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新生活は朝食をしっかり食べて元気にスタート!朝食における頻出メニューのトレンドは?

新型コロナウイルスが流行しはじめ、もう2年が過ぎました。コロナ禍をきっかけに、健康に対する意識が強まった方も多いのではないでしょうか。感染拡大がまだおさまりそうにない状況からも、健康に対する関心の高さはまだまだ続きそうです。健康と食は切っても切れない関係にありますが、その中でも朝食を健康に摂りたいという方は多いと感じます。今回は、この朝食に注目してみていきたいと思います。


朝食にもいろいろなパターンがあると思いますが、どのような食卓が多いのでしょうか。色々な食卓データから、朝食の代表的な食卓イメージを作成してみました。

今回はこの中から、食卓に上がりやすいもの、伸びているものを中心にそれぞれの動向を見ていきたいと思います。

目次

●コーヒー:朝食で最も食卓に上がるコーヒーのトレンドは?

コーヒーは朝食において最も食卓に上がりやすいメニューです。
まずは、コーヒーの支出金額推移をみてみます。

こちらはコーヒーとお茶の長期推移です(液体飲料は含まず)。緑茶が減少傾向なのに対し、コーヒーは順調に増加してきています。

次に、直近でのスーパーのコーヒーの売上状況をみてみます。

コロナ禍以降売上が伸び、2021年も2020年と同等の値で推移しています。コロナ禍によりおうちで過ごす時間が増えたり、在宅勤務が増加したりしたことにより、コーヒーを飲む人やそれぞれの飲む機会が増えているのだと思われます。

ただ、コーヒーの中でも種類によって動きが異なっているようです。

お湯に溶かすだけの簡易的なインスタントコーヒーが減少傾向なのに対し、抽出が必要なタイプのレギュラーコーヒーが増加傾向となっています。

そして、レギュラーコーヒーの中でも特に豆タイプの商品が伸びています。ドリップや粉に比べてまだまだボリュームは小さいですが、豆タイプの品揃えも必須です。私も昨年コーヒーミルを購入し色々な豆を購入して楽しんでいますが、同様にこだわりのコーヒーをおうちで楽しむ方が増えているのではないでしょうか。

●ヨーグルト:ヨーグルトのトレンドと人気のトッピング

次に、コーヒーに次いで朝食の食卓に上がりやすいヨーグルトについて見ていきます。こちらはヨーグルトの月別売上推移です。

コロナ禍以降、需要が増加しています。コロナ禍で免疫についての関心度が上がったことにより、免疫力を高めるイメージの強いヨーグルトの需要が高まったのではないでしょうか。

ヨーグルトの商品名をみると、乳酸菌の種類や健康関連ワードが入っていることが多いですが、どのようなキーワードが人気となっているのでしょうか?

図⑦は使用頻度の多いキーワードの入っている商品の売上金額推移です。最もボリュームが大きいのが「脂肪0(ゼロ)」となっていますが横ばい、最近では「砂糖不使用・無糖」というキーワードのついた商品が伸びているようです。毎日食べるものとなると、健康のことを考えて中途半端な低○○よりも脂肪0や無糖の方が支持されているのではないかと思われます。また、健康を考えて砂糖不使用・無糖の商品を購入される方も多いかと思いますが、トッピングを色々と楽しめるというメリットもあるのではないでしょうか。

こちらはヨーグルと一緒に利用されやすい材料をまとめたものです。直近では、バナナやりんご、キウイなどの果物であったり、健康食材であるきな粉や蜂蜜がよく利用されているようです。ヨーグルトは習慣として食べている方も多いと思うので、飽きのこないような食べ方提案も喜んでもらえるのではないでしょうか。

ちなみに、ヨーグルトに利用されやすいバナナですが、コロナ禍以降好調な動きとなっています。

こちらは果物の売上上位品の、19年と比べた時の21年の増加高を見たグラフになります。果物はコロナ禍以降全体的に好調ですが、果物の中で最も売上の大きいバナナが、19年のコロナ禍前に比べて特に売上を伸ばしていることが分かります。バナナも朝食向けの食材としてしっかりと訴求していきましょう。

●パン:コロナ禍以降、クロワッサンが伸びている!

