
2026年の母の日は5月10日(日)。いよいよ1ヶ月を切り、売場づくりの準備を本格化させたい時期に差し掛かっています。母の日はスーパーにとって、家族で食卓を囲む需要が高まる重要な商機です。
本記事では、検索データとスーパーのID-POSデータをもとに、母の日前後の消費行動を読み解き、売場づくりのヒントをお届けします。

図①は2025年の「母の日」の週別検索数推移です。検索数は4月中旬ごろから大きく伸び始め、母の日当日に向けてピークを迎えています。毎年この時期から消費者の関心が高まる傾向が続いており、売場での訴求もこのタイミングに合わせて仕込んでおくことが重要です。
では、消費者は「母の日」と一緒に何を検索しているのでしょうか。

図②は「母の日」との同時検索ワードをまとめたものです。「プレゼント」をはじめ、定番のカーネーションは今も根強い人気を保っています。スイーツではケーキが上位に食い込んでおり、フラワー・スイーツ需要が変わらず母の日の中心にあることが見て取れます。
注目したいのは、「メッセージ」「カード」というワードも上位に並んでいる点です。母の日のプレゼントに添える言葉を検索している消費者が一定数いることを示しています。カーネーションやスイーツの売場に、おすすめのメッセージ文例を掲載したPOPを添えたり、メッセージカードを一緒に展開したりすることで、生活者の購買意欲を後押しする事も出来るのではないでしょうか。

図③は、2025年の母の日を含む土日に売上が特化していた生鮮・食品の品目をまとめたものです。旬の影響をできるだけ排除するため、比較対象は4〜6月の土日としています。
カレールーやシチュールーの購入が多くなっているほか、冷凍ピザ・生ハンバーグ・ステーキ・しゃぶしゃぶなど、手軽に特別感を出せる食材が並んでいます。いつもの日曜日とは違う特別な食事を囲む—そんな母の日ならではの需要がデータに表れています。
その中でも今回はカレールーに注目してみたいと思います。

図④のカレールーの日別売上推移を見ると、母の日の前日(土曜)と当日(日曜)に売上が大きく上昇しています。昨年の母の日関連チラシを確認しても、カレーを訴求しているスーパーが多く、「母の日にカレーを」という方向性はデータからも裏付けられています。母の日の前日の土曜から、カレールーを目立つ位置にしっかりと展開しておきましょう。
さらに、カレーに関連してもう一つ押さえておきたいトレンドがあります。

図⑤は「無水カレー」の検索数推移です。年々検索数が伸びており、特に2025年に大きく増加しました。水を使わず野菜や肉の水分だけで作るカレーで、素材の旨みが凝縮されるのが特徴です。なぜ2025年にここまで急増したのでしょうか?「無水カレー」との同時検索ワードを前年からの変化率で見ると、その背景が見えてきます。

図⑥を見ると、「無水カレーニキ」というワードが前年から大きく伸びていることがわかります。TikTokを中心に活動するインフルエンサーで、主にダイエット目的で取り組んだ無水カレーのレシピ動画が話題になり、SNSで拡散されたことが検索が大きく伸びた要因です。
使用するお肉はひき肉が最もメジャーとなっており、ひき肉の近くに「無水カレー」のPOPや代表的なレシピを掲示することで、トレンドを意識した買い物客の購買を後押しできるのではないでしょうか。

図⑦は惣菜・嗜好食品で母の日に特化する商品をまとめたものです。普段より少し特別な食卓を演出できる品目が並んでいます。
2025年の母の日関連チラシを見ると、ローストビーフやカルパッチョによる「特別感・高級感」、そして花を模したブーケサラダのような「可愛らしさ」、さらに目立ったのが、「温めるだけ・並べるだけで家族のパーティーが始められる」という手軽さの訴求です。母の日という日に、ひと休みしてほしいという気持ちが込められたラインナップといえます。スーパーにとっても、こうした「ママの家事休み」をコンセプトにした提案型の売り場づくりは、消費者の共感を得やすいアプローチです。
そしてもう一つ、母の日の惣菜売場で注目したいカテゴリーがちらし寿司です。図⑧の惣菜の寿司カテゴリーを見ると、「寿司にぎり」が最も売上が大きくなっていますが、24年からの伸び率を見ると「ちらし寿司」が大きく伸びていることが分かります。

図⑧のちらし寿司の日別売上推移を見ると、前日の土曜から売上が伸び始め、母の日当日に最も高くなっています。カレールーとは異なり、当日の需要が特に強い商品で、午前中から十分な量を売場に揃えておきたいところです。
このちらし寿司に関して注目したいのが、売上データとチラシ訴求のギャップです。

図⑨は2025年の母の日関連チラシで掲載されていた寿司商品をまとめたものです。調査したチラシのうち、にぎり寿司は61枚中51枚で訴求が見られた一方、ちらし寿司の掲載はわずか11枚にとどまっていました。にぎり寿司は売上ボリュームが大きく、引き続き重要な商品であることは間違いありません。一方でちらし寿司は、母の日当日に向けて売上が大きく伸びるにもかかわらず、チラシでの訴求が手薄な状況です。ちらし寿司を母の日に積極的に訴求しているお店はまだ少なく、ここにスーパーが差別化できる余地があるのではないでしょうか。

また、図⑩のちらし寿司の価格帯別売上構成比を見ると、母の日は年間を通じて通常よりも高価格帯の品揃えとなっており、2025年は物価高の影響か、24年よりもさらに高価格帯よりへとシフトしています。「せっかくだから少し良いものを」という気持ちが価格選択にも表れており、母の日に向けては通常より高価格帯のちらし寿司も品揃えに加えておく必要があるでしょう。母の日当日に向けて、ちらし寿司の品揃えと売場での見せ方を今一度確認されてみてはいかがでしょうか。
本記事では、検索データとスーパーのID-POSデータをもとに、2026年の母の日に向けた売場対策を考えました。データから読み解くと、母の日商戦は「定番」だけに頼らない工夫が差別化の鍵になります。にぎりの横で「ちらし寿司」の品揃えを強化し、急増する「カレールー」はSNSトレンドの無水カレーで提案。さらに、ごちそうやギフトにはメッセージカードを添える提案が効果的です。
今年の母の日は、定番商品に「トレンド」と「ちょっとした気遣い(手軽さ・メッセージ)」を掛け合わせた売場づくりで、お客様の心を掴んでみてはいかがでしょうか。
-食未来研究室からのご案内-
今回の記事では、検索データとスーパーのID-POSデータを組み合わせて、母の日という季節イベントから売場戦略につながる示唆を導き出しました。
食未来研究室では、このような市場分析を様々なカテゴリー・テーマで行っています。
例えば、下記のような分析・サービスにも取り組んでいます。
・特定カテゴリーの売上トレンドと伸長要因の分析
・購買年代・価格帯・キーワード別の深掘りレポート
・季節イベントに向けた事前分析と販促提案
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