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味やサイズ、包装形態など、さまざまな違いで変わる「買われやすい」年代の違いは?
~将来の売上アップも見据えた商品戦略~

スーパーにはいろんな商品がたくさん売られています。同じ調味料でも甘口や辛口などいろいろな味の違うものや、小さいサイズのものから大きいサイズのものまで、たくさん品ぞろえされています。そして、そのちょっとした違いでそれぞれの商品を買うお客様が変わってきます。今回はいろいろな違いで変わる「買われやすさ」の違いを見ていきたいと思います。

●味の違いで変わる、「買われやすい」年代の違い

味の違いの代表的なものと言えば甘口・中辛・辛口といったラインナップのあるカレー。ということで、さっそくレトルトカレーの味の違い、辛さの違いによる買われやすい年代について調べてみました。

図①はスーパーの食品全体の年代別の売上構成比と比較して、左側にずれていると若年層に買われやすく、右側にずれていると高齢層に買われやすいということを示しているグラフです。

甘口は食品全体の年代面と比べて大きく左にずれており、子どもが小さい子育て世帯の30~40代が購入していることがわかります。中辛は食品全体の年代面とほぼ重なっており各年代に万遍なく利用されています。辛口も比較的平均と似ていますが、少し50~60代で多く購買されており、全体的に右寄りつまりは高齢層寄りになっています。
面白いのが激辛で50代に大きな山が出来ています。理由がわからなかったので、買物カゴの中身を詳しく分析したところ、激辛は子どもが大きい子育て世帯の50代が子どもに関係なく家族それぞれの好みで購入していたり、単身世帯の50代が自分の好みで購入していることがわかりました。子どもが小さい時にはガマンして甘口カレーを食べさせられていたお父さんの反抗期でしょうか。ちなみにネットでは子ども用の甘口カレーを辛くする方法がたくさん投稿されています…。

ご覧のように味の違いによって購買年代層はきれいに分かれています。それぞれの商品を誰が支持しているのか?そしてその背景には何があるのか?こういったことを理解していくことで、来てもらえる買ってもらえる売場づくりが出来るのではないかと感じます。なお、この甘口・中辛・辛口・激辛の購買年代層の違いは、カレールーでも同様であり、また麻婆の素でも同じ傾向が出ていました。

●サイズの違いで変わる、「買われやすい」年代の違い

味だけでなく、サイズの違いでも買われやすい年代が変わってきます。

図②は即席商品(即席麺、レトルト食品、冷凍食品など)でトップクラスの売上のある日清食品㈱さんのカップヌードルのサイズによる買われやすい年代の違いを表したグラフです。
レギュラーサイズは食品全体の年代面から少し若年層寄りになっていますが、ミニサイズになると右寄りになってきて高齢層のお客様をカバーしています。そしてビッグサイズは40代をピークに若年層に強くなっています。レギュラー・ミニ・ビッグの3種類のサイズによってほぼ全ての年代で食品全体の年代面を上回る山を築くことが出来ており、幅広いターゲットをカバーする商品構成になっていることがわかります。他の商品でいろいろ調べてみると、サイズが違うのに買われやすい年代があまり変わっていない例も多くあり、自社ブランドでカニバリを起こしているのではないかと感じる商品も目にします。最近のサイズマーケティングではある程度思い切って大きくしたり逆に小さくしたりすることで新たなターゲットを獲得して成功している事例も目立ってきており、サイズ違いの商品ラインナップも重要です

●包装形態の違いで変わる、「買われやすい」年代の違い

サイズは一緒でも、包装形態の違いで買われやすい年代が変わってくるものもあります。

図③はツナ缶とツナパウチの買われやすい年代の違いを示したグラフです。ツナ缶の購買はほぼ食品全体の年代面と同じ年代構成ですが、ツナパウチになると若年層の支持が強くなっています。缶ゴミが出ないことや使いやすさといった利点が若年層に刺さっているようです。以前は缶商品とパウチ商品は別の場所で売られていることが多かったと思いますが、最近ではツナ缶とツナパウチが隣に並べられている売場も多くなってきているように感じます。また、このグラフには含めていませんが、エスニックな味付けをしたツナパウチ商品はさらに若年層に支持されています。油切り不要や味付き済みといった使いやすさの点での付加価値があると若年層に買われやすくなってきます

●商品仕様の違いで変わる、「買われやすい」年代の違い

商品仕様の違いでも買われやすい年代が大きく変わってきます。

食パンは1斤を何枚に切るかによって厚さが変わり、商品ラインナップも多くなってきますが、買われやすい年代を調べてみると切り数が多いほど、つまり薄いほど若年層に買われやすく、切り数が少ないほど、つまり厚いほど高齢層に買われやすいという購買状況になっています。さらに耳まで落としたサンドイッチ用になると最も若年層寄りになり、切り数なし、つまり1斤丸ごとになると最も高齢層寄りになっていました。薄いほど若年層、厚いほど高齢層、というわかりやすい結果になっていますが、これの背景としては年代の違いによる、食パンの食べられ方の違いがあると思われます。
食パンの最も多い食べられ方はトーストですが、若年層になればなるほどトーストでの喫食が減って食パンそのままで食べられることが多くなってきています。食パンの食べられ方も、若年層ほど食パンそのままでの喫食、高齢層ほどトーストでの喫食、というわかりやすい構造になっています。食パンもブランドによって、「そのまま食べて美味しい」という価値を謳っているものや、「トーストした時の美味しさ」をアピールしているものがありますが、これもやはりセオリー通り、「そのまま食べて美味しい」は若年層寄り、「トーストした時の美味しさ」は高齢寄りに買われやすくなっています。食卓での利用のされ方の違いに合わせた商品仕様の違うラインナップを揃えていくことが重要です

商品仕様の違いによる買われやすい年代の違いの事例としてもうひとつ、コンソメの素でも調べてみました。

もともと洋風料理の食卓登場は若年層の方が多いため、コンソメの固形も食品全体の年代面よりは若年層寄りになっていますが、コンソメの顆粒になるとさらに強く若年層に購買年代構成比が寄ってきます。コンソメの固形は野菜スープやカレーライス、ミートソースなど煮込み調理が必要なメニューが主な利用ですが、コンソメの顆粒になると、煮込みメニュー以外でも、肉と野菜の炒め物や洋風チャーハンなどの、手作り調理で一番増えてきている炒め物メニューにも用途が広がってきます。使えるメニューが広がっていく、メニューバリエーションが多いことは特にメニューづくりに悩む子育て世帯に刺さるキーワードのひとつにもなっています。やはり食卓の変化に合わせた商品ラインナップが必要なのではとこの事例でも感じます。


今回は、商品のちょっとしたさまざまな違いが「買われやすい」年代の違いにつながることをお話させていただきました。一般的な傾向として、食品全体の年代面よりも右寄り、高齢層寄りになっている商品は売上が減少していく動きになることが多くなっています。強化したいカテゴリーや商品でこういった傾向が出ているものについては今回取り上げたような味やサイズ、包装形態や商品仕様などを変えた商品も作っていくことで左寄り、若年層寄りの売上も獲れる商品ラインナップにしていくことも必要ではないでしょうか。将来的にはそういった商品の方が売上のメインになることも視野に入れた商品戦略が重要ではないかと感じます。


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