前回の記事では、新型コロナウイルス拡大から丸3年経ち人の動きはどうなっているのか?また、スーパー全体の動向と農産部はどうなっているのか?について書かせて頂きました。今回はスーパーの水産部の動きについて見ていきたいと思います。
まずは、2023年2月までのスーパーの部門別の動きを確認します。
こちらは部門別の売上金額について季節性を除くために12か月移動平均値をとり、2019年1年間の平均値を1とした時の指数変化で売上の増減を見たグラフです。前回の記事からあまり大きな変化はありませんが、農産部がやや落ち込んできているようです。そして、今回注目する水産部は2022年の半ばに2019年の売上を割り、その後も減少傾向が続いてしまっています。
では、その水産部について詳しく見ていきたいと思います。
こちらは水産部のカテゴリー別の売上金額構成比です。塩干加工品の売上が最も大きく、次いで刺身類となっています。
続いて、このカテゴリー別で売上状況を見てみます。
図③をみると、丸の魚や切身などの鮮魚は大きく落ち込んでおり、刺身類も鮮魚程ではないですが不調な動きとなっています。しかし、塩干加工品に関してはコロナ禍前以上の売上をキープしている上に、スーパーの食品全体よりも好調な動きとなっています。もちろん、鮮魚や刺身類についても売上を回復出来るような施策を行っていくべきですが、今回の記事では好調な塩干加工品についてさらに詳しく見てみたいと思います。
塩干加工品を分類分けして売上金額の2019年比を出してみました。100%を大きく超えているものとして、冷凍魚、漬魚、味付魚と簡便商品が並びます。その中でも味付魚は、まだまだ売上ボリュームの小さい分類になりますが2019年比160%と大きく売上を伸ばしています。この味付魚は全ての年代で売上の増加が見られ、幅広い年齢層で需要が高まっているようです。
そしてこの味付魚は他の簡便商品とは違う購買特徴が見られます。
こちらは水産部全体と水産簡便品の年代別売上構成比です。冷凍魚や漬魚は水産部全体とほぼ購買年代がかぶっているのに対し、味付魚は比較的若い層の方々に買われやすくなっています。お魚は高齢世代の方々に食べられやすく若年世代はあまり食べないため消費がどんどん落ち込んでいっていますが、味付魚は若年層にも買ってもらいやすいため将来性もある品目です。
では、この味付魚はどのような味付けが特に伸びているのでしょうか?
2019年と比較すると、照焼味以外の味付けで大きく伸びていました。その他の味付魚には様々な味付けの商品が入っていますが、メーカー品について味付けの傾向を見てみると「バター醤油」味の商品が多く、売上も伸びていました。
バター醤油については年々関心も増えています。
こちらはバター醤油の検索数推移です。聞きなじみのあるワードではありますが、実は年々検索数が増えていっており需要の高まりが感じられます。
最後に、味付魚の売り場づくりについても少し考えてみたいと思います。
こちらは味付魚を購入する買物客が、普段どのような商品を購入しやすいかを調べたものになります。味付魚を購入する方は、漬魚や半調理品などの簡便商品を買いやすい傾向がありました。惣菜やレトルト商品は簡便商品ほど買われやすくはなかったので、調理の手間を省きたいけれど手作りしたい!という方々が購入しているようです。こういった方のために、簡便商品をまとめて展開することでより選びやすく買いやすい売り場になるのではないでしょうか。
次回は畜産編を予定しています。お楽しみに!
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久禮栄司2023年4月16日 9:46 AM /
役に立ちました