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緊急事態宣言解除、買物の変化は?

5月25日に全国で非常事態宣言が解除され、通勤や学校の再開など社会に大きな動きが起きてきます。これらがスーパーでの購買行動や商品の動向にどのような影響をもたらすのか?5月の26日、27日の2日間だけのデータですが、買物状況を見てみました。

●スーパーの売上は2桁増が続く。少し落ち着く気配も

図1はスーパー(全国28企業:200店舗)の食品全体の直近(5月3日~5月27日まで)の売上と2019年5月(5月5日~29日まで)の売上を日別で見たものです。比較しやすいように同じ曜日であわせています。
5月14日に39県で緊急事態宣言が解除されて以降、前年を割る日も見られるようになってきました。全国でも解除ムードが高まってきた5月24日、25日はほぼ前年と同じ推移となっていましたが、解除後の26日、27日はまたしても前年より売上が高くなってきていました。25日に全国で緊急事態宣言は解除されましたが通勤や学校の再開は6月1日から、という所が多いためかまだまだ家で食事を、という家庭が多いようです。

図2は5月の各週の火曜日と水曜日の食品全体の金額の合計とそれぞれの前年比を見たものです。
緊急事態宣言解除後の26日(火)、27日(水)は前年比110.6%と2桁増になっていますが、前週以降と比較すると徐々に減ってきていることが分かります。

●前週と比較すると惣菜利用が増加

図3では緊急事態宣言解除後の26日(火)、27日(水)と前週の19日(火)、20日(水)の食品全体の売上を年代別に比較したものです。どの年代でも前週より売り上げが落ちてきており、特に今まで利用が多くなってきた29歳以下で減少幅が大きくなっていました。この年代は元々外食利用が多い層なので、徐々にではありますが外食に戻って行っているのかもしれません。

図4では図3と同様に前週比較を時間帯別に見たものです。年代は全ての層で減少していましたが、時間帯の方は9-10時の早い時間、20時以降の遅い時間で伸びていました。早い時間帯が伸びているのは、密集を避けたいからなるべく人のいない時間帯に買い物を済ませておきたい、というニーズが依然高いためかもしれません。遅い時間帯が伸びてきているのは出勤など外出が増えてその帰りに寄る、という方が増えてきた、また、通常の営業時間に戻した店舗の増加と言ったことが考えられます。

図5は分類2別に前週比較を見たものです。手作り関係が少し落ち着きを見せる中、今まで苦戦が続いていた惣菜や弁当が前週より伸びてきています。緊急事態宣言解除とともに外出するようになってきた人の即食ニーズや、これまで手作りしてきた人の自炊疲れなどが影響してきているのかもしれません。緊急事態宣言中は苦戦を強いられた惣菜部ですがここからは例年並みに需要が増えてくるのではないでしょうか。

おかず惣菜は前週よりプラスになったとはいえ、前年比で見るとまだマイナスになっています。主食惣菜は前年比もプラスになりましたので、図6では弁当カテゴリー(主食惣菜)を細分化して前週比較してみました。売上上位20カテゴリーについて見ていますが、気温の上昇とともに麺類の動きが好調になってきており、全体を押し上げていました。また、ずっと不調が続いていた寿司が回復してきています。以前の記事でとりあげた丼ですが、好調を維持し伸び続けています。


今回は簡単ではありますが、緊急事態宣言解除が買い物に及ぼす変化を見てみました。人の動きが増えると共に、惣菜利用が増加する傾向が伺えました。ただ、解除されたとはいえ、まだ家族は家にいるので自炊しなくては、という状況のようで内食ニーズも好調を維持しています。買物に本格的に影響が出るのは学校や通勤が再開する6月に入ってからと思われますので、引き続きwithコロナの食がどうなっていくのか、これからも情報を発信していきたいと思います。


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