• 日本食研グループのシンクタンクとして「食」を分析し、食ビジネス活性化のための情報発信を行います

新型コロナウイルスによるスーパー農産部への影響は?簡便商品の利用が増加中

前回の記事でスーパー全体の売上推移についてお伝えしましたが、部門ごとの状況はどうなっているのでしょうか? 今回は、農産部の状況についてみてみたいと思います。

伸びているのは野菜加工品

図①は農産部全体の1店舗あたりの売上推移です。比較しやすいように2019年と2020年の同じ曜日ごとに並べています。イベントの自粛や休校要請のあった2月末は一時的に売上が増加していますが、それ以降は前年並みの売上となっています。農産部の中で最も売り上げの大きい丸物野菜にしぼって見ても、同じような動きとなっていました。

しかし、図②の「野菜加工品」をみてみると、2月末に前年を大きく上回っただけではなく、それ以降も好調な日が続いている事がわかります。自粛要請などの報道後すぐに、冷凍食品やレトルト食品などストックできる商品の売上が増加しましたが、野菜においても同様の状況なのでしょうか?

図③は「冷凍野菜」の1店舗あたりの売上推移です。やはり野菜においてもストックできる冷凍品の需要は増えており、報道直後だけではなく、その後も前年金額を超える日が続いています。ストック品として購入されている方も多いとは思いますが、今回の報道をきっかけに冷凍野菜を購入したことにより、便利さや美味しさを知り、その後も使い続けている。といった方もいるのではないでしょうか。また、図④は「加熱用カット野菜」の1店舗あたりの売上推移です。冷凍野菜と違いカット野菜は賞味期限の短いものが多いですが、2月末からずっと前年金額を超えている状況です。休校などで主婦・主夫の方々の負担が増えた事により、簡便商品の需要が高まっているのかも入れません。

メニュー調味料は主食系の商品が狙い目

カット野菜と同じ簡便商品の一つとして「メニュー調味料」がありますが、こちらの状況はどうなっているのでしょうか?農産部の売場でも図⑤は「メニュー調味料」の売上推移です。冷凍野菜などと同様に2月末に大きく前年を上回り、その後も売上は伸び続けています。

このメニュー調味料の中身をもう少し詳しく見てみると、図⑥の「おかず用メニュー調味料」も前年を上回っている日が多いですが、図⑦の「主食用メニュー調味料」が特に好調となっているようです。お子様のお昼ご飯需要や、簡便思考から主食1品でも満足できるメニューが求められているのかもしれません。また、メニュー調味料はカット野菜と一緒に買われやすいので、現在の売上状況から考えると、両者の関連販売は特に有効なのではないでしょうか。

果物はカットフルーツミックスが好調

果物についても少し見てみたいと思います。まず、図⑧の丸物の果物は、3月1日に前年を大きく上回りましたが、その後は前年並みの売上が続いています。しかし、果物も野菜と同様、ボリュームはまだまだ小さいですが加工品は好調となっています。

そして、果物も野菜と同様、ボリュームはまだまだ小さいですが加工品は好調となっています。図⑨の冷凍果物は、2月末に大きく前年を上回った後も前年金額を超える日が多くなっています。また、カットフルーツに関しては種類によって状況が異なるようです。カットフルーツ単品は前年並みの売上が続いていますが(図⑩)、カットフルーツミックスは前年を上回る日がほとんどです(図⑪)。特に先週の3連休の売上が伸びている事から、家族みんなで家の中で楽しめるような大人数用、パーティー用の華やかなカットフルーツもチャンスがあるのではないでしょうか。

また、「新型コロナウィルスによる消費の変化と、これからスーパーに求められるコトとは?」で製菓材料が伸びているとお伝えしましたが、現在も伸び続けています。そして、この製菓材料は特に子育て世帯の方に買われやすい傾向があります。子育て世帯が買いやすい果物としては、いちご・ぶどう・チェリーなどがあげられるので、こういった果物と製菓材料の関連販売もチャンスがあるかもしれませんね。


記事についてのお問合せはこちらから。
記事・データの商用目的での使用はご遠慮ください。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

5 + 15 =