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旅行需要は出発前から始まる~旅行前の消費行動から考える、お盆商戦に取り入れたい売り場提案~

お盆は、帰省や旅行など人の移動が活発になる時期であり、この時期のスーパーでは、お供え用品やごちそうメニューなどを中心とした売り場づくりが行われています。
では、旅行需要は旅行先や帰省先だけで生まれているのでしょうか。
観光庁の「旅行・観光消費動向調査」を分析すると、これまであまり注目されてこなかった消費行動が見えてきました。今回は、その結果をもとに、お盆商戦に活かせる売場づくりのヒントを考えます。


●8月の旅行消費は増えている─データが示す背景

まずは、図①の月別の旅行消費額推移を見てみます。夏休みやお盆休みのある8月は年間を通じて最も旅行消費額が高い月であり、しかも年々その金額は上昇しています。

しかし、図②の旅行経験率(実際に旅行した人の割合)の長期推移を見ると、コロナ禍で大きく落ち込んだあと回復傾向にあるものの、宿泊・日帰りともに依然としてコロナ前の水準には届いていません。旅行する人の数は完全には戻っていない状況です。

一方で旅行消費額の長期推移を見ると、図③が示すとおり2024年にはコロナ禍前の金額を超え、2025年は過去最高額となりました。つまり、旅行する人数が完全には戻っていなくても、1人あたりの旅行支出が増加することで消費額全体が拡大しています。物価上昇も大きく影響していると考えられますが、「旅行にはお金をかけたい」という意識が強まっている傾向もあるのではないでしょうか。

●「旅行前」の消費はスーパーにとってチャンス

旅行の消費といえば、宿泊費や交通費、現地での食事や観光が思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。しかし、旅行前の買い物にも無視できない消費が発生しています。

図④は旅行費用を旅行前・旅行中・旅行後に分けて示したものです。圧倒的に大きいのは旅行中の支出ですが、旅行前の支出も宿泊旅行で約10%、日帰り旅行では約18%を占めています。

この旅行前の支出を国内旅行の消費額は年間で約2兆2,085億円、月平均に換算すると約1,840億円に上ります(観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年より算出)。旅行中だけではなく、旅行「前」の消費だけでもこれほどの市場規模となっているのです。

では、旅行前の消費は具体的に何に使われているのでしょうか。

図⑤は旅行前に購入されるカテゴリーとその購入率を示したものです。最も購入率が高いのは菓子類で、その他の食品・飲料・酒・たばこも高い水準にあります。旅行に出かける前に、食べ物や飲み物を購入しておく生活者が多いことが見て取れます。

このように、旅行前の消費は「菓子類」をはじめとする食品関係の購入率が非常に高いため、日常的に来店されるスーパーには大きなチャンスが眠っていると言えるのではないでしょうか。

●お盆前〜お盆にかけて、スーパーが打ち出すべきことは?

では、この旅行前の買い出し需要を取り込むために、どのタイミングで売り場を仕掛けるのが効果的でしょうか。

図⑥は「旅行 持ち物」の週別検索数推移です。卒業旅行シーズンやGW前にも山はありますが、2025年を通して最も検索数が高くなっているのはお盆前〜お盆休みにかけての時期でした。旅行に向けて何を準備すればいいかをスマホで調べ、買いに出かける—この動きが最も集中するのがお盆前だということです。つまり、この週までには仕掛けていることが必要になってきます。
では、具体的に売場でどう打ち出せばよいのでしょうか。お盆前〜お盆にかけてスーパーが取り組みたいことをまとめたのが、下の図⑦になります。

一つ目は、みなさんが既に取り組んでいるお盆ならではの需要に応える品揃えです。お供え用の花類・野菜・お菓子などのお盆関連商品に加え、家族が集まる食卓を囲む「ハレの日」需要として、刺身類、焼肉・ステーキ用肉(特に国産牛)、にぎり寿司や惣菜セット品、嗜好食品などが売れやすい品目です。「お盆だから少し贅沢に」という心理からプレミアムアイスなども売れやすくなる時期となるので、アイスを始め高単価商品の品揃えも充実させておきたいところです。
二つ目は、旅行前の消費者に向けた「旅行準備コーナー」の展開です。図⑤で示したとおり、旅行前は菓子類・食品・飲料の購入率が高くなっており、加えて「旅行 持ち物」の検索上位に出てくるページの内容を踏まえると、携帯サイズのシャンプーや歯ブラシ・洗顔料などのトラベル用品、常備薬・衛生用品、ペットボトル飲料・スポーツドリンク、スナック・お菓子などをまとめたコーナーが有効です。「旅行に行く前に、ここで全部揃えられる」という売場を意識することで、旅行前需要を取り込めるのではないでしょうか。


本記事では、2026年のお盆商戦に向けた売場戦略を取り上げました。8月は旅行消費額が年間で最も大きく、旅行前にも多くの消費が生まれています。特に旅行前は、お菓子や飲料など食品関連の購入率が高く、スーパーにとっては新たな販売機会といえるでしょう。従来のお盆関連売場に加え、旅行準備コーナーを組み合わせることで、今年のお盆商戦の新たな差別化につながるのではないでしょうか。


-食未来研究室からのご案内

今回の記事では、観光庁の旅行消費データと検索データを組み合わせて、お盆商戦の売場戦略につながる示唆を導き出しました。食未来研究室では、このような市場分析をさまざまなカテゴリー・テーマで行っています。

たとえば、こんな分析・サービスにも取り組んでいます。
・季節イベントに向けた事前分析と販促提案
・特定カテゴリーの売上トレンドと伸長要因の分析
・購買年代・価格帯・キーワード別の深掘りレポート
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※記事・データの商用目的での使用はご遠慮ください。

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