梅が旬の時期になると、スーパーマーケットでは手作り梅酒用の保存容器などが並んでいる売り場をよく見かけます。コロナ禍前にも多くありましたが、コロナ禍以降おうち時間の増加でさらに挑戦する人が増えているようです。この手作り梅酒や梅干しの需要は高く、基本的には年間を通して大きな変動の無い砂糖や塩の売上を引き上げるほどです。今回は、この手作り梅酒・梅干しについて見ていきたいと思います。
目次
まずは、砂糖と塩の売上推移を見てみます。
どちらも5月後半~6月にかけて売上が高くなっていることが分かります。
冒頭でもお話したように、この2種類の調味料の売上増加に関わっているのが5月後半~6月に旬をむかえる「梅」です。なお、塩については同時期に旬をむかえる「らっきょう」を使った塩漬けに利用もされますが、今回は特に一緒に購入されやすい梅に注目していきます。
梅は旬の時期である5月後半~6月に売上がぐっと上がります。コロナ禍前の2019年に比べて、コロナ禍後はおうち時間の増加から需要が高まっています。おうちで梅を使ったメニューを楽しんでいる人が増えているようです。
この時期に梅と一緒に買われやすいものを見てみました。
すると、最初に述べた砂糖や塩が一緒に買われやすいことに加えて、他にも梅酒や梅干し、梅シロップなどに使われる仕込み用の材料が買われやすくなっていました。梅を購入した方の約35%が梅酒および梅シロップ用に砂糖を、約22%が梅干し用の塩または漬物調味料を購入しています。
まずは梅干しについて調べていきたいと思います。
こちらは、既製品の梅干しと梅干しを手作りする人(梅と塩を一緒に購入した人、梅と梅用の漬物調味料を一緒に購入した人)の梅の年代別売上構成比です。手作りの梅干しは高齢の方が作りやすくなっています。
また、梅干しを手作りする人が梅と一緒に何を購入しているのかを調べてみました。
特に多いのは赤しそ関連商品となっていました。他にも、ちょっと甘めの梅干しを作る方は砂糖や蜂蜜も一緒に購入していたり、生しょうがと梅酢を使って紅しょうがを作ったりする方もいるようでした。このような関連品の関連販売やレシピ提案もしてみてはいかがでしょうか。
次に、梅酒と梅シロップについてみていきます。
図②にあるように梅の売上は2020年と2021年は同等の数字となっていましたが、梅酒や梅シロップ用の材料は違った動きをしていました。
こちらは砂糖の中でも梅酒や梅シロップに利用されやすい氷砂糖の週別売上推移です。2021年は売上が増加していることが分かります。これは果実酒用のお酒でも同様の動きとなっており、梅の活用方法として梅酒や梅シロップを作る人が増えていると言えるのではないでしょうか。
梅酒の基本的な材料としては梅・氷砂糖・果実酒用のお酒の3つだと思いますが、この氷砂糖やお酒をアレンジして楽しんでいる人もいるようです。
まず砂糖は氷砂糖が主流ですが、ゆっくりと溶けるため梅のエキスを引き出しやすいということやクセがあまり無いことが選ばれる要因になっています。しかし、他の砂糖を使ったら梅酒が出来ないという訳ではありません。いつもの梅酒に飽きてしまった方などは、グラニュー糖や黒糖などを使って風味の違いを楽しんでみるのも良いのではないでしょうか。
お酒は果実酒用のホワイトリカーなどを利用することが多いと思いますが、他のお酒でも作られています。図③でも載せているようにブランデーを使っている方もいたり、最近ではウイスキーを使った梅酒のレシピ検索も増えてきていたりするようでした。ブランデーだとより香りを楽しめたり、ウイスキーだとよりコクのある味わいになったりとお酒の種類によって特徴も異なっているようなので、いろいろなお酒で試してみるのも楽しそうです。
ただし、酒税法でアルコール分が20%以上のものと決められているので、お酒を決める際には注意が必要です。
※参考:梅酒の自家醸造に関する酒税法
梅の仕込みメニューのうち、私が今一番注目しているのは梅シロップです。梅シロップは梅酒と同じように梅を氷砂糖などと一緒に漬け込んだもので、お水や炭酸水で割って楽しむことが出来ます。
こちらは梅酒と梅シロップの検索数推移です。どちらも毎年6月頃に大きく伸びており、梅酒の検索数も増えていますが、梅シロップの検索数はさらに大きく伸びていることが分かります。
では、どういった方が梅シロップを作っているのでしょうか?
梅干しを作る人に比べて、梅酒を作る人は若年に寄りますが、梅シロップを作る人はさらに若年に寄ります。梅シロップはお子さまでも美味しく飲むことが出来るので、子育て世帯の方々にも作ってもらえるのではないでしょうか。
また、梅シロップは梅・氷砂糖・お酢が基本の材料となりますが、お酢は一般的な穀物酢だけではなく、りんご酢や黒酢、ワインビネガーなどお好きなお酢で作ることが出来るので、梅酒と同様にいろいろな味を楽しめそうです。
家族の団らんのひとつとしてお子さんと一緒に楽しみながら、梅シロップづくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。
最後に、梅の仕込みメニューについてイラストでまとめてみました。
梅の仕込みメニューは、梅干し、梅酒、梅シロップといろいろなメニューを訴求することで幅広い年代の方に梅を手に取ってもらいやすくなります。梅酒や梅シロップは梅だけではなく他の果物を加えてアレンジをしたり、また、レモンだけでレモン酒やレモンシロップを作る方もいるようです。アレンジも効くメニューだと思うので、定番のレシピに加えてお店おすすめレシピの提案も良いのではないでしょうか。
梅雨の時期である6月は家にこもることも多くなると思いますので、ちょっと手間のかかる梅の仕込みメニューに取り組むことでおうち時間をさらに楽しく過ごすことが出来るのではないでしょうか。梅の売上をしっかり取るために、梅の仕込みメニューの販促を今年もしっかりと取り組んでいきましょう。
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