これまで、スーパーの農産部、畜産部、水産部について見てきましたが、今回は、スーパー惣菜部について直近の状況をみていきたいと思います。
こちらは惣菜部全体の日別の売上推移です。(図①)比較しやすいように、曜日を合わせて前年と比較しています。農産・畜産・水産の生鮮3部門が2月最終週を境に伸びてきているのと比較すると、惣菜部はちょっといまいちな数字の流れとなっています。
お惣菜は、おにぎりや寿司・弁当・麺などの主食惣菜と、揚物や焼物・煮物・サラダなどのおかず惣菜の大きく2つのカテゴリーにわかれますが、今回はおかず惣菜に注目してみます。
おかず惣菜カテゴリーの日別の売上推移も、惣菜部全体と同じような流れで、昨年よりも少し不振な数字状況です。(図②)さらにおかず惣菜について種類ごとにもう少し詳しく見てみます。
図③はおかず惣菜の種類ごとの前年同期間比ですが、最も売上の大きい揚物の落ち込みが全体の足を引っ張っている状況のようです。揚物が落ち込んでいる理由は何なのでしょうか?揚物の代表的な存在である天ぷら惣菜について数字の流れを見てみましょう。
天ぷら惣菜は2月最終週を境に前年割れしている日が多くなってくるのが目立ちます。(図④)これは多くのスーパーで、新型コロナウイルス感染拡大防止のための取り組みのひとつとして、お惣菜のバラ販売が中止されてきており、バラ販売で売られることの多い、天ぷらなどの揚物が影響を受けていることがあります。
バラ販売が中止になると売上が下がってしまうのは、
といった理由があげられます。 ただ、天ぷら惣菜そのものが必要とされていないわけではありません。
●今、お客様に求められている天ぷら惣菜とは?揚物惣菜とは?
図⑤は単価が150円未満、つまりバラ販売が主体の天ぷら惣菜ですが、前述の通り大きく落ち込んでいますが、図⑥の単価が150円以上、つまりパック販売、天ぷら盛り合わせは伸びてきていることがわかります。また、150円以上といっても、400~500円以上の天ぷら全種盛り合わせ的なものはあまり伸びは見られませんが、200~300円台の2~3種盛り合わせのようなものが特に伸びてきています。
この伸びてきている200~300円台の天ぷら惣菜と一緒に買われているものを調べてみると、生・ゆでそばや乾麺のそば、生・ゆでうどんなどの麺類や、麺つゆや万能つゆが買い物カゴに一緒に入っていることが多いことがわかりました。(図⑦)
こういった背景から、天ぷら惣菜の売り込みをバラ販売以外で強化する作戦として、うどんやそばのトッピング需要を狙ってとっていくような盛り合わせセットもひとつ考えられるのではないでしょうか。(図⑧)
現在のスーパーにおいて、調子の良い商品は手作り用の食材が多いのですが、中でもやはり簡便商品が売れ筋となっています。今回、提案させていただいた、家庭の手作りの麺メニューにトッピングする天ぷらセットのような、惣菜を上手にアレンジできるようなメニュー提案も求められているのではないでしょうか? 少し記事が長くなってきましたので、おかず惣菜についての提案は次回その②に続きます。お楽しみに!
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