朝食の主食の代表的なものとして、パン類、ご飯、シリアルが挙げられると思いますが、この中でも特にトースト、シリアルの朝食利用が増えてきています。トーストについては以前の記事「食パン・フランスパンがコロナ禍以降伸びてきている背景にあるコト・シーンは?飽きさせない工夫・楽しんで食べてもらう施策は?」を、シリアルについては「話題のオートミール!トレンドとなっている理由は?どのように利用されているの?」を参考にして頂ければと思います。

また、パンの中でコロナ禍以降伸びてきている品目としてクロワッサンもあります。朝食での出現頻度も伸びていますが、スーパーでの売上金額も伸びてきています。

図⑩はクロワッサンの月別売上金額推移です。2021年は2020年の売上を大きく上回っています。それでは、どのようなタイプのクロワッサンが好調なのでしょうか?

クロワッサンにも、大きく分けるとプレーンタイプ、菓子パンタイプ(チョコやクリームなどが入ったもの)、調理パンタイプ(ハムやソーセージなどが入ったもの)がありますが、その中でも菓子パンタイプとプレーンタイプの商品が伸びているようです。コロナ禍によりおうちにいる時間が長くなったので、菓子パンタイプのクロワッサンはおうちでのおやつ変わりに利用されていたり、プレーンタイプはいつもよりちょっとお洒落な、充実したおうち朝食としてクロワッサンを使ったサンドイッチなどに挑戦する人が増えていたりするのかもしれません。

朝食に食べられるパンの代表といえば食パンだと思いますが、クロワッサンの購入者は食パンに比べて大きく若年に偏っています。若年層の多い店舗では特にクロワッサンもしっかり売り込んでいっても良いのではないでしょうか。また、外食のトレンドとして韓国発スイーツのクロワッサンをワッフルメーカーで焼いた「クロッフル」の関心が高まっています。レシピサイトではワッフルメーカーを使わないで作れるレシピも載っていますので、クロッフルのレシピ提案も若年層には喜んでもらえるのではないかと思います。

●味噌汁:とことん簡便かこだわりの2極化!

和食での定番メニューといえば白いご飯と味噌汁だと思いますが、その味噌汁にも変化が起こってきています。

長期的な傾向としては味噌が減少し、即席味噌汁を含む乾燥スープが伸びている流れとなっています。では、直近でのスーパーの売上はどのような動きとなっているのでしょうか?

直近ではコロナ禍の長期化による手作り疲れもあり、手作り用の味噌が減少して、元々長期的に伸びていた即席味噌汁がさらに伸びているようです。朝食は調理も簡単に済ませたいと感じている人が多いため、朝食で食べられる味噌汁は前の日の残り物や即席味噌汁を利用する人が多くなっています。朝食の企画を行う際には即席味噌汁も訴求していきたい商品の一つです。

また、消費が減少してしまっている味噌についても少し見てみたいと思います。

こちらは、味噌の種類別の売上の変化です。即席味噌汁と同様に簡便調理品である液みそが特に伸びており、減塩味噌も微増傾向です。逆に減少してしまっているのはだし入り味噌となっています。だし入り味噌が減少しているのは、さらに簡便な液みそに移行しているのも一つの要因かと思いますが、もう一つ、だし商品の嗜好の変化も影響しているのではないかと考えます。

図⑯はだし商品の形態別の売上変化です。顆粒だしが減少し、だしパックが伸びています。これは長期的にも同様の傾向となっており、だしにこだわり、本格的な美味しさを求めている人が増えてきているようです。

即席味噌汁や液みそでとことん簡単に調理することを求めるか、だしパックと減塩味噌や無添加味噌を利用してこだわった味噌汁を作るかの2極化の傾向がみられます。味噌汁については、簡便品とこだわり品の2パターンにチャンスがあるのではないでしょうか。


もうすぐ新年度が始まる時期となり、新生活を始める方も多いと思います。新しい年度や生活を元気に健康的に始めてもらうために、朝食をしっかりと食べて頂けるような提案も良いのではないでしょうか。そして、朝食の習慣を作ってもらうことで継続的な朝食関連品の売上向上につなげていきましょう。

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