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単身世帯の消費~世帯数の変化は食料費に大きく影響!単身世帯の現状把握編~

食未来研究室では社外展示会などでの講演や社内得意先様への講演を多数行っています。そこで、より良い講演をしていくためにアンケートを取っているのですが、その中で、「単身世帯の消費」は評価頂いているテーマの一つです。今回の記事では、その単身世帯のお話をしていきたいと思います。


●人口・世帯数が食市場へ与える影響は?

前回の記事でも世帯数について触れましたが、そもそも、なぜ世帯数の動きが重要になってくるのでしょうか?人口の動きを見るだけでは駄目なのでしょうか?
それを考えるためにいくつかグラフを見ていきたいと思います。

図①は日本の人口と飲食料市場の変化を指数であらわしたグラフです。日本の人口は2008年をピークに減少へ転じていますが、飲食料品市場は増加傾向となっています。人口が減っているのに、何故、飲食料品市場は増加しているのでしょうか?

図②は図①に世帯数と物価の動きを加えたグラフです。世帯数と物価は伸び続けており、これが飲食料品市場に影響を与えているようです。
物価が上がると食費が上がるというのは皆さん想像しやすいと思いますが、人口が減っていても世帯数が増えると飲食料品市場が拡大するというのは想像しにくい方もいらっしゃるかと思います。ですので、ここの部分に関してもう少し見ていきます。

こちらは、1世帯の人員別に1ヵ月の食料費を比べたものです。人数が多いほど食料費は多くなってはいますが、1世帯あたりの人数が2倍になっても単純に食料費も2倍になるわけではありません。特に2人以上世帯の人員別の食料費の差は少なくなっています。

では、世帯が増えるとどうなるでしょうか。

世帯内の人数が増える場合と違い、世帯が2倍に増えた場合は食料費も2倍になる計算です。図➃のように同じ4人という人数で見てみると、4人家族の1世帯は1ヵ月あたりの食料費が96,328円なのに対し、単身世帯×4世帯の1ヵ月あたりの食料費は43,941円×4で175,764円となり大きく差が出ます。つまり、人数ではなく、世帯数の方が食料費に大きく影響を与えていることが分かるのではないでしょうか。そして、世帯数が増加することは食市場にとって追い風となっています。

それでは、その世帯数について、今後どうなっていくかも見ていきたいと思います。

こちらは図②に人口と世帯数の今後の予測を加えたグラフです。人口は引き続き減少、世帯数は数年間は増加傾向ですが、2030年をピークに減少に転じると予測されています。

ここまで世帯数全体を見てきましたが、世帯形態によって少し動きが異なっています。

実は、2人以上世帯はすでに減少に転じており、今後も減少が予想されています。一方、単身世帯は増加傾向であり2035年までは増加の見込みです。単身世帯の増加が大きいため、世帯数全体としては2030年までは増加が続くということです。増加してきている単身世帯についての対策は現在も重要ですが、今後さらに重要となっていくでしょう。

また、伸びている単身世帯の世帯数推移を年齢別でも見てみました。

現在まではどの年代も増加傾向となっていますが、2030年以降の予測を見ると年代により状況が変わってきます。60歳以上の高齢世帯では引き続き増加~横ばい傾向ですが、50代以下をみると減少傾向となっています。単身世帯の中身もどんどん変化してきており、2000年は約29%だった60歳以上の高齢単身世帯が、2040年には50%となる予測です。今後は、高齢単身世帯に対する施策が特に重要となってきます。

●単身世帯の食料費の状況

次に、単身世帯の食料費について見ていきたいと思います。

図⑧は世帯形態別の食料費の指数推移です。2015年頃から動きに差が出てきており、二人以上世帯が微増傾向の中、単身世帯は微減傾向、その後もコロナ禍で大きく落ち込みました。この単身世帯のコロナ禍の落ち込みについては、前回の記事でふれた通り、外食費の割合が大きいことが要因です。しかし、ここ2年ほどは物価高騰の影響もあるかと思いますが、二人以上世帯と同様の伸びとなっています。

続いて、食料費においても年齢別の違いを見てみたいと思います。

こちらは単身世帯の年齢別に食料費の指数推移をみたものです。60歳以上の高齢単身世帯は横ばい~増加傾向が続いていましたが、直近では物価の影響もあり大きく伸びています。59歳以下は、直近では60歳以上と同様に伸びが見られますが、昔に比べて減少してしまっている状況です。

では、この食料費を内食(手作り関連)、中食(お惣菜など)、外食、その他(嗜好食品)に分けた時にどのような動きになっているかも確認したいと思います。

まずは34歳以下の若年単身世帯です。この年代は外食が落ち込んでしまっている一方、内食が最も好調に推移しています。外食派の若年単身世帯ですが、節約のためか、手作りする傾向が強くなってきているようです。

次に、35-59歳の年代を見てみます。構成比をみると、内食、中食、外食それぞれにバランスよくお金を使っている年代のようです。ただ、推移を見るとそれぞれ違った動きをしており、特に中食やその他(嗜好食品)の即食が伸長しています。若年に比べてお金の余裕があるため、節約よりも手軽さを選んでいるのかもしれません。

最後に、60歳以上の高齢単身世帯についてです。内食が多い年代ですが、35-59歳の年代と同様に中食やその他(嗜好食品)が好調に推移しています。また、コロナ禍で落ち込んでいた外食ですが、各年代の中で最も回復が見られます。伸びている高齢単身世帯は、どのチャネルにもチャンスがありそうです。


今回は、世帯についての現状把握を行いました。世帯数の動きは食料費に大きく関係しており、食にとって重要な要素の一つです。その中でも単身世帯は今後もまだ伸びていく部分であり、特に施策が必要となってきます。次回の記事では、その単身世帯に対する施策について考えていきたいと思います。


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