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2020年11月19日(木)ボジョレーヌーボー解禁!
~ボジョレーの消費動向は?他にはどんな商品が売れる?~

ここ数年、ボジョレーヌーボーへの関心度(検索数)や輸入量は残念ながら減少していっているのが実情です。しかし大きなトレンドとして、ワイン全体の輸入量は増加してきており、ワイン全体の消費量もここ30年で約3倍以上に伸びてきています。「ワイン」が必ずしも特別なモノではなくなってきた現在、ボジョレーヌーボー解禁イベントへの関心度低下や、ワインの入門編というポジション役割の低下、格安の輸入ワインがあふれる中での割高感、などから、ボジョレーヌーボーは新たな顧客を開拓できずにいます。
とは言え、消費の数字で見ると、まだまだボジョレーヌーボー解禁イベントは、多くの商品の売上げに大きな影響を与えています。昨年までの消費動向を把握し、コロナ禍の今年はどうなるのか?そしてその対策を考えていきたいと思います。


●ワイン全体の大きな流れと課題は?

ワイン全体の1人当たりの消費量は長期トレンドでは大きく伸びてきています。(図①)

1997~1998年のピークはポリフェノールに注目が集まった赤ワインブームで、2012~2013年のピークはチリ産ワインなどの安価な輸入ワインブームで形成されているようです。
ただ、長期トレンドでは伸びてきているのですが、直近では少し伸びが鈍化してきているように見えます。伸びが鈍ってきている理由は若年層でのワイン需要の獲得がうまくいっていないことにあります。

ワインの購入金額について、それぞれの世代ごとに過去にさかのぼって調べてみると、ご覧のようにすべての世代で年齢が上がるほど(より正確に表現すると新しい時代になるほど)消費が増えています。そして現在の70代よりも現在の60代の方が過去の全ての年齢の時にワインを多く購入しており、さらに現在の50代は現在の60代よりも過去の全ての年齢の時にワインを多く消費していることがわかります。しかし現在の40代となると現在の50代からの伸びがなくなって線が重なってきており、現在の30代、現在の20代となると、むしろ減少傾向すら見えてきています。現在のワイン市場は若い時からワインに親しんできた50代を中心とした中年層の消費支出増加に支えられていますが、将来的にも伸ばしていくためには、今後は若年層のファンづくりが重要となってきています。

●ボジョレーヌーボーの消費動向は?

そして、このようにワイン全体は伸びてきている一方で、ボジョレーヌーボーの輸入量は直近では図③のように年々減少してきています。

ボジョレーヌーボーの最初のブームは1980年代後半のバブル時代にありましたが、バブル終焉とともに低迷期に入ってしまいました。しかし1997年からのワインブームでボジョレーヌーボーへの注目も再度高まり、2004年にピークに達します。2004年以降はPBのボジョレーヌーボーなどの取組みもあり、少し盛り返した時期もありましたが、大きなトレンドとしては下降線に入ってきています。プロローグでも述べましたが、「ワイン」が特別なお酒から、一般的なお酒の種類のひとつにまで手に取りやすくなってきた現在、ボジョレーヌーボーというブランドの再構築のためには、新たなブランディングが必要となってきているようです。

ボジョレーヌーボー解禁日は11月の第3木曜日と決まっていて、去年は2019年11月21日でしたが、今年は2020年11月19日が解禁日となります。

そしてボジョレーヌーボーの売上げは図⑤のように解禁日の木曜日をピークにして、木曜日・金曜日・土曜日・日曜日の4日間でその年に売れるボジョレーヌーボーの約7割近くを売り切っています。

減少してきているとは言え、これだけ破壊力のある商品はワイン売上げ全体への影響も大変大きく、ボジョレーヌーボー解禁日の週は、年間を通しても、クリスマス・年末週に次ぐ売上げとなっています。(図⑥)

コロナ禍以降のスーパーでのワインの売上げは、3~5月は家呑み需要で大きく伸びましたが、現在は前年並みに落ち着いてきています。

ワインが買われる年代面はカテゴリーで異なっているようです。

輸入ワインは50代をピークに40~60代で大きな山を構成しており、ボジョレーヌーボーもほぼ同じ年代に購入されています。国産ワインになると高齢寄りになって、60代をピークに40~70代で山を形成しており、70代の支持も高いのが特徴です。スパークリングワインは最も若年層寄りのカテゴリーであり、40~50代が中心ですが、20~30代でも食品全体の構成比よりも大きくなっているのが特筆事項です。

ボジョレーヌーボーは普段ワインを買わない人もこの日だけは買うと言われていますが、実際にはどうなのでしょうか?

