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増える家呑み。高まるおつまみ需要。各部門でお酒と一緒に購入されるカテゴリーとは?

今回は外出自粛によって増えてきている家呑みに注目してみたいと思います。飲みすぎは免疫力を下げるそうなので注意が必要ですが、ステイホームが求められる今、楽しい時間に一役買ってくれるお酒は大事なカテゴリーです。スーパーでのお酒、おつまみの状況について見ていきましょう。

目次

●外呑み支出の高い若年層が家呑みへシフト。おつまみ需要が高まる

SM酒類週別

図1はスーパー(全国28企業:200店舗)の 酒類の週別の売上金額を2019年と比較したものです。他の食品同様2月下旬から増加傾向となってきましたが、4月7日の緊急事態宣言以降外食が控えられ、伸び率が更に高まってきました。

おつまみ検索推移

そして、お酒の売上以上に求められてきているのがお酒のアテとなる「おつまみ」です。図2はGoogleTrendsで「おつまみ」の検索頻度を見たもので、緊急事態宣言が出たその週末に急上昇していることが分かります。今まで外食店でおつまみを注文してきた生活者が急に自分で作らなければならなくなり、一生懸命自分好みのおつまみを調べている姿が伺えます。
増えてきている家呑みですが、特にどのような人たちが外呑みからシフトしてきているのでしょうか?

年代別酒類前期比

図3はスーパーでの酒類の年代別での売上金額と前年比を見たものですが、特に40代以下の若年層で伸びてきています。なぜ若年層で酒類の支出が増えてきているのでしょうか?

図4は世帯形態別、世帯主年代別に居酒屋など外食でのお酒の支出金額を見たもので、単身世帯の男女ともに34歳以下で支出額が非常に高いことが分かります。この層が外呑みから家呑みへとシフトし、スーパーのお酒の売上増加の原動力となっているのではないでしょうか。

●スーパーで売れてきているお酒とは

酒類別年代別売上構成比

若年層はどんなお酒が好きなのか?図5ではお酒の種類別の年代別売上構成比を見たものです。黄色の面グラフは食品全体の年代別売上構成比を表しており、このグラフと比較することで、どのお酒がどの年代に好まれているのかを知ることができます。チューハイが20代~40代に好まれているようです。ワインは50代にピーク、日本酒は60代以上と年代によって好まれるお酒が違っています。

酒類別前期比

お酒別の増減も見てみましょう。図6ではそれぞれのお酒の売上金額と前年比を見たものでやはり若年層に好まれているチューハイが伸びてきています。ワインは国産、輸入、スパークリングとどのカテゴリーも好調に推移しているようです。

●各部門で求められる「おつまみ」は?

曜日別おつまみ検索指数

図7は図2の「おつまみ」の日別検索推移を曜日ごとに週別に推移を見たものです。「おつまみ」が欲しい人は何曜日に検索するのか?を知ることができます。1月、2月は土曜日が多いかなという感じで、曜日ごとにそこまで大きな差がありませんでしたが、4月に入ると金曜日と土曜日での検索が多く、日曜日はあまり検索されていないようでした。在宅勤務が増えたとはいえ、仕事の前日の家呑みは控えられているようです。

農産部酒類同時

それでは、今、このタイミングではどんな「おつまみ」が求められているのでしょうか?お酒と一緒に買われているものを各部門ごとに調べてみました。図8はお酒との同時購入率が0.1%以上の農産部のカテゴリーで、リフト値が高い順に30カテゴリーをグラフ化したものです。リフト値とはその値が高ければ、高いほど生活者が意識して一緒に購入しているという指標になります。農産部では枝豆が冷凍も生もリフト値が高くなっていました。またカット妻物やみょうが、長葱などもリフト値が高く冷奴の薬味需要が伺えます。カットフルーツミックスが上位に入っているのが少し意外ですが、これはワインとのリフト値が高い事が影響しています。 マッシュルームも同じくワインとのリフト値が高く、アヒージョ需要が伺えます。

水産部酒類同時

図9は同じように水産部で見たものですが、上位にはずらりと刺身が並びます。単身者のスーパー利用が増えてきていると推測されており、単身パックなどの品揃えが求められるのではないでしょうか。

畜産部酒類同時

図10は畜産部のリフト値ランキングです。ステーキ、生ハムやローストビーフ、羊肉といったワインに合うカテゴリーと、ビールとの相性が高い焼肉素材が並んでいます。焼肉の時は「ちょっと良いお肉が食べたい需要」も高くなりますので和牛の品揃えが喜ばれるかもしれません。

惣菜部酒類同時

図11は惣菜部のリフト値ランキングです。惣菜部でもワインと相性のいい生春巻き、サラダ系、ビールやチューハイと相性のいい串焼(焼鳥)、餃子、から揚げなどが並んでいます。今、時短営業を行うスーパーが増えてきており、お酒が買われる時間帯も以前より早くなってきています。惣菜部でもおつまみアイテムの早めの品出しが求められるのではないでしょうか。


GoogleTrendsで急上昇してきている「おつまみ」ですが、同じように「居酒屋ごっこ」というワードも検索頻度が伸びてきていました。お手製のお品書や100均でお皿を揃えたり、どうせお酒を飲むなら少しでも楽しく飲みたい!というニーズが感じられます。
今、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどの小売店は従業員の方が必死の思いで運営してくださっています。感染拡大を防ぐためにも「居酒屋ごっこ」のような家で楽しむ工夫を沢山見つけることが大事なのかもしれません。早くコロナ禍が収束して日常の楽しい買い物、楽しい飲み会ができる事を願って今日もステイホームで乾杯したいと思います。


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