃの日別売上げ動向ですが、ハロウィン週にひとつの山となっていることがわかります。

それでは、このかぼちゃを、ハロウィンの消費の主役となる若年層がどんな商品と一緒に買っているのかを調べることによって、ハロウィンで手作りされることの多い料理を考えていきます。

図⑦は、ハロウィン週(ハロウィン当日から前の1週間)に若年層がかぼちゃと一緒に買いやすいもの一覧を示しており、1000人当たりの売上げ点数は例えばかぼちゃを買った若年層1000人の中できのこを買った人は617人いることを、リフト値は例えばシチュールーは普段の6.5倍買われやすいことを表しています。
図⑦の中で、シチュールーを始めとして、野菜・肉など多くの商品に当てはまるメニューが、クリームシチュー・ビーフシチューです。

かぼちゃ、シチュールー以外にも、きのこ、人参、牛肉、豚肉、鶏肉がシチューメニューに使われていることがわかります。ハロウィン週にシチュールーが良く買われることをカレールーと比較して表現してみます。

普段はカレールーとシチュールーは約7:3の売上げ割合ですが、ハロウィン週には約1:1にまでシチュールーが良く買われるようになります。
シチューはかぼちゃだけでなく、他の野菜やお肉の同時購買を促すメニューであることから、かぼちゃ売場でのシチュールーの関連販売はお店全体への売上げ向上効果が高くなることが期待できます。売場では図⑧のようなかぼちゃを器代わりにしたクリームシチューや、かぼちゃとろけるパンプキンシチュー、人参やチーズをハロウィンイメージにカットしたトッピングを載せたビーフシチュー、などの調理例やPOPなどで食卓をイメージしてもらいましょう。

シチュー以外のハロウィンに良く作られている、他の食事系メニューの材料とメニューイメージもまとめてみました。

シチュー以外では、ハンバーグ、グラタン、かぼちゃサラダ、ピザ、ミートパイなどがハロウィンの食事系メニューとして食卓に登場することが多いようです。餃子の皮は白いおばけちゃんのチップスやトッピングに人気のようです(「餃子の皮×おばけちゃん」で検索してみてください)。ハンバーグはイチから手作りする完全手作り、メニュー調味料利用、生ハンバーグ利用と、どの調理の段階も利用されています。

また、ハロウィンでは食事系メニューだけでなく、菓子系メニューも良く作られています。特にコロナ禍においては、子どもと一緒に楽しく作るというニーズが大変強くなっているため、今年のハロウィンでは手作り菓子の需要も高まることが予想されます。菓子系メニューについても、材料とメニューイメージをまとめました。

手作りクッキーは友達などのグループ間でのパーティーでの持ち寄りや、トリックオアトリートの準備で作られていることが多いようです。今年はそういったニーズは弱まることが予想されますが、ハロウィンが土曜日ということもあり、子どもと一緒に作りやすいメニューとして今年もニーズはあるのではと思われます。今年のゴールデンウィークでも、ホットケーキミックスはもちろんですが、デコペンやクッキーの素なども売上げが向上しています。ハロウィンのクッキー型やマフィンカップなどの調理備品も合わせて強化していくことをおすすめします。

●ハロウィンのお惣菜について。コロッケ惣菜をしっかりと強化!

ハロウィンではクリスマスと違って、惣菜部全体で売上げが向上する傾向はこれまでも出ていません。また、今年は手作り傾向が強まっている反動を受けて、さらに惣菜部での仕掛けが難しい状況にあります。ただ、今年は10/31が土曜日で、何も準備していない人が惣菜部でハロウィン惣菜を見て少しでも雰囲気を出すために購入するというニーズはあるかもしれませんが…。

しかし、そんな環境下での惣菜で、今年のハロウィンでも好調な売上げになるであろうと予測できるのが、コロッケ惣菜です。

コロッケ惣菜は、コロナ禍以降、不振となった惣菜部の中でも、比較的好調な流れを維持しています。手作り料理が増えてきたとは言え、2回の加熱工程が必要な揚物メニューはやはりハードルが高く、お惣菜に頼られるメニューの地位を維持しています。また、コロッケ惣菜はごちそうメニューというわけではないので、年間を通しての変動が少ないですが、2019年実績ではコロッケ惣菜が一番売れた日が2019年10月31日(木)ハロウィンの日となっています。かぼちゃコロッケ、パンプキンコロッケの売上げは侮れないものがあります。ちなみに2019年において、お正月と10月の台風19号上陸で全国的にスーパーの店休日が多かった日を除くと、最もコロッケ惣菜が売れなかった日は2019年12月24日(火)クリスマスイブの日でした。
ハロウィンの日にコロッケ惣菜が良く売れるのは、やはり若年層の購入が多くなることが要因です。普段はコロッケ惣菜は高齢層が購買のメインですが、ハロウィンの日は若年層の方が多くなる珍しい日となっています。また価格帯では普段よりも200円台が多くなっており、「かぼちゃコロッケ5ヶ入り298円」といった商品が代表的な売れ筋のようです。

逆に、去年は一定の売上げがあったのに、今年は期待がしにくいのがフライドチキン惣菜です。

フライドチキン惣菜は、休日やイベント日に利用が多くなる惣菜ですが、コロナ禍以降は図⑬のように不振度が強くなっています。ゴールデンウィーク週の前年比53%に代表されるように、特にイベント日・休日での減少度合いが目立つことから、ハロウィンにおいても期待がしにくい状況となっています。家族パーティーであれば、から揚げ惣菜の大パックを強化した方が良さそうです。

●その他のハロウィン関連商品の動向について。

商品名に「ハロウィン」がついている商品は、菓子系商品が商品数でも金額でも最も大きくなっています。グロッサリーのお菓子は、9月の上旬から売上が向上し始め、10月31日前をピークに急速に売上げがなくなります。チルド商品売場のかぼちゃプリンなどのスイーツ系商品は、10月に入ってから売上げが伸び始め、やはり10月31日前をピークに売上げデータから消えます。

ハロウィンのお菓子、スイーツはどちらも購買層は若年層となっています。

またハロウィンのお菓子は普段と比較するとチョコレートやビスケットなどが多くなる傾向のようです。

こういったお菓子やスイーツの今年のハロウィンでの消費ですが、今年のハロウィンでは友達などのグループ間でのパーティーが減少するマイナス要因と、外食を控える反動からくる巣ごもり消費でのプラス要因、両面があり、なかなか予測が難しいのですが、コロナ禍におけるお菓子の大入り袋の消費動向がひとつ参考になるのではと思います。
ポテトチップスに代表される、個包装されていない大入り袋のお菓子はコロナ禍においても前年並みの売上に留まっています。

一方、チョコレートなどに代表される個包装されている大入り袋のお菓子はコロナ禍において、前年と比較して大きく売上げを伸ばしています。

こういった個包装商品は複数のフレーバーの商品を組み合わせられるアソートパック商品も多いのですが、コロナ禍においてはこういった商品の飽きの来にくいところも支持されている要因のようです。
お菓子やスイーツに限りませんが、シェアのしやすさや、楽しさ、保存性などの要素も注意しながら、ハロウィンに強化する商品を見定めていくことが必要そうです。


今回はコロナ禍での消費動向から、今年のハロウィンの消費を考えてみました。実はここ数年、ハロウィン関連商品の売上げは少し低調な流れとなっているのですが、今年は手作り関連の商品がけん引役となって売上げを伸ばしていく可能性があるのではないかと感じています。ハロウィンだけでなく、その後に続くボジョレーヌーボー解禁、クリスマスなどのイベントへの影響も考えながら消費動向を見ていきたいと思います。

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