調べてみると、普段からワインを買ってる人と、年間でボジョレーヌーボーだけしか買わない人の割合は半々となっています。(図⑧)年間でボジョレーヌーボーしか買わなかったお客様のその後のワインの購買状況を調べてみると、約1ヶ月後までで13%が、約1年後までで26%の方がワインを購入するようになってきており、現在でもなおワインの入門編というポジションの役割を果たしていることがわかります。

また、ワインのレギュラーサイズ容量は750mlですが、ボジョレーヌーボーは輸入ワイン全体よりはハーフサイズの375mlも比較的良く売れており、375mlの購買層は750mlよりも少し若年層寄りになっています。 特に今年のように外食でのグラスワインを味わえる機会が減少してしまうことが起きる可能性なども考えると、180mlカップワインのような飲み切りサイズの強化ということも今後の対策のひとつに挙げても良いのではないでしょうか。

●ボジョレーヌーボー解禁が他の商品に与える影響とは?

ボジョレーヌーボー解禁週にボジョレーヌーボーと一緒に買われる商品、売上げピークが出る商品は意外と多くあります。

図⑨はボジョレーヌーボー解禁日から4日間に、ボジョレーヌーボーを買った人が一緒に買いやすいもの一覧を示しており、1000人当たりの売上げ点数は例えばボジョレーヌーボーを買った人1000人の中でナチュラルチーズを買った人は154人いることを、リフト値は例えば生ハムは普段の9.5倍買われやすいことを表しています。
一緒に買われやすいものの傾向を見てみると、やはり洋風系の商品が多く挙がっており、しっかりと手作りするものよりは、すぐに食べられる即食系の商品が中心になっているようです。また、スパークリングワインや国産ワインも一緒に買われているのは、ワインの飲み比べとかもされているのでしょうか。

図⑨の中でボジョレーヌーボー期間にピークが強く出る商品のひとつにフランスパンがあります。

フランスパンが年間で一番売れるのはクリスマス週ですが、二番目に売れるのがボジョレーヌーボー解禁週になっています。さらにボジョレーヌーボーとフランスパンを買っている人が何を買っているのかを調べてみると、チーズフォンデュの素やアヒージョの素、パテやスプレッドが多くなっており、ボジョレーヌーボーと一緒に楽しむメニューのある食卓が浮かんできます。ボジョレーヌーボーとフランスパンを中心とした手作り料理の食卓はこんな感じになっているようです。

手作り料理とはいえ、そこまで手の込んだ料理は作られていないようです。準備よりは食事の方にゆっくりと時間をかける食卓スタイルがボジョレーヌーボーを楽しむポイントでしょうか。

また、一緒に買われやすい商品で多くなっていた即食系の商品を中心にしたボジョレーヌーボーのある食卓はこのような感じではないでしょうか。

手の込んだ準備をしない、買ってきたものをそのままお皿に並べる商品でボジョレーヌーボーを楽しむ料理が多く挙がっています。ピザは50代60代は惣菜を購入されており、40代は家で焼いて仕上げる半惣菜が購入されているようです。また普段よりはちょっと良いナチュラルチーズが選ばれているのも特徴のようです。

こういったボジョレーヌーボーを楽しむ食卓イメージをしっかりとアピールしていくことも、ボジョレーヌーボーの売上げアップのためには必要ではないでしょうか。家の中でもしっかりと楽しめるボジョレーヌーボー解禁イベントに今後も注目していきたいと思います。


コロナ禍以降の、外呑みが減って家呑みが増えてきている状況や、家の中での楽しみに注力する現在のライフスタイルは、今年のボジョレーヌーボーにとってプラスに働く部分が大きいのではと感じます。ボジョレーヌーボーだけでなく家呑みについても今後も情報を発信していきたいと思います。

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