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直近のスーパーの売上動向から考えるwithコロナ下で求められるコトとは?
~コロナ禍以降も売上上昇が続いている商品、落ち着いた商品の違い~

2月最終週のイベント自粛要請・休校要請を皮切りに、在宅勤務や休校、外出自粛の増加による内食ニーズの上昇で、スーパーでは多くの商品が売上を伸ばしました。5月下旬の緊急事態宣言解除以降、自粛の解除も進み、学校もほぼ再開され、通常勤務の方も増えてきている今、売上を伸ばしていた商品は今どうなっているでしょうか?
売上上昇が続いている商品、今は落ち着いた動きになっている商品、それぞれの背景にあることから、withコロナに求められるコトを考えていきたいと思います。


●スーパー全体の現在の状況は?

図①はスーパーの直近、7月第1週目までの売上状況です。

3月~5月の大幅な売上増加とまではいきませんが、直近でも前年を上回る動きとなっています。
図②では売上が最も伸びていた4月と直近1ヶ月の前年比を部門ごとに見てみました。

こうしてみると、4月の大きな伸びをけん引していた、畜産部門、加工食品部門の伸びが大きく縮小していることがわかります。一方、そこまで大きな伸びではなかった水産部門は勢いを維持していることもわかります。また、農産部門も比較的伸びを維持している部門です。惣菜部門は4月も直近1ヶ月もあまり変わらず前年並みとなっています。

これらの数字の変化の背景にあることを部門単位、商品単位で見ていって、これからのwithコロナ下に求められるコトを探っていきたいと思います。

●水産部門は新たに増えた若年層の利用が定着しつつあるのが好調維持要因!

水産部門は今回のコロナ禍で、畜産部門や農産部門のような派手な伸びはなかったのですが、コロナが落ち着いてきている直近でも伸びを維持しているのが注目ポイントです。

水産部門が伸びを維持しているのは、新たにお魚を買うようになってくれた若年層の利用が定着しつつあるのが大きな理由です。高齢層と若年層、それぞれの水産部門の売上推移を見てみます。

高齢層の水産部門利用はコロナ禍以降も前年並みで、ほとんど変化がありませんでした。(図④)

しかし、若年層の水産部門利用はコロナ禍が始まった2月の最終週から急に利用が増え、それから4ヶ月が経った今でも前年比約120%と力強い伸びを維持しており、水産部門躍進のけん引役となっていることがわかります。

具体的に若年層の購買が強くなってきている商品としては、以前投稿した記事「スーパー水産部で売り上げが伸びてきている、さけの切身とむきえび。利用増加の決め手はやはりメニュー!」で取り上げた、さけの切身やむきえびがあります。(図⑥、⑦)

また他にも、塩さばや冷凍切身なども若年層の購買の強さが維持されています。こういった若年層に支持されているお魚商品に共通する背景としては、フライパンひとつで簡単に調理できる、ある程度の日持ちもする、魚メニューなのに生ゴミが出ない、といったことがあり、健康的なイメージのある魚メニューを食卓に載せるまでの過程での負担が少ないことが若年層の支持を集めるポイントとなっています。

●畜産部門は平日需要が大きく減ったのが伸び率減少の要因。焼肉需要は伸び堅持!

畜産部門は今回のコロナ禍で最も大きく売上を伸ばした部門です。

しかし図⑧のように直近では前年並みの売上に近づいていっています。
畜種別・平日休日別に売上が最も伸びていた4月と直近1ヶ月の前年比を畜種ごとに見てみました。 (図⑨)

すると、大きく伸びていたのは平日の売上であり、また直近1ヶ月で伸びが大きく縮んでいるのも平日ということがわかります。平日の普段のおかず用として使用されている、合いびき肉や豚ひき肉、豚うす切り肉などがコロナ禍で大きく伸びましたが、学校再開や自粛解除となってきた今は前年並みに戻ってきています。

一方で、牛焼肉用や焼肉盛り合わせ、焼肉のたれ(図⑩)などの焼肉商材は比較的伸びを維持しており、家族での焼肉需要、バーベキュー需要は続いていることがわかります。

コロナ禍前は外食需要であった焼肉が、コロナ禍以降は家焼肉需要に変わり、それが現在も続いています。焼肉やバーベキューのような、非日常感を味わえるメニュー、外食感のあるメニュー、といったニーズがwithコロナ下で求められているコトになってきています。

●加工食品は伸びが続いている落ち着いている商品がいろいろ。求められているコトとは?

加工食品部門も畜産部門と同じくコロナ禍で大きく売上を伸ばしました。

図⑪のとおり直近では数字は落ち着いてきていますが、個々の商品で見てみると、コロナ禍による自粛中のみのニーズで伸びていたもの、コロナ禍による意識の変化で今も伸びが続いているもの、様々なことが見えてきます。

例えば、洋風ミックス粉(ホットケーキミックスなど)と和風ミックス粉(お好み焼き粉、たこ焼き粉など)はグループとしては同じような商品でありながら、洋風ミックス粉は売上の伸びを維持していますが、和風ミックス粉は前年並みに落ち着いてきています。(図⑬、⑭)

どちらもアクティビティ(遊び、体験)要素、例えば子どもと一緒に手作りを楽しむといったことから伸びていると捉えていましたが、ケーキ作りは現在も休みの日の遊び要素として健在な一方、お好み焼きやたこ焼きは休校期間中の平日昼食需要として伸びていた背景が強かったため、学校がほぼ再開されてしまってニーズを失ってしまったのかもしれません。

この自粛期間中の平日昼食需要がなくなったことで落ち着いた動きになってきた代表的なものとしては乾燥パスタが挙げられます。

乾燥パスタやパスタソースは一時期は棚から商品がなくなるほど強い売りがかかっていましたが、現在は上のグラフの売上通り落ち着いてきています。同様に生ゆで焼きそば麺や袋麺、シーフードミックスなどの、平日昼食需要で伸びていたであろう商品も同様の動きとなっています。

また、今回のコロナ禍では内食(手作り)需要の増加に伴い、こだわり料理に挑戦したり、メニューレパートリーを増やす工夫をされる方も目立ちました。

図⑯はエスニック基礎調味料(コチュジャン、ナンプラー、ガラムマサラソースなど)の売上推移ですが、直近でも売上増加が続いており、新しい料理へのチャレンジが続いていることが伺えます。

また以前投稿した記事「スーパー畜産部で好調の豚肉と鶏肉。 コロナ禍以降さらに売上を伸ばしているのはどんな理由?求められているコトとは?」で豚ブロック肉を使用した角煮・煮豚が伸びていると取り上げましたが、豚ブロック肉は直近1ヶ月でも前年比約120%を維持しており、こだわり料理需要も継続していることがわかります。

最後に、コロナ禍においては免疫力を高めると言われている発酵食品も人気を集めましたが、現在はどのようになっているのでしょうか。人気の発酵食品である、納豆、ヨーグルト、キムチについて調べてみました。

意外と納豆はここ数週間でだいぶ落ち着いた動きになってきています。ヨーグルトも同様に前年並みの売上状況になっていました。

キムチの勢いはまだまだ続いています。発酵食品としての健康イメージだけでなく、前述した家焼肉ニーズもあるのかもしれません。


今回はコロナ禍で売上を伸ばした商品が今はどうなっているか?を調べることによって、withコロナ下に求められるコトを探ってみました。平日昼食需要やストック需要が小さくなってきている反面、楽しさとしての食事需要や料理そのものを楽しむ需要は継続してきていることがわかりました。自粛解除でいろいろと外での楽しみも増加してきてはいますが、まだまだしばらくは家の中での楽しさ、快適さを求める流れが強く続くと思われます。こういったニーズを支援できるような商品づくりや売場づくりをしていきましょう。